第35話
最近ユリウスが変だ。いや、前から変な女だとは思っていたが・・・というか、外見だけは女で中身は絶対
女じゃないと思っていたが・・・
あれ以来、顔を合わせばユリウスに子蛇を見せろと言われるジェナサイトは、さすがに腑に落ちない思いでいた。
相手が他の女ならともかく、あのユリウスにしょっちゅう言われるのはなんだか怖い。
ユリウスが男嫌いで今まで散々赤い月の誘いを拒絶してきた、というのはジェナサイトさえ知っていることだ。
誰もが皆赤い月を男と過ごすわけでもなく、赤い月に反応しない男もいれば、反応できない女もいるだろう。
ユリウスは力が強い女なだけに、もったいないと思われてるだけだ。
力が強い男は義務のように複数の恋人がいて赤い月に相手をしているが、力がそんなにない連中はそうでもなく、
毎年その気になったりならなかったり、という感じだ。ジェナサイト自身も毎年女を抱きまくってるわけではない。
ジェナサイトは念のため、他の子蛇をもらった連中に聞いてみたが、だれもユリウスにそんなことを言われた者は
いなかった。
何で俺だけ・・・
その日、町の警備についていたジェナサイトだったが、突然腕を引っ張られて、後ろを向くとユリウスがいた。
「ジェナサイト、後で蛇見せろ」
「・・・」
ユリウスは言うだけ言うと去って行った。
その日の夕方、仕事が終わったジェナサイトが砦にいると、ユリウスが側にやってきた。
「おお、最近よく二人一緒にいるじゃないか。感心感心」
ヴィクターはジェナサイトの肩をたたいて通り過ぎて行った。ヴィクターはもう少しで二人目の子供が産まれる
所なのですこぶる機嫌がいい。
ユリウスはジェナサイトの腕を引っ張って移動させた。
「・・・ユリウス、今日で何回目だと思ってるんだ？」
「あん？」
「もう10回以上にはなるぞ」
「そうか？」
「なんで俺だけなんだ。他の男からも見せてもらえばいいだろ。」
「他の男は言いにくい」
「なんでそんなに蛇が見たいんだ」
「子蛇が好きだからだ」
ユリウスはあっさり言った。
ああそうか、納得。って・・・それだけの理由で毎回服を脱がされる俺の立場は？
「今日は蛇どこにいるんだ？」
「おしりだ」
「え・・・」
「だから今日は見せないぞ」
「・・・見せろ」
「え？」
「いいだろ。別に減るもんでもなし」
「お前、それは男のセリフだ。お前にしりを見せるのは嫌だ。それともなんだ、お前が肌の蛇を
見せてくれるって言うのなら、見せてもいいが・・・」
ジェナサイトは反撃するように言った。ユリウスはジェナサイトを横目で睨んでいる。
まあいいか、これで終わるなら終わった方がすっきりするし・・・
「いいぞ」
「そうだろ？お前だって嫌だろ？」
「いいって言ったんだ」
「え？」
ジェナサイトは思わずたじろいだ。
「ちょっとうちに来い。誰か来るといやだし」
意外な展開だな・・・どうなってるんだ？？？
ジェナサイトは首をかしげながらユリウスについて行った。
てっきり嫌だといわれると思っていたのだが・・・
ユリウスは結構大きい屋敷に住んでいる。それは、父親がかなり力が強い戦士だったからだ。一方ジェナサイトは
戦士寮に住んでいた。下級・中級の戦士は、寮に住んだり、自分の家で親と住んだり、本人らが好きにしている。
家も庶民よりは大きい家を持つくらいの収入はあるのだが、寮住まいならしょっちゅう仲間と酒も飲めるし、洗濯も
出しておけばやってくれるし、食事も出るので楽なのだ。
ジェナサイトはユリウスに連れられて、酒を飲む部屋に連れて行かれた。
「なんだか寂しそうな屋敷だな・・・」
ジェナサイトが言った。
「私のほかは使用人だけだからな・・・」
「そうか・・・」
「とりあえず酒でも飲め」
ユリウスはテーブルに杯と酒瓶を置いた。
「そうか、じゃあ遠慮なく」
変な女だな、自分の屋敷に男を招待するなんて初めてじゃないのか・・・
ジェナサイトは勝手に酒をついで飲んだ。
ユリウスは伏せ目がちに、何か考えるような表情をしている。
「お前、さっきの事、真面目にいいって言ったのか？」
ジェナサイトが聞いた。
「ん？」
「蛇の話だ。」
「ああ、まあ確かに考えてみれば、見せてもらうばかりも不公平だしな・・・」
「・・・何考えてるんだ？」
「ん？」
ユリウスが顔をあげた。
「普通、女は赤い月を過ごす男以外には蛇は見せないぞ？」
「そうなのか？」
「普通はそうだろう」
「ふーん・・」
「ふーんって・・・」
「・・・実は・・・赤い月にちょっと興味がわいてきたんだ」
ジェナサイトは瞬いた。
「そりゃ目出度いじゃないか。よかったな」
「だから男がいるんだ」
「・・・」
ユリウスはじっとジェナサイトを見ていた。
「・・・おい、まさか、俺って言うんじゃないだろうな」
ジェナサイトはうれしいと思うよりも逆に寒気を感じていた。
「嫌なのか？」
「嫌もいいも・・・そういう気になったのなら、もっと上を目指せばいいだろ。せっかくなんだから」
「上？」
「力が強い男を相手にしろ」
ジェナサイトは真面目な顔で言った。
「お前外見はいいんだからもっとしゃべり方を変えてだな、かわいらしくしろ。そうすれば誰だってその気になって
くれるぞ」
ジェナサイトはそう言って酒を飲んだ。
ジェナサイトは、自分がユリウスとそうなるなんて事を考えた事も無かったし、想像もできなかった。赤い月に誘った
事もない。そんな恐ろしいことを考えたこともなかった。
「私は自分より力が強い男は好きじゃないんだ」
「男は皆嫌いだったんじゃないのか？」
「中でも力の強い男は嫌いだ。王は別だぞ。王は大好きなんだが・・・他はだめだ。気を近くで感じるだけで
ぞっとするんだ。それは今もそうだ。だから無理だ」
「変な女だな。普通は強い男の方が好きなもんだが・・・」
ジェナサイトが首を傾げて言った。
「じゃあ何か？俺がお前より力が下だからいいって思ったのか？」
「お前の気はそんなに強くないからいいんだ」
こいつ・・・人が気にしてることを・・・
ジェナサイトの顔が引きつった。
「お前より弱い男だって一杯いるだろ」
「王妃がお前はどうかと言ったからお前にした」
「王妃が？」
「とりあえずジェナサイトに慣れたほうがいいといわれた」
「・・・それでしょっちゅう蛇見たがったのか？」
「まあそういうわけだ」
「・・・・」
良く分からん女だ・・・どうせなら、女らしく迫るとかできないのか・・・それを期待するのは無理か？
「お前決まった女はいるのか？」
「決まった女はいないが・・・・じゃあ何か？お前来年の赤い月を俺と過ごしたいって言うのか？」
「いや、そこまでは言ってない」
「なんなんだ？」
「今はちょっとその気になったが、来年まで気持ちが持続する自信はまだない。とりあえず今の内に
男と交わってみたいんだが・・・」
ユリウスは真面目な表情で言った。
「あのな・・・ユリウス・・・お前根本的に間違ってるぞ？」
ジェナサイトも真面目な顔で言った。
「どこがおかしんだ？」
「俺にはお前がどうしてもそういう気になったとは思えないぞ？」
「そうか？」
「どっからみてもそうだろ・・・」
ジェナサイトはあきれて言った。
色っぽい目で言われるならともかく、ユリウスの目は全く普通だし、自分になんらかの感情を抱いてるという感じ
でもない。
それで交わるだの言われても・・・そうかと言って抱く気にもなれない。
「じゃあなんだ？私の思いはただの気のせいだったのか？」
ユリウスの方が首をひねっていた。
「ユリウス、赤い月に興味を持つってのと、男と交わるってのはまた別だぞ？ただでさえその気になりにくい女が
普段男に抱かれるのは辛いだろうし・・・思うだけと実行に移すのはまた違うんだぞ。」
「うーん・・・そうか・・・」
「男と女が交わるには、それなりの感情の高まりがなければ無理だぞ。そりゃな、お前を抱きたい男は一杯いるだろ
うし、お前がそういえば抱こうとすると男もいるだろうが、お前自身が本当にそういう気になってないと、男と交わ
ったとしても、あんまり意味は無いと思うぞ」
「じゃあどうすりゃいいんだ」
「お前、子供がほしいなーとは思うのか？」
「それは思うぞ、王妃のお子様たちを見るたびに思うし・・・だが男の相手をするのが嫌だったんだ。
ジェナサイト、知らない内に赤い月を男と過ごして子供できるって方法はないか？」
「あるか、そんなもの」
ジェナサイトははあとため息をついた。
「うーん、なかなか思うとおりにはいかないもんだな・・・」
ユリウスは腕を組んでいる。
「ちょっとその気になる程度じゃ無理なのか。王を喜ばせることができると思ったのになあ・・・」
「・・・」
ジェナサイトはテーブルに肘をついて顔を支えていた。
「んじゃこうするか、俺がお前に来年の赤い月まで男に慣れる協力をしようじゃないか。その代わり、その気に
なったら次の赤い月は俺と過ごすこと」
「その気にならなかったら？」
「その時は俺と過ごさなくてもいいが、他の男とも過ごさない事」
「ふうん、まあいいぞ」
「なら誓約書書いてくれ」
「なんでだ」
「お前が男に慣れたとたんに他の男に走ったら、俺がかわいそうじゃないか」
「疑り深いな・・・まあいいだろ」
ユリウスはその場から消えて、ペンと便箋をもってきてすらすら書いた。
「これでいいか？」
「いいだろ」
ジェナサイトはそれに目を通して言った。
そしてインクが乾くのを待ってから折り、上着の中にしまった。
「じゃあ今日はこれで帰る。また来てもいいか」
「ああ・・・」
ジェナサイトが右手を出した。
「なんだ？」
「握手だよ。手出せ」
ユリウスが手を出すと、ジェナサイトはいつものお返しのように手を握って大きく上下に振るった。
「じゃあな」
ジェナサイトはそう言って消えてしまった。
「・・・・」
ユリウスはちょっと首をかしげて、再び酒を飲みだしたのだった。
ザクート王がやってきて一月くらいが経過して、ミカエルがゆりの部屋にやってきた。
「あ、ミカエル、おひさ♪」
ゆりはミカエルに近づいて両手を握って言った。
「あれから大丈夫だった？」
「寝込んでましたよ。しばらく。彼女のおなかが大きくなってきたんでしばらくこなかったんです」
「そうなんだ。もうすぐだねえ。フリットの彼女のおなかも大きくなってきたって言ってたし」
「そうですね」
ミカエルはゆりの手を離してゆりの髪をなでなでした。
「王妃の顔を見るとほっとしますよ」
「私もミカエルのいい顔見るとうれしいよ」
二人で突っ立ったままほのぼのしていたら、扉がノックされて開いた。中をのぞいたのはハインリヒだった。
「あ・・・」
ハインリヒはミカエルを見てちょっとびびったように言った。
「ザクート王にけちょんけちょんにされたんだってな。見れなくて残念だったな」
ミカエルがハインリヒに笑って言った。
「あなただっていたら私以上にけちょんけちょんにされてましたよ」
ハインリヒがむっとして言う。
「ミカエルは全然記憶ないの？」
ゆりが聞いた。
「ないですよ。残念な反面、覚えてなくてよかったような気もしますが・・・」
「ははは・・・」
「中身が違うと、見かけも全然違いますね」
ハインリヒが仕返しのように言った。
「お前何しに来たんだ」
「王妃と愛し合いに」
「え・・」
とゆり。
「あなたは彼女が大事な時だから、側にずっといたらどうです？」
「王妃、約束してたんですか？」
ミカエルがゆりを横目で見て聞いた。
「いいや、してないよ。」
「いつも約束なんてしないですよね。王妃」
「え・・・これ・・・」
ミカエルとハインリヒはにらみ合っている。
二人の間に火花が散っていた。
何で今頃こんな事になってるのかゆりは不思議だった。
「王妃、古代叙事詩を深く理解するために、王妃の愛が必要なんです。協力してくださいね」
ハインリヒはゆりに笑って言った。
「なんで私が」
「そうだ、他の女に好きなだけ協力してもらえ」
「嫌です。いきましょ。王妃」
ハインリヒは素早くゆりを横の部屋につれて言った。
「あ！」
「ちょっとお、やめてよ。ミカエル嫉妬深いんだから」
別室の方でゆりはぶーぶー言っていた。
「どうするかな？こっち来るかな？」
「え？」
ミカエルもこっちに移動してきてゆりはぎょっとした。
「やっぱりきた」
「へ？何言ってるの。あっち戻ろうよ」
ハインリヒがぎゅっとゆりを抱きしめた。
「だーめ。実は、ミカエルにいっつもどんな風にされてるのか気になってたんです」
「は？」
「あなたがどんな風に感じてるのかすっごい気になる」
ハインリヒの瞳が妙に妖しく輝いていたので、ゆりはハインリヒの手から抜け出して、ミカエルのほうに移動した。
「ミカエル、あんなばかほっといて戻ろうよ」
「王妃、大丈夫ですよ。私がずっと側にいますからね」
ミカエルはゆりを抱きしめて言った。
「へ？」
ミカエルの顔を見ると、ミカエルも妖しく微笑んでいた。
「あのー・・・二人とも、変だよ」
「だって王妃、たまにハインリヒといちゃいちゃしてるんでしょ？」
「それは・・・そーだけど・・」
「私だって気になってましたよ。あの男、王妃に対しては妙に自信ありそうだし・・・」
「そんなことはないよ。全然・・・」
「この際どっちが上かはっきりしてください」
「どっちが上って・・・今はっきり言ったら、もう片方にえらい目にあわされるじゃんよ」
ゆりは泣きそうになりながら言った。
「こういうことは、体に聞くのが一番ですよ」
ハインリヒはベッドに座って言った。
「な、何やらしいこと言ってんの！？」
「私は二人の方がいいんだけど・・・」
ミカエルまで！
ゆりはがーんとなった。
「王妃がハインリヒを儀式のメンバーに入れないって約束してくれるのなら、やめますけど」
「え、そんな先のこと知らないよ。しばらく儀式ないし」
「私、強引に入りますよ」
ハインリヒが言った。
「・・・・」
「王妃が悪いんですよ。あんな男連れ帰ってくるから」
「よく言いますね。私の蛇の子供もらったくせに」
「王妃の蛇の子供。さあ、王妃、久々に愛し合いましょうね」
ミカエルはゆりを抱き上げてベッドに運んだ。
「あのー・・・せめて・・・どっちか他の男に変わって！お願いだから」
「「嫌です」」
「この組み合わせはいやー！！」
ゆりの悲鳴はまるっきり無視された。
「ミカエルー二人っきりの方がいいでしょ？ねえ」
「王妃がハインリヒを無視すれば二人っきりですよ」
ミカエルはゆりを抱きしめて言った。
無視できるかー！！！
「そんなことできないですよね。王妃私のことすごく好きだもんね。向こうでも熱烈に愛してくれたし」
「嘘、嘘、嘘です」
ミカエルににらまれたのでゆりが言った。
「別に怒らないですよ。私のほうをもっと熱烈に愛してくれれば」
「もう勘弁してください」
これは一体何の罰ゲーム？
何で今頃こんなことになるんだー！
ゆりは体を横にされてミカエルに口付けをされた。長い口付けの後、ミカエルは顔を離してゆりの服に手をかけた。
「ねえ、二人とも・・・」
「次はこっち」
ハインリヒに顔を向かされてキスされた。
「う・・・」
「今日も綺麗な肌ですね。王妃」
ミカエルはゆりの服を脱がして行き、肌に触れた。
「今日の胸も綺麗ですよ」
ハインリヒの手がゆりの胸をなでた。
だめだ・・・この組み合わせはきつすぎる・・・理性が・・・理性がどっかいく。
手振ってどっかいく〜！！
バイバ〜イ（理性の声）
すっかり裸にされて肌をまさぐられ、キスされているうちに、ゆりはもう、すっかり二人に身をゆだねてしまって
いた。
「あ・・・ああ・・・」
口からは甘い吐息がもれだしてゆりの気はピンクに変わってきていた。
「かわいいですよ。王妃・・・」
「好きですよ。あなたの全てが・・・」
もうだめだ・・・儀式みたいになっちゃう・・・自分でもしたくなる・・・
「ミ・・カエル・・・口でしたい・・・」
ゆりはとうとう口に出して言ってしまった。
「うれしいですよ。王妃」
ミカエルはズボンを脱いで裸になり、ゆりの口元に体をあてがった。
ゆりはそれに手で触れて、やがて舌でなめまわした。
「あ・・・」
下半身にハインリヒが顔をうずめていた。
「あ・・・う・・・」
「王妃、こっちに集中して・・」
「ん・・・」
ゆりはミカエルの体を口に含んだ。
「気持ちいいですよ。王妃・・・」
ハインリヒの愛撫も執拗に続き、やがてゆりは体を痙攣させて、ミカエルは体を離した。
ミカエルの精がシーツの上にだされていた。
好きな男が同じように達してくれると、うれしい気分になる。
「王妃、私にもしてくださいね」
ハインリヒが甘えるように言った。
「いいよ」
女蛇も降りていないのに、ゆりは妙に盛り上がってしまい、儀式のような高揚感を感じていた。
ゆりの淫気がすごくなると、男たちの肌には両方違う蛇が浮かび、瞳も変わっていた。
「ああ王妃・・・」
「ああ・・・！」
3人の甘い吐息とあえぎ声だけがしばらく部屋の中には響いていた。
やがて、部屋の中にすっと黒っぽい蛇が二匹やってきて、部屋の中をくねくねと行ったりきたりした。
「あ・・・」
蛇はしばらくふらふら飛んで、やがてそのまま部屋を出て行ってしまった。
「・・・」
ゆりの瞳が正気に戻り、さっと興奮の波が引いて行った。
えらい盛り上がってしまった・・・・
「楽しかったですよ。王妃」
ハインリヒが笑ってゆりの額にキスした。
「私も、すごくよかった。一杯興奮してしまった・・」
ミカエルも満足げに笑っている。
なんだか・・・二人に遊ばれた気分・・・
「二人とも嫌い」
ゆりはぷんとむくれてシーツに顔をうずめた。
「今日は、引き分けですね」
とハインリヒが言った。
「そうかな。王妃は私のほうが感じてたような気がする。ねえ、王妃」
「そんなことないですよ。ねえ、王妃」
ゆりは無言だった。
「それにしても・・・お前の蛇紋は・・・ちょっと驚いた」
ミカエルがハインリヒの胸を見て言った。蛇紋の蛇の頭は今は消えている。
「かっこいいでしょ？」
「もしかして子蛇が成長したら、蛇紋そうなったりして・・・」
ミカエルは最初よりはちょっと大きくなった右手の子蛇を見て言った。
「もしかして・・・二人で私をはめたんじゃないの？」
ゆりが顔をあげて二人をにらんだ。
「そんなことないですよ。」
「そこまで仲良くないですよ」
「結構仲いいじゃん」
「でも王妃もすごく興奮してたからいいじゃないですか。たまにはこういうのもね」
ハインリヒがにこやかに言った。
「私はやっぱり二人の方がいいが・・・王妃二人の時より燃えてましたね」
「・・・」
「しょうがないですよ。巫女だから。でも体まで要求しないのはさすがですよ。王妃」
ハインリヒが言った。ほめてるのかけなしてるのかさっぱりわからない。
「でも燃えてる王妃はかわいいですよ。一番かわいい」
とミカエル。
「もういい。二人ともしばらく部屋こないで」
ゆりはむっとして言った。
「興奮が冷めたら全部忘れたようになるところはあんまりかわいくないですよ」
ハインリヒの言葉にゆりは舌を出した。
くそー私はいい男に免疫もできてるはずなのに・・・なんでこうくらくらと参っちゃうんだ・・・・
まあいいか。たまには・・・・
ゆりは二つの整った顔を見てつい思ったが、その思いは心の底に封印したのだった。
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