今年も2の月がやってきた。男にとっても女にとっても、来月の勝負の月を控えた大事な月である。仕事をしながらも、
大人達はちょっとそわそわしている。
「うーん。迷うわねえ。今年はどの匂いにしようかしら。」
「そうねえ・・・」
蛇の国の一族の女性の屋敷では、3人の女性が机の上に置かれた香水や香油の瓶を眺めていた。3人共結構な美人だ。
「これは？ディラの花の匂い」
一人が瓶を一つつまみあげた。
「去年使ったわ。良い匂いですね、とは言ってくださったけど・・・」
「そうだっけ。やっぱり3人共違う匂いの方がいいかしらねー」
「でも似たような匂いの方がいいんじゃない？匂いが交じり合って変な匂いになったらやだわ」
「そうねえ・・」
3人はうーんと考え込んだ。
「ねえ、ちょっと王妃様に相談してみましょうよ」
一人が思いついたように言った。
「そうね。それもいいかも」
「行きましょ行きましょ」
3人は箱に候補の小瓶をつめて、いそいそと出かけて行った。
第12話
その日ゆりは双子のロイとナナミと一緒に城の中にある広間にいた。二人は部屋に置かれたソファにちょこんとゆりと
一緒に座っている。ラギが床に大きな丸を描いた紙を適当に置いて行った。何をするのかと横の方で眺めているのは
双子の侍女達だった。
「さあ、用意できたよ。じゃあロイからやってみようか。お母さんこれ持ってて」
ラギは近づいてきてゆりの手の上に平べったい石を乗せた。そして、床においた丸の所まで行き、その丸を指指した。
「ロイ、ここまで飛ばしてごらん。」
「あ、あ、あ〜」
ロイはご機嫌で首を横に振っている。ゆりの手の上の石がふわりと浮いて、びゅんと飛んで行き、丸の上にぽとりと
落ちた。
「すごいよーロイ、えらいえらい」
「すごーい。ロイ」
ラギに続きゆりがほめると、ロイはうれしそうにきゃっきゃと笑っている。横で侍女らは拍手していた。
「今度はナナミだよー。この石そっちの丸に乗せるんだよ」
「あい」
ナナミはちょっと遠くにある石を凝視した。すると、石が浮き上がり、斜め後ろの丸の上付近に落ちた。
「あー・・」
ちょっとずれたのでナナミはぷっと頬を膨らませてもう一度石を丸の上に移動させた。
「ナナミもすごいねー。すごいすごい」
ゆりは手をたたいて喜んでいる。
「いいよー。その調子だよ。ロイーじゃあこっちの丸の上においてー」
ロイは石を浮かせた。
この双子、最近では自分が移動するよりも、何かを動かす事ができるという力に目覚めて、時々部屋の中の物を動かし
まくっている。ついこの間もラギの部屋にある本が全て本棚から引っこ抜かれて積み上げられていた。ラクシュミに言
っても微笑むばかりで怒る気配も全くない。やはり適当に力を使わせた方がいいと考えたラギは、簡単な遊びを考えて
双子と遊んでやっていた。
石はぽんぽん丸の中を移動して行き、はじかれたように部屋の隅っこに移動した。
「ぎゃー」
とナナミが泣き出したのでゆりはびっくりした。
「どうしたの？ナナミ」
「ロイが意地悪したんだね。だめだよ。ロイ」
ラギが言うと、ロイは意地悪そうな顔で微笑んだ。
「あらま、だめでしょ意地悪しちゃ、おいでナナミ」
ゆりはナナミを膝に乗せた。
「泣かないで、いい子いい子」
ナナミはわんわん泣いている。
「ナナミ様の好きな蛇ちゃんですよー」
侍女が緑の蛇のぬいぐるみをナナミに抱かせて、ナナミが泣き止んだ。
「ロイ、ごめんなさいは？」
ゆりが言うと、ロイは「ちゃい」と言った。
「ちゃいだけじゃだめでしょ。ごめんなちゃい。」
「ごめん・・・なちゃい」
「仲良くしなきゃだめよ。ナナミも許してあげてね」
「あい・・・」
ゆりはナナミの頬をなでた。
「パパとねんねする」
ナナミは輝く瞳でゆりを見上げて言った。ちょっと眠そうな感じだ。
「じゃあパパのところ行ってらっしゃい」
ナナミはぬいぐるみを抱いたまま消えた。
ハザークはいつもたいてい寝そべっているので、ナナミは時々一緒に引っ付いて寝てるようだ。ナナミはお昼寝がとても
好きなのだが、ロイはあんまり好きじゃないらしく、ずっと夜まで起きてることが多い。
「ロイはまだ遊ぶ？」
ラギが聞いた。
「あそぶ」
ロイはラギと石飛ばし遊びを続けた。
しばらくして部屋に戻ったゆりは部屋に客が来ているのに気づいた。
「こんにちは。王妃様」
3人の女性は椅子から立ち上がり、ゆりにお辞儀した。
「こんにちは。ちょっと子供と遊んでたものだから。今日はどうしたの？」
ゆりは3人と一緒に椅子に座った。3人の前にはお茶とお菓子が出されていた。部屋にいた侍女がゆりの分のお茶も入れて
くれた。
「あ、なんだかすごいいい匂いね。このお茶」
お茶を目の前に置くと、ふわーとちょっと甘い果物のような匂いが漂ってきた。
「今町ではやってるお茶なんですよ。持ってきたんです」
女性の一人が言った。
「そうなんだ」
飲んでみると結構おいしかった。女性達は3人共にこにこしている。ゆりは3人の顔は知っていた。ザクート王の儀式
に参加していた3人だ。
「実は王妃様にご相談がありまして・・」
「何かな？」
「ハインリヒ様ってどういう匂いが好きなんでしょうか」
「ハインリヒ？」
「ええ、私たち、赤い月をハインリヒ様と過ごすんです」
「そうなんだ」
ゆりは思わず3人の胸を見てしまった。３人とも見事な胸をしている。ハインリヒは昨年誰かと過ごしたというのは
聞いたが、相手まではゆりは聞いていなかった。
「あれ？でも・・・ミシュアはミカエルの彼女じゃなかったっけ？」
ゆりは一人の顔を見て言った。薄い青い髪の美人だ。
「はい、去年からハインリヒ様と過ごしてます」
ミシュアはにこにこして言った。
「そ、そうなんだ・・・」
ミカエル彼女とられたんだ・・・ちょっとかわいそうに・・・
他の二人もそれまでは誰か別の男と過ごしていたのだろう。ハインリヒは力も強いし、姿も良い。一緒に過ごしたい女は
多いだろう。力がある男に彼女を奪われるのは仕方のないことなのだろうが、ちょっと切ない話だ。
「3人共１０日間ハインリヒだけなの？」
「そうですよ。それが条件だったものですから・・・」
一人が答えた。男が複数の女と過ごすように、複数の男と過ごす女性だっている。
「それでその・・・どうだった？去年、優しくしてくれた？」
ゆりはちょっと頬を染めて聞いてみた。
「はい、ハインリヒ様すっごく優しくて丁寧で、本当に女性を大切にする騎士様って感じでした」
「ずっと気遣ってくださって・・・何もない夜は過去の話をいろいろしてくださったんです」
「なんていうか・・・この時代の男にはない優しさがありましたわ」
3人共結構満足したようだ。
私にはあんまり騎士様って感じじゃないけどなあ・・・
「それで、王妃様ならハインリヒ様が好きな匂いもご存知かと思いまして・・・」
「匂いねえ。さあ・・・香水つけなくても赤い月の時はそういう匂いが発散されるんじゃなかったっけ？」
「まあ、それはそうなんですが・・・」
「どうせなら色気たっぷりで胸が強調された寝間着でも着た方が効果あるんじゃない？」
「胸を強調・・・」
「ハインリヒって、胸が好きだからさ。ははは」
「そうなんですか。今までは裸でガウンを着ていただけでしたわ。」
「ちょっとお店に見に行ってみましょう」
「そうしましょう。それでは王妃様失礼致します」
「がんばってねー」
ゆりは3人に手を振り3人はるんるんで部屋を出て行った。
結構楽しそうにやってるみたいね。
まあいいか。そうだ、ナナミ受け取りに行かなきゃ。
ゆりは部屋を出て行きハザークの塔に行った。部屋に行くと侍女がいた。
「まだお休みですよ」
「そうなんだ。ちょっとのぞいていい？」
「どうぞ」
ゆりはこっそり寝室をのぞいてみた。すると人型のハザークにべったりくっついてナナミが眠っていた。
「あらら・・・」
ナナミは蛇のぬいぐるみをだっこしたままだ。ゆりは扉を静かに閉めた。
「仲良く寝てるね。」
「はい。ハザーク様も、まんざらでもないようですよ」
侍女が微笑んで言った。
その日の夕方、イシュタールが自分の屋敷に戻り、娘、メリッサの顔を見に行くと部屋にジュメもいた。
「お帰りなさい。イシュタール様」
「ああ、来てたんだな。いい子にしてたか？メリッサ」
イシュタールがメリッサを抱き上げると、メリッサはきゃははと笑った。
「とーとー」
「あのう、イシュタール様、赤い月の間メリッサを預かってもいいですか？」
ジュメが聞いた。ジュメはしばらく男性と赤い月を過ごすことはない。イシュタールは女性と過ごすだろうから、
その間預かりたいと思ったのだ。
「実は、今回はずっとメリッサと過ごしたいと思っているんだ。朝から晩まで。最近よくしゃべるから、いろいろ
自分で言葉を教えたいし」
「女性とは過ごされないんですか？」
「ああ」
「そうですか」
「ジュメもずっとここにいたらどうだ？」
「え・・・ですが・・・せっかくの二人きりを邪魔するのも・・・」
「メリッサもその方がうれしいだろ？」
イシュタールがメリッサを見ると、きゃはっと微笑んだ。
「マーマー。いっしょいっしょ」
「そうしろ。母親なんだから遠慮する事はない。」
「そうですか・・・ではお言葉に甘えて」
ジュメは微笑んだ。
「お父さん！僕も弟欲しいよ！」
夜、ジュノーとヴィラが一緒に酒を飲んでいる所に子供たちが入ってきた。ヴィラの子供ヴィンセントとジュノーの
子供クリスだ。二人ともそれぞれに良く似ている。
「ラリーには弟できたのになんで僕にはできないの！？」
ミカエルに二番目ができてからというもの、ヴィラはことあるごとに息子に責められていた。
「いつも言ってるだろ？子供ってのはそう簡単にできるもんじゃないんだ」
とヴィラ。
「王様は5人もできたのに」
「王様は特別なんだよ」
「僕は妹がほしいな。シス様みたいな妹」
クリスはぽっと頬を赤らめて言った。
「無茶な注文だな。それは」
ジュノーが笑って言う。
「お父さん今年はがんばってよ」
ああ、息子にまでがんばれと言われるようになってしまったとは・・・・
内心ため息をついたヴィラだった。
その数日後、ミカエルがゆりの部屋にやってきた。
「王妃、最近よくシャナーンと会ってるようですねえ」
ミカエルはゆりの顔を見るなり言ってきた。
「だって最近ではお気に入りなんだもん」
「私よりも？」
「まあ、ミカエルの次くらいに」
ハインリヒにミカエルの彼女とられてちょっとかわいそうと思っていたので、ゆりはそう言った。
シャナーンは休みの日にたまに来てもらっていた。こちらのゆりは別にいちゃいちゃまではしてないが、
一緒に並んで座っていろんな話をしている。神々の情報を仕入れたりもしている。
それでも、座っている二人の距離は前より縮まっていて、最近ではシャナーンに頬に口付けされたりするように
なっていた。
「ねえ王妃、次に御子様ができた時、儀式の男の人数どうするんですか？」
ミカエルは長椅子に座って聞いた。
「さあ、何も考えてない」
ゆりは横に座り答えた。ミカエルは真面目な顔でゆりを見ている。
「なあに？」
「8人でするんですか？それとも誰か抜かすんですか？」
「は・・・８人？」
ゆりの顔が引きつった。
「シャナーンを入れればそうなりますよ」
「そりゃそうだけど・・・そんなに相手はできないよ。クジで決めるとかでいいんじゃない？」
「くじ？」
「どうせ３回以上はあるだろうから、もれた人は、次回参加できる事にして」
男たちが儀式をどんなに楽しみにしてるのか今ではよくわかってるので、ゆりとしても誰かを外すってことも
できない。
そういえばこっちでの最後の儀式、ミカエルは参加できなかったんだっけ、とゆりは思い出した。
「ねえ王妃、最近ハインリヒとあっち行きました？」
ミカエルは話題を変えた。
「行ってないよ。ガーベラから元に戻って誰とも行ってない」
「本当に？じゃあ今日はいいですか？行っても」
ミカエルの目が妙に輝いていた。やだといっても連れて行かれそうだ。
「いいよ」
ゆりがそういうと、ミカエルはゆりの手を握って移動した。
「ねえ、ミカエルの彼女ハインリヒのところ行っちゃって、ショック？」
ゆりは遠慮がちに聞いてみた。
「え？ああ。去年の話ですよ。別に気にしてません。それよりも、王妃が私よりハインリヒと仲良くやる方が気になる
な」
ミカエルはゆりを横に座らせて、スカートの中に手を入れて、ゆりの太ももをなでた。
うーん、ハインリヒっていっつも胸から触るけど、ミカエルはどっちかというと下からだなあ・・・
「王妃、ねえ、今日は自分で誘ってくれませんか？」
「え？」
「王妃に誘ってほしい」
「きて〜んとか言ってほしいの？」
「そうじゃなくて、身体で誘ってください」
「身体で？」
ゆりはちょっと考えて、ちらりとスカートを膝の辺りまであげた。
「もっと」
ゆりはスカートを太もものあたりまであげて、ミカエルは顔を寄せてゆりに口付けた。
「ねえ、ミカエル」
「なんですか？」
ミカエルは言ってからゆりの首にキスした。
「ミカエルは、私以外の女の子で、すごい好きな子とかいるの？」
「いいえ、別に」
「本当に？子供産んでくれた彼女は？」
「そりゃ感謝してるし、愛着はありますよ。好きは好きですよ」
「でも、抱けないし赤い月も過ごせない私の方がいいの？」
「王妃の方がいいですよ。王妃の太もも見るだけで興奮する。ほら」
ミカエルはゆりの手を自分の下半身に触れさせて、ゆりはどきりとした。
そこは膨らんでいた。ゆりはぱっと手を離した。
「王妃と一杯儀式したおかげで、本当に私も普段でも興奮しやすくなりましたよ。それに、私は抱いてるつもりですよ。
つながってる事はつながってるし」
「ばか」
ゆりの顔は真っ赤になっていた。
「今日も一杯つながりましょう」
「・・・」
ゆりは口をぎゅっと閉じたまま、ミカエルに抱きしめられた。
逆に、ミカエルに何も言われなくなると寂しいかもしれない。
あれだけ恋人がいても、その誰かが欠けるのは寂しい。
ゆりは裸のままミカエルの前に膝をついて、手と口で奉仕していた。
「はあ・・・ああ・・・もういいですよ。王妃」
ミカエルは体を離して達した。
「ああ・・・本当に王妃は上手ですね・・すごく気持ちいい・・・」
「ミカエルのつやっぽい顔が好き」
ゆりはミカエルを見上げて言った。
「お返ししてあげますね」
ミカエルは微笑んでゆりと一緒にベッドに倒れこんだ。ミカエルの手と口が、ゆりの肌をすべり、ゆりもいい気持ちに
なってきたとき、
「まーまー」
というあどけない声が聞こえて二人は同時にぎょっとした。見ると、横にちょこんとナナミが座っている。
ゆりもミカエルの顔も引きつっていた。
「とーとー。」
「ナ・・・ナナミ様・・」
ゆりはそろそろと布団を取って体にかけた。
「ナ、ナナミ、遊びにきたの？」
「ねむねむ。トーねんねして」
「いいですよ。ナナミ様」
ミカエルは引きつった笑いを浮かべてナナミをダッコしてそのまま寝転んだ。ナナミはすぐにすやすや寝てしまい、
目を合わせた二人は、かなり微妙な顔をしていたのだった。
その次の日ハインリヒがやってきて迫られたので、ゆりは昨日のことを話し、だからだめと言ったのだった。
「へーナナミ様きちゃったんですか。はははえらいえらい」
「えらいって、何がえらいのよ！」
喜ぶハインリヒの横でゆりはむくれていた。
あんなに恥ずかしい思いは初めてだ。
「ナナミ様がきたのって最初の方？それとも最後の方？」
「いいでしょ。どっちでも」
「ミカエルに興奮させられてる王妃を想像すると妬けるなあ」
ハインリヒは微妙に目を細めてゆりを見ている。
「ハインリヒの彼女この前見ちゃった。みんな胸立派だったね。まさか胸で選んだの？」
「そういうわけじゃないですよ。たまたまですよ」
「みんなハインリヒがすごく優しいって言ってた。」
「王妃以外の女にはどうしても気を遣ってしまうんですよね。どうしてでしょう」
「知らないわよ。私にも気遣ってよ」
ゆりがぶーたれて言った。
「思うに完全には興奮してないからでしょうねえ。変化はしてますけど。王妃相手だと好きにしたくなるのに」
「うれしくないです」
ハインリヒは微笑んだ。
「・・・みんななんだか赤い月すごく楽しみにしてたよ。ハインリヒも3人のことちゃんと好きになってあげなきゃ
だめだよ」
ゆりは真面目な顔で言った。
「私達はお互いに楽しく子作りをがんばる仲間ですから、深い愛はないですよ？」
「でも・・・彼女らは・・」
「彼女らも私を愛してませんよ。愛情はザクート様に捧げたって言ってましたし」
「え・・・」
「まあ、それでもお互い楽しくやってますからいいんじゃないでしょうか」
「そ・・・そう・・・」
ゆりは頬をかいた。
そうか・・・彼女らはまだザクート様ラブなんだ。そりゃまあ、相手がザクート様じゃ、いくらハインリヒでも
勝てないわ・・・
「というわけで向こうに」
「だめです」
「子供ができるようにおまじないしてくださいよ」
「やだよーだ」
「そういう事言うと、赤い月後に夜這いにきますよ？」
「え・・・」
「2月ほど一人で寝るでしょ？」
「いいえ」
「ちゃんとわかってるんですよ。王妃」
ハインリヒが危ない視線を向けていた。
「わかったわよ。じゃあおまじないしてあげる。目を閉じて」
ハインリヒは目を閉じた。
「子供よできろ〜」
ゆりはそう言いながらハインリヒの両耳を横にひっぱった。
「いててて！王妃！」
「まあ、いちゃいちゃはまた今度ね」
ゆりはにこやかにいい、ハインリヒは口を尖らせた。
「もう、しょうがないなあ・・・」
それぞれの期待を胸に２の月は終わり、３の月に突入した。ゆりはしばらく夢で神の国に行くこともなく、
ゆり自身、期待に胸を膨らませて赤い月を迎えたのだった。
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