「シス様ーとうとう今日儀式が行われるようですよ」
騎士の食堂で昼食を食べていたシスのところに女騎士が知らせにきてくれた。
「とうとうなんだ・・・」
「無事終わればいいですね」
「うん・・・」
母様がんばって・・・僕も、帰るまでがんばろう。
シスは心の内でゆりに声援を送った。
第18話
その頃ゆりは、ハインリヒを誘って本当に一緒にお風呂に入っていた。お風呂の中は白い泡だらけで、
シャボン玉も飛んでいた。
そんな中、ゆりは積極的にハインリヒに抱きついて口付けをしていた。
いつもとゆりの様子が違っているのでハインリヒは少し奇妙な顔をしていた。
「儀式の前はいつもこうなんですか？」
「さあ・・・そういえば、この前の時は、ディランと熱々にひっついたけど」
「・・・ディランともこんなことしたんですか？」
「ディランって、結構情熱的な人ね」
ゆりはハインリヒの肩をなでた。ハインリヒはゆりの胸をなでながらゆりの唇を覆った。
ちょっと嫉妬してるみたい・・・
胸をなでられていたらゆりのおなかに二匹の蛇が浮かんできた。
「じゃあ蛇あげるね」
ゆりはハインリヒの背中に両腕を回して体をべったりつけた。
「あ・・・」
ゆりが体を離すと、ハインリヒの胸に二匹の蛇がぺったりくっついていた。
「どう？うれしい？」
「・・・」
二匹の蛇が本当に肌に張り付いていたのでハインリヒは驚いた。
両方の蛇はじーと黒い蛇を見ているような感じだった。
その時ー
ーきらい
ーや
二匹の蛇は何やら言って消えてしまった。
「・・・・」
「うれしかった？」
ゆりはにこにこして聞いている。
ハインリヒはゆりをじろりと睨んだ。
「どうしたの？」
「・・・」
ハインリヒはそのまま体を沈めて、顔の上半分だけ出してゆりを睨んでいた。
あれ？もしかしてまじで嫌いって言ったのかな？
嫌いって言ってごらん、と念じて送ってみたのだが、本当に言うとは驚いた。
あらら、ハインリヒまじへこんでる・・・
ハインリヒはしょんぼりしてうなだれてしまった。
めろめろにするつもりが嫌がらせになっちゃったよ・・・
まあいいか。
「そろそろ行こうよ。皆待ってるから」
「行きません」
「儀式やらないの？」
「私に参加して欲しくないんでしょう」
「決めた事だから別にいいよ」
「嫌いなくせに・・・」
ハインリヒはすねたように言っていた。
「冗談じゃないの。この前の夜這いのちょっとしたお返しだよ」
「・・・」
「本当だよ。まあ、参加したくないなら別にいいけど」
ゆりは立ち上がり、お湯から出ようとした。ハインリヒは後ろからゆりに抱きついた。
「なんかすごい悲しかった。」
「ごめんごめん」
ゆりがふとハインリヒの蛇を見ると、蛇もなんだか悲しそうにうなだれていた。
「あらら」
「ひどい・・・あなたのせいですよ」
「まあいいじゃん、そのうち元気になるよ」
ゆりはハインリヒの肩をぽんぽんとたたき、浴室を出て行った。
「・・・」
ハインリヒは口を尖らせて自分の蛇を慰めるようになでていた。
浴室には巫女の服っぽいものが置かれていた。すぐ脱げちゃいそうな簡単な服だ。ハインリヒに部屋に移動させて
もらうと、皆来て待っていた。それぞれ楽な格好をしている。
「ゆり様、部屋の準備できましたよ」
ディランが言った。
「えー？できたの？行ってみよう」
一同一緒に移動すると、大きな部屋にどんと大きなベッドが置かれて、ベッドの周りには花と花びらが
きれいにひきつめられていた。いいにおいが漂っている。
「わあ・・・」
ゆりはしゃがんで花びらを手にとり、撒いた。
蛇がすぐ近くまで来てるのを感じる・・・
「じゃあ始めようかな。最初はドルイド来て」
ゆりはドルイドを見て呼んだ。
「我々はどうしていたらいいんです？」
「部屋の中にいてくれたらいいよ。順番まっててね。ドルイドは私だけを見ててね」
ゆりはドルイドの手を握り締めて、ベッドにいざなった。
やがて、ベッドの上ではゆりとドルイドが裸で抱き合っていた。他の男たちはベッドの下に腰を下ろして、
それを見たり、見てなかったりそれぞれ好きにしていた。
「ああ・・・」
ゆりのあえぎ声が聞こえた。
すごく興奮してきたなあ・・・
レイアスがそう思っていると、天井からするりと紫色っぽい蛇が降りてきた。
「あ・・・」
他の男達もそれに気づいた。蛇はゆりの中にするりと入った。
「それじゃあ、ドルイドはまた後でね、次はディラン来て」
ゆりは次の男を呼んだ。
最後に呼ばれたハインリヒは、かなり不機嫌そうな顔をしていた。
「何怒ってるの？」
ゆりが笑って聞いた。ゆりの目尻は少しあがっていた。顔立ちも少し変わって見える。
「なんで最後なんですか？」
「別に。いつまでもいじけてないの。おいでよ、」
「・・・」
ハインリヒはゆりを抱きしめた。肌をなでて愛撫してるうちに、ゆりが不思議な言葉を吐き出した。
「ttkktkkkkkkskkskskkkskk」
一同がゆりに注目した時、部屋の中にぬっと二匹の白い蛇霊神が入ってきたのだった。
「わ・・・」
「woisskkklwlklll」
ゆりはまた何かいい、二匹の蛇はゆりに擦り寄るように寄ってきた。そしてゆりの肌に
ペタペタよりそうように引っ付いた。
「siiiiiskskskkss」
ゆりがすっと横に手を払うと、二匹の蛇はふらふらと漂って部屋を出て行った。
男達はぽかんとしてそれを見ていた。
やがて、ハインリヒの元に思念が届いた。
「陛下の中に蛇が入ったようです」
「そうなんだ。成功したんだね」
ゆりが微笑んだ。
「え？もう終わり？この前の方が過激でしたよーゆり様」
レイアスは唇を尖らせていた。まだゆりは男達にはほとんど何もしてない。
「レイアスは不服？」
「だって・・・」
「蛇が入ったんならよかったじゃないか」
ディランが言った。
「でもやけにあっさり終わりましたねえ」
とフークス。
ゆりは起き上がってふふふと笑った。
「今のはためしに蛇呼んだだけだよ。ちゃんと女王様に入るか確かめたかったから」
「本当ですかあ？」
レイアスの目が輝いた。
「もちろん♪せっかく呼ばれたんだから最低10匹は蛇呼んであげないとね。今度は二人ずつで
かわいがって。レイアス来て」
「はーい」
「今度は最初にしてあげる」
ゆりは横にいたハインリヒの腕をひっぱった。今度は４本の手がゆりの肌をまさぐった。
「ゆり様、僕もう我慢できないです・・」
レイアスがあえぐように言った。ゆりは男の下半身にはたまにそっとなでるくらいで最後までしようとは
してない。
「もうちょっと我慢しなさい。後で一杯いかせてあげるから」
「ううう・・・」
「指でいかせて」
二人の指が同時にゆりの下半身をまさぐり、一人が指を体の中にいれるともう一人も入れてきた。
「はあ・・・」
ゆりは両方の男と口付けを交互にかわし、やがて体がびくびくと痙攣した。ゆりの肌からさらに
いい匂いが漂ってきた。
「じゃあ次の二人きて」
ゆりは同じように他の４人ともからまり、達して、やがてすごい濃厚な匂いが部屋の中を漂いだした。
「ああ・・・もう・・・我慢できない・・・」
男達の風貌に変化が現れてきた。
「いいよ。皆変化して。綺麗な蛇見せて、皆ベッドにきて。レイアス、おいで」
「うう・・」
レイアスはすっかり変化していた。
「ここに立って、今からは一杯みんなも楽しんでね」
ゆりはレイアスの興奮した下半身に指を這わせて、それを舌でなめた。
「う・・・」
ゆりは口で愛撫を始めて、他の男たちは固唾を飲んでそれを見つめていた。
「あ・・・ああ・・・・いい・・・」
興奮しまくっていた体はすぐに達してしまい、ゆりの肌に液体が注がれた。
「じゃあ次はルーク来て」
ゆりはルークを呼び、同じように愛撫した。
「ゆ・・・ゆり様・・・」
「抱いてる気になってね」
「はい・・・」
やがて待ちきれなくなった男達がゆりの肌をまさぐり始めた。
男達のあえぎ声と、荒い息が、絶え間なく聞こえ続けていた。
男達は皆変化したまま、ゆりの淫気によっぱらったようにゆりの肌をまさぐり、興奮状態は
治まらなかった。
「素敵よ。皆・・・」
「ああ・・・」
「ゆり様・・・・」
やがて、全員の興奮が絶頂に達した時に、ゆりは再び不思議な呪文を口にした。
部屋の中に次々と蛇が入ってきて、部屋の中の淫気によっぱらうようにみなふらふらになり、部屋の
中をぐるぐると回っていた。部屋の中は様々な色の蛇霊神で埋め尽くされて、ゆりが再び何か言うと、
皆ふらふらと部屋を出て行った。
蛇がいなくなるころ、ゆりの淫気は綺麗に消えていた。それと同時に男たちの変化もとけていた。
「すごく一杯きましたね。蛇」
レイアスがぼんやりと言った。
ドルイドがタオルでゆりの肌を覆ってくれた。
「ありがとう」
「大丈夫ですか？ゆり様」
ディランが聞いた。
「大丈夫だよ」
「今回も、すごく楽しかったですよ。ゆり様」
フークスが言った。
「まだ終わってないよ」
「え？」
「やだなあ、こういう儀式は、やっぱり夜じゃないと。午後の部はこれで終わりでこの後は夜の部ね」
ゆりがにこにこして言い出した。男たちはあっけにとられている。
「え？まさかもう無理とか言わないよね。まだ私、愛され足りない」
興奮からさめた男たちは、皆シーンとしていた。
「ディランも私のこと、まだ愛し足りないよね？」
ゆりがディランを見て言ったので、ディランは思わず「はい」と言った。
「しばらく休むから大丈夫よ。お風呂入って、ご飯食べて、それから。この中で一番お酒に強いの
だれかな？」
ゆりは６人の顔を見回して聞いた。
「それは、私ですよ」
ハインリヒが言った。
「そうなの？私お酒に強い男って大好き。この部屋綺麗にしてもらって一杯お酒運んで置いてもらえる？
後で楽しくみんなでお酒のもうね。ドルイド、お風呂に連れて行って」
ゆりはドルイドに手を伸ばし、二人は消えた。
「お酒・・・わあ、夜はどんななんだろう、すごく楽しみだ」
レイアスが両手で両頬を挟んで言った。酒と聞くとやはり目が輝かずにいられない。
「やっぱり男10人くらいいたほうがよかったんじゃないか？」
ハインリヒがぼそりと言った。
「私からだ洗ってきます〜」
ルークはふらふらして出て行った。
「何？儀式はまだするのか？」
ディランから思念を聞いた女王は王の間で驚いていた。
「さすがすごい巫女は、やはりすごいのう・・・もうだいぶ蛇が入ったが・・・よかったのう、一杯
入れてもらって」
女王はうれしそうにおなかをなでた。王の間にいた他の者らと蛇の数を数えていたのだが、結局何匹かわから
なくなってしまった。
「これは良い酒を用意させねばのう。ほほほ」
女王は上機嫌で指示を出した。
体をきれいにしたゆりは自分の部屋に戻っていた。他の男達も部屋の中にいる。
テーブルには大量の食べ物も用意されていた。
「皆食べてね。」
ゆりはドルイドの膝に乗ったままでサンドイッチを食べていた。
「はい、ドルイドもあーんして」
ゆりがサンドイッチをドルイドの口元に持って行った。ドルイドも素直に口を開けている。
先ほどあまりにみだらな時を過ごしたと思えないほど、ゆりは無邪気ににこにこ笑っていた。
「ゆり様、次こっちきてくださいよ」
レイアスが呼んだ。
「まだもうちょっとドルイドといる。私蛇の目の人好きなんだもん」
「ぶー」
「今回の蛇さんもかわいいですねえ。」
フークスが言った。
「かわいいでしょ？私あんまり降りたことないけど」
「そうなんですか？やはり毎回降りる女蛇は違うんですか？」
「巫女と相性のいいのが降りるんじゃない？」
ゆりはドルイドの膝から下りて、レイアスの膝に乗って食べ物をむしゃむしゃ食べていた。
レイアスは喜んでゆりをなでなでしている。
「ルークも何かたべなきゃだめだよ」
「は、はい・・・」
ハインリヒとディランは長椅子で酒を飲んでいた。
ゆりはそれぞれの膝に乗っては引っ付いていた。今はハインリヒの膝に乗っている。
「ハインリヒ様の蛇ってすごいですねえ。顔が二つあった」
レイアスが思い出したように言った。
普通の肌の蛇を見ることがあってもなかなか男が変化したのを見る機会はない。
「そうね。黒くて強そうな蛇、好き」
「さっき嫌いって言ったくせに・・・」
「いじける所がかわいいから好き」
ゆりが笑って言った。
「・・・・」
ハインリヒはゆりの腰に両腕を回した。
「私のこと好き？」
「好きですよ・・・ちょっとだけめろめろになりました」
「ふふ・・・明日の朝にはもっとなってるよ。ディランってお酒に酔ったことある？」
ゆりは横のディランを見て聞いた。
「大人になってからはないですよ。一族の男はなかなか酔わないですからねえ」
「ふふ・・・じゃあ今日は忘れられない一日になるよ」
ゆりがにっと笑って言った。
外が薄暗くなるころ、一同は再び先ほどの部屋に移動した。ベッドの上はすっかり綺麗にされていて、
部屋の横には酒瓶が木のケースごと5つほど積まれていた。それが５つ並んでいて大きな樽も一つおいてある。
「うわ、すげーこれ高いお酒ですよ。やったあ」
レイアスが酒を一本取り、言った。
「一晩で全部飲むのはもったいないですね」
フークスが言った。
「皆好きに飲んでて。それじゃ、今度はフークスから」
ゆりはお酒を一本取り、ベッドにフークスを呼んだ。
「一体何するんですか？」
「もちろん、フークスがお酒飲むんだよ」
ゆりはお酒の瓶の蓋をとり、一口お酒を飲んでフークスに口移しで飲ませた。
「いいですね。なかなか・・」
フークスはぺろりと唇をなめた。
「もってて」
ゆりはフークスに酒をもたせて服を脱いでベッドの横にほった。
「フークスも脱いで」
「はい」
ゆりはお酒を受け取り、自分の胸元にお酒を注いだ。白い肌に紫色の液体が流れて、男達の目が
釘付けになった。
「じゃあ飲んで、フークス」
「官能的ですね・・・くせになりそう・・・」
フークスは寝転んだゆりの上に乗り、ゆりの肌に舌をはわせた。
男たちはぼけーとして眺めてしまった。
やがてそれぞれが同じようにゆりの肌に注がれたお酒を飲んだ。
「おいしい？ディラン」
「はい・・・おいしいです。とても・・・」
男達はなんだか皆ぼんやりしてきた。肌に注がれたお酒をなめているうちに、妙な気分になってきたのだった。
部屋の中にも、妖しい匂いと酒の匂いが漂い、男達にとってはなんともいえない匂いになっている。
「どうしたの？皆お酒飲んでないじゃない。飲んで」
ゆりが他の男達を見て言った。
男達は酒に手をのばしてぼんやりした表情で飲み始めた。
ゆりは次々とお酒を注いだり口移して男達にお酒を飲ませ続けた。
「それじゃ今度は二人ずつきて、もっと一杯飲んでね」
ゆりが言うと、二人の男がゆりの体を抱きしめた。
「ゆり様、好きですー」
ゆりの背中からレイアスが抱きついた。
「わ・・・私も好きです・・・」
ルークが言ってからゆりに抱きついた。
「あ・・・」
ゆりは何かを感じた。
「蛇が・・・」
二人が体を離すと、ゆりの肌にべったりと緑と赤の蛇がくっついて移動していた。
「ふふ・・・蛇も興奮してきたんだね」
二人がゆりの体をまさぐり、ゆりの肌に金色の蛇が現れると、二匹は移動してそれぞれ蛇の上に
重なった。
「ああ・・・うれしいですよ。ゆり様・・・」
「私も・・・うれしいです・・・」
二人はうっとりとゆりを抱きしめた。
その姿に触発されたのか、他の男たちもゆりにひっつくと、それぞれ蛇が肌に移動して、ゆりの蛇と
べったりひっついた。
「黒い蛇ちゃんもおいで」
ゆりがハインリヒに言った。
「もう嫌いって言わないです？」
「言わないよ」
ハインリヒはゆりを抱きしめた。
やがて闇がふけるころ興奮は高まっていき、肌の蛇がいりまじっての愛と欲望のひと時は過ぎて行った。
酒に強いはずの男たちも、やがて頭がふらふらになってきていた。
それでも興奮は収まらずに、やがてゆりの淫気に変化した男たちは、興奮の絶頂を感じて、
ゆりは再び不思議な呪文を口にしたのだった。
再び部屋の中をおびただしい蛇が入ってきて、その蛇は全て女王の元へと向かい、ゆりは気絶して、
男たちもベッドの上と下でぐったりなってしまったのだった。
こうして長い儀式は終了したのだった。
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