「ガーベラ、いつまで寝てるのよ。起きなさいよ」
ゆさゆさ身体を揺らされて目を開けると呆れ顔のダーナが立っていた。
「んー？何か用？」
ガーベラはそう言おうとしたが、しゃべれないので口ぱくだけだ。
ーもう昼よ、昼。お祝い言いに来てあげたのよ。
ーお祝い？何の？
ダーナは心に話しかけてきてくれたのでガーベラは理解できた。といっても、こうして話せるのも数人で、
神全員と話しができるわけではなさそうだ。
ー何のって・・・ようやく二人目の子供が産まれたお祝いに決まってるじゃない。他に何があるの？
ー・・・え？
ガーベラはぱっちり目を開けた。ちょっとの間人間界に行ってたのでその間の記憶は全然ない。
ー誰の子供？
ー・・・あんた寝ぼけ過ぎよ。ジンラよ。ジンラ！
ーちょっと行ってくる！
ガーベラはがばっと飛び起きて寝室を出て行った。
ーちょっと、髪くらい整えて行きなさいよ。全く！
ダーナの言葉は無視してガーベラはそのまま移動してジンラの元に行った。移動先はジンラの神殿で、部屋に入ると
ジンラと、クーリーフンが紫色の髪の子供をだっこしていた。
本当だ！子供がいる！
ガーベラは目を見開いて紫色の髪の子供をじっとみた。子供はガーベラを見て、ちょっときょとんとした顔をした。
ーだっこさせて
ーうん。かわいいねえ
クーリーフンが子供を渡してくれて、ガーベラは腕に子供をダッコした。
子供は首をかしげていたが、やがて、にこっと微笑んだ。
ーかわいい。かわいい〜！！
ジンラもにこにこしていた。
ーお母さん、髪が乱れてるよ？
クーリーフンがガーベラの髪を見て言った。
ー急いできちゃったから。この子名前なんだっけ？
ーアマンザだよ。
ーアマンザ、かわいい
ジンラはガーベラに近づいてきてガーベラの頬にキスした。
ううふ、ジンラったらすっごいうれしそう。
うれしいよね。ジンラの力あがったようだし。
それにしては、まさか向こうの時子供産んじゃうとはびっくり。
ガーベラは別段嫉妬する事もなく、普通に自分が子供を産んだように喜んでいた。神の子供というのは全くの偶然で
産まれるもので、産みたいといくら思っても産めるものではない。子供は自分の力に関係してくるために、男神達も
できる事ならとっても子供が欲しいのだ。
ああよかった。ジンラに子供ができて、私もうれしいわ。しかも産んだの私だし。
ジンラが他の女神に産ませたのならちょっとショックだが、自分が産んだということがガーベラにとってはうれしい事だった。
ジンラがうれしそうにいろいろ言っていて、クーリーフンが伝えてくれた。
「子供ができたから当分ガーベラだけにするよって。お前の涙には参ったって言ってる」
涙？なんで泣いたんだろう。まあいいや。
ガーベラはにこにこしてちゅっとジンラにキスし、子供にもキスしてとりあえずクーリーフンと神殿に戻った
のだった。
部屋でクーリーフンがガーベラの髪を整えていると、水色の髪の神、ラクアが入ってきた。
「やあガーベラ、今日も綺麗だよ」
クーリーフンがそのままガーベラに伝えた。ラクアはガーベラに近づいてきてちゅっとガーベラの頬にキスした。
「この前のガーベラ、本当にかわいかったなあ。なんだか必死な表情でいろいろ身振り手振りで訴えてて」
この前？向こうの時かな？
「この前のあれ、どこに使ったんだい？」
ガーベラがクーリーフンに伝えた。
そういえば向こうで水がどうの言ってたっけ
クーリーフンがラクアに伝えた。
「水に困ってる人にあげたんだって。助かったよ。ありがとうって」
「そうなの。君は優しいね。僕に直接頼めばいいのに」
ガーベラはニコニコ微笑んだ。
「ジンラの子供産んだんだってねえ、次は僕の子供産んで欲しいな」
ラクアは澄んだ瞳でガーベラを見つめて言った。
「じゃあちょっとがんばっちゃうって言ってるよ」
「うん。じゃあ今から・・・」
「まだ化粧水つけてないのって」
「後で僕がつけてあげるよ」
「まあってさ。後はごゆっくり」
クーリーフンはそこまで伝えると、部屋を出て行った。
ラクアは優しくガーベラにキスして、そのまま二人は仲良く寝室に向ったのだった。
第８話
今年も残す所後数日となっていた。年末といっても城の中は定期的に掃除されているので大掃除する事もなく、
城の中はまったりとした雰囲気だった。一部をのぞいては。
その日の午後、自分の部屋に戻ったハインリヒは、机の上が乱れ、棚の中の物が全部外に出されているのでびっくり
した。まるで物盗りでも入ったようだ。よく見ると、床の上にインクがこぼれていてぺたぺたと葉っぱのような形が
くっついている。
もしや・・・
その形は寝室の方まで続いていた。寝室のドアを開けると、ベッドの上に黒髪の赤ん坊が座っていた。ロイだ。
「ロイ様、だめじゃないですかもー」
「あは、あはは、トー」
「トーじゃないですよ」
「トーだっこ」
「え・・・」
ロイの手にはべったりインクがついている。布団の上も所々黒くなっていた。
「だっこだっこだっこ」
しょうがないなあと思い、ロイをだっこすると、やっぱり両手をべたべたっと頬につけられた。
「あはははは、まっくろ。あは、あは」
どうやらこれをやりたかったようだ。
くそガキ・・・・・・
つい思ったハインリヒははっとした。
王子様をくそガキ呼ばわりしてしまった・・・
一年経つ頃から双子には個性が出てきて、やはり男の子の方が活発だった。別々に行動するようにもなったのだ。
ロイはよく城の中を荒らして遊んでいる。
しばらくして話を聞いたゆりがハインリヒの部屋にやってきた。3人の女性が掃除中だ。
「あらら、激しくやっちゃったみたいねえ・・・」
部屋の中はインクの跡だらけだった。
その時、ハインリヒが部屋に入ってきて、ゆりはその顔を見て思わず笑った。
「あは、あはははははは」
「王妃様がなんて笑い方してるんです」
ハインリヒがむっと睨んで言った。顔を洗ってきたものの、インクが完全に取れなかったのだ。
「あらら、いい男が台無しじゃない。ごめんね。」
「ちゃんとしつけてくださらないと困ります」
「シスとラギはこんな事しなかったんだけどなあ。もしかして、黒蛇の影響かな？」
ゆりは何気にハインリヒのせいにしていた。
「そんなわけないでしょ」
「ごめんね。遠慮なく叱っていいからさ」
その時アナスターシャと一緒にナナミがやってきた。
「あは、あははははは」
アナスターシャがハインリヒの顔を見て笑った。
「あなた方ってほんと親子ですねえ・・・」
「ロイったら、この前私の部屋も荒らしたんだよー」
「とーどしたの？」
ナナミがハインリヒの顔を見上げて言った。
「ん？これ？ロイ様にいたずらされたんですよ」
「かわいそーね。」
ハインリヒはナナミを抱き上げた。
「ナナミ様はこんないたずらしちゃだめですよ」
「あい」
ナナミはうなずいた。
かわいい。どうせならナナミ様に黒蛇がくっついた方がよかったな〜
思わずそう思ったハインリヒだった。
「おなかすいた」
「じゃあ何か食べに行こうね。」
ゆりはナナミを受け取って部屋を出て行った。
「アナスターシャ様は最近フークスの夢見てるんですか？」
ハインリヒはふと思って聞いてみた。
「ううん。そんなに見てないよ。シスもそんなに見てないって言ってた。」
「そうですか・・・」
「帰りたいって思う？」
「いいえ、懐かしいとは思いますがね・・・」
ハインリヒは過去の世界を思って目を細めた。だが、頬に黒い跡がついていたのであんまりさまになってない。
アナスターシャは思わずまた「あははは」と笑ったのだった。
ゆりが双子の部屋に行くと、ロイは侍女に果物を食べさせてもらっていた。
「ロイ、だめでしょ。また悪さしたわね」
ゆりがちょっと怒って言うと、ロイはニコニコ笑っていた。
「もー笑ってごまかして」
ゆりはナナミを椅子に乗せてあげた。違う侍女がナナミに果物をあげて、ナナミがおいしそうに食べている。
「おしりぺんぺん」
ナナミが言うとロイがびくっとした顔をした。
「そうよ、悪い事したらおしりぺんぺんよ」
ゆりがいうと、ロイが口を尖らせている。
「まあまあ、王妃様、まだ赤ちゃんですから」
と侍女。
「そうだけど、いたずらの度合いがひどいからさー。この子」
「あ、フリットトー」
ナナミが扉のところを見て言った。するとロイは机の下にもぐりこんでしまった。
「んー？ロイ様またなんか悪さしたんですか？」
部屋の中に入ってきたフリットが机の下をのぞいて言った。
「してないもん」
ゆりがぷっと笑った。
「ロイったらまだフリットのこと怖がってるの？」
どうもロイは実の父親のラクシュミよりもフリットを怖がっているようだった。それもこの前ロイがいたずらして
フリットの髪を焼いてしまったからだ。その時おしりをぺんぺんたたかれたのだった。そのせいでフリットの腰くらい
まであった髪は、肩にかかる程度になっていた。今度水蛇さんが降りてきたら、ちょっとがっかりするかもしれない。
皆いたずらされても王子様には遠慮してあまり叱れなかったので、ロイはその時びっくりして、フリットの名前を聞く
だけでちょっとびくっとしている。
「わずか１歳でおしりたたかれる子供もいないよ。全く・・・」
ゆりが呆れて言った。5歳児ならともかく、まだロイは１歳なのだ。
ゆり自身ロイを叱ろうにも、なかなかいたずらの現場に出くわせないのだった。遠慮なく叱って
くれる者が一人はいないとロイのためにもならないだろう。
「本当ですよ。うちの男の子もおとなしいもんですよ。まだ」
とフリット。
「オルバ今度連れてきてよ。フリット」
オルバとはフリットの二人目の子供だ。１歳と半年ほどになる。ゆりはフリットとミカエルの子供は一度見たっきり
だった。
「そうですね。今度連れてきますよ」
「ソフィア弟の面倒見てる？」
「ええ、弟ができたのがすごくうれしいみたいですよ。」
「トー、いっしょにおねんねして」
ナナミがフリットを見て言った。
「いいですよ。おねんねしましょうね」
フリットはナナミをだっこして寝室の方へと連れていった。
するとロイが下の方から出てきた。
「ロイ、ハインリヒにごめんなさいしなきゃだめよ」
「ごめん・・・なちゃい」
「お母さんにじゃなくてハインリヒに言わないとね」
「あい」
「よしよし」
ゆりはロイを膝にだっこした。
「でもこの子達って、まだ１歳の割りには、成長早いねえ」
ゆりは侍女に言った。
「そうですね。他のお子さんよりも賢いですよ」
まあおなかにいる時から結構しゃべってたもんなあ・・・でも、１歳でこれなら、5歳になるころにはどうなってるんだ
その頃には皆におしりたたかれまくってたりして・・・・
「どうもロイは力をもてあましてるんじゃないかな」
夕食の時間、双子の話をしていたらラギが言った。
「まだ1歳なのに？」
とゆり。
「力を使いたくってしょうがないんだよ。早いうちからばんばん使わせる方がいたずら少なくなっていいかも」
「ふーん・・・」
「お父さんに言ってみるよ」
「よろしく・・・」
ラギって生意気だけどほんと頼りになる息子ね。
「そういえば蚊取り線香どうなった？」
「研究所の人が成分研究してるよ。その内試作品ができたら虎の国にまた行こうかな」
「いいなあ。私も虎見たいよう」
とアナスターシャ。
「僕も行ってみたいなあ。虎に乗るってどんなの？」
とシスが聞いた。
「怖いよ。虎族の子供たちって、ほんとすごい遊びするんだよ。崖から虎に乗ったまま駆け降りたり、崖から崖を
飛んだり、とにかくいっつも走ってるし。瞬間移動もできるけど、とにかく走るの好きだからいっつも走りまくってる
んだよ。ロイが大きくなっていよいよ手に負えなくなったら、しばらく虎の国で預かってもらうのもいいかも」
「・・・よく無事で帰ってきたねえ」
シスが今更ながらラギに言った。
今年も無事一年が終わり、新たな年が明けた。ちょっと寒々とした1の月の5日、アナスターシャは17歳の誕生日を
迎えた。17歳と言えば、ゆりがいた世界ではもうボーイフレンドの一人もいてもいい年だが、アナスターシャの外見
は、10歳くらいからたいして変わってはいない。
この分だと50年なんてあっという間よね。アナスターシャが50歳になる時、私は一体何歳？
考えるのが怖い。
アヤコさんも最近年を感じるようになってきた、とか言ってるし・・・
年取らないようでも年とってくもんね・・・
おばさんになっても王様愛してくれるかなあ。若い女にとられたらどうしよ！
男の場合は年をとっても味わい深くなって魅力は増していくが、女の場合はどうしたって肌も衰えてしまうし
性的魅力も薄れてしまうだろう。
その内ラギ、私の肌にぴったりの化粧品でも作ってくれないかしら・・
真面目に思っているゆりだった。
１の月の8日の夜、ゆりは再び神の国を訪れて、ガーベラがまたこっちに来ていた。
その時ラクシュミはまだ来ていなくて、ガーベラは他の恋人の所に行こうかな、と思ったが、ふと思い直して
ベッドに身体を半分置いたまま、部屋から出て行った。
行った場所は夜の庭園だった。冷たい風が吹いていて肌寒い。空には星が輝き、半分の月も見えた。
花壇の横の方に、一人の女性が立っているのが見えた。
女性はこちらに気づいてはっとした顔をした。
「王妃様、そのような格好で風邪を引きますよ」
ゆりの姿は寝巻き姿だった。いつもよりも厚めの生地を着ていたが、それでも夜出歩く格好ではない。女性の方は
肩にショールを羽織っていたので、ショールを取って、肩にかけてくれた。女性は一族の女性で双子の侍女として
雇われていた若い女性だった。
「あなた何してるの？」
「私は、別に・・・星を眺めていただけです」
「・・・胸どうしたの？」
ガーベラが女性の胸を見て聞いた。
「え？胸？」
別段女性の胸はどうもなってない。服も汚れてるわけでもない。
「・・・もしかして・・・その・・・」
「うん。そっち・・左の胸の上」
「これはその・・・病気の痕で・・・今はなんともないんですよ。本当ですよ」
女性はちょっと戸惑ったように答えた。女性の胸の上には水ぶくれの痕のようなものがあったのだ。それをなぜ
ゆりが気づいたのか、女性には全く分からなかった。
「肌に傷があると辛いでしょう。私を信じるなら魔法をかけてあげますよ」
「え？魔法？」
「私を信じる？」
「はい・・・」
女性はきょとんとしながらも言った。
「ただしこのことは私とあなたの秘密、今後私自身にも言ってはだめよ」
「王妃様自身にも？」
「そうよ。守れる？」
「はい」
ガーベラは花壇にある硬いつぼみがついた茎を一本ちぎった。指がきらきらと輝きを放ち、みるみる内につぼみは
花を咲かせてきらきらと輝く一厘の花になったのだった。
「はい」
ガーベラは女性にその花を渡した。女性はあっけに取られながらも花を受け取った。
「その花の花びらを採って桶の水に一晩浸しておきなさい。布をその水で浸して、朝晩胸につけるのよ。しばらく
続けてごらん」
「はい、わかりました・・・」
「じゃあ今からやって」
「は、はい」
女性は花を持ったまま移動した。
ガーベラはにこりと微笑んで、違う蕾に指をあてて、花を咲かせた。
まあいいか。たまにはこういうのもね・・・
ガーベラは人間に愛と欲望の気持ちを湧き起こさせる女神であったが、女性の美にも関心がある女神だった。
人間界にある西の聖域のガーベラの神殿には、大きな水瓶があり、その水が時々満ちると、肌に悩みのある女性達が
こぞってやってきて水をわけてもらうのだった。肌にできた痣や火傷の痕などには効果てきめんで、肌が綺麗になった
女性達は、ガーベラの信者としてガーベラを崇めているのだった。
向こうの私は今頃何してるかな？また子供生んでたりして。
ガーベラは蕾に指をあてては花を咲かせていた。そして小さな声で歌を歌いだしたのだった。
その頃神の国に行ったゆりは、自分がいる時に産んだアマンザがきになり、ジンラの元に行き、アマンザにあっていた。
アマンザは最初の時よりも大きくなっていたのでゆりはびっくりした。
10歳くらいの少年になっている。
かわいい、ミニミニ王様みたいーっていうか、ミニミニジンラだけど。
紫色の髪は肩につく程度の長さになっていた。
抱きしめると「お母さん」という声が聞こえた。クーリーフン同様、話ができるようだ。
ーアマンザかわいい。
ぎゅっと抱きしめるとアマンザは照れたような顔をした。横でジンラはにこにこして何か言っていた。
ーなんて言ってるの？
ーお酒飲むかって聞いてるよ。
ーうん。飲む。
ジンラは酒を白い杯についで渡してくれた。
ゆりはそれを飲んでみた。
ーわーおいしい♪
神様のお酒、ああ、王様に飲ませてあげたい！
ーできたばかりのお酒だよ
ーそうなんだ。おいしいね。おかわり
ゆりは二杯も酒を飲んで、ほろ酔い気分で神殿を出て行った。
あーいい気分。今度はどこに行こうかな。
農園を抜けて行き、ぶらぶらしていたらお花畑が見えた。そこに妖精らしき女性たちもいる。ゆりはその中に入って
行き、お花を摘んだりして遊んだ。妖精達は一杯お花で飾り立ててくれて、ゆりはそのまま森の中を歩いて行った。
ああ、楽しいな〜るんるん。
酔っていたのもありご機嫌で歩いていたら、「ガーベラ」と声が聞こえた。
きょろきょろっと周りを見て後ろを見たら金髪のストレートの、すごい美女が近づいてきた。
わお、これは神様に違いない。
かなり輝いていたのでゆりはそう感じた。
ーガーベラ、クーリーフンのことなんだけどさ、なんとかならない？
ーん？あなたも私と話ができるんだ。綺麗な女神様どちら様？
ーえ？
ーすごーい、綺麗な髪〜
ゆりは女神の髪に思わず手で触れた。指の間から零れ落ちるほどさらさらだ。
ーあんた酔っ払ってるの？目がとろーんとしちゃって。
女神がゆりの顔をのぞきこんで言った。
ーもしかしてダーナ？
ゆりははっと思って聞いた。
ーもしかしなくてもダーナよ。
ーわーさすがきれー
ゆりは喜んでダーナの周りを回って観察していた。
過去で見た石像に良く似てるわ。でも、やっぱり本物は綺麗だねえ・・・
ー・・・・全く・・・どれだけ飲んだのよ。
ダーナは呆れ顔だった。
ーところでクーリーフンのことだけど
ー息子がどうかした？
ー性欲がないのをどうにかしてほしいのよ。どうにかして性欲持たせて
ーえ・・・そー言われても
ー愛欲の女神でしょ。
ー息子といちゃいちゃするわけには・・
ーいちゃいちゃって・・・・
その時大きな鷲が空からびゅっとこちらに飛んできた。
「わっ！」
二人は思わず手を取り合って抱き合ったのだった。
すすむ