その日天気がよかったのでゆりはナナミと一緒に庭園にいた。ナナミはもうちょろちょろ歩き回るし、
ロイにいたっては、たったか走り回っている。ロイは全然じっとしてない。この前滝で泳いでから水の中に
入る事に目覚めてしまい、下級戦士らに連れられて今日は泉に連れて行ってもらっている。
「天気いいねー。ぽかぽかね」
黄色いちょうちょが飛んでいて、ナナミはそれを追いかけていた。少し離れた所に侍女らもいる。
「かわい」
「かわいいねえ」
「まーにじみたい」
「虹？虹は今日みたいな日は見れないのよ」
「みたい。みたい」
ナナミはぴょンぴょん飛び跳ねて言っていた。
ナナミもこの前見た大きな虹が忘れられないらしい。
「あれは雨があがってから見れるものだからねえ」
「あーか、あーお、きーいろ。えーと・・」
「紫に緑にー・・・あとなんだっけ」
とっさに虹の色が思い出せずに首をかしげていると、ちっちゃいクーリーフンが飛んでくるのが見えてゆりは
ぎょっとした。
「あ。パタパタ」
ナナミが指をさした。
「あれ見えるの？」
ちっちゃいクーリーフンはゆりの側まで飛んできて、翼をぱたぱたさせている。
ゆりは東屋にいる侍女らを見た。全然騒いでないので、侍女らには見えてないようだ。
クーリーフンは下に下がり、ナナミの顔をじっと見ていた。
「ナナミもとぶ。とぶ」
どうも翼がうらやましいらしい。
「クーリーフン？」
ゆりは話しかけてみた。
『かわいいねえ。』
クーリーフンが言って両手を出した。ナナミがその両手を握り締めて、ちょっと宙に浮いた。
「わーい。ぱたぱた」
ゆりはクーリーフンを見てきょとんとしている。
クーリーフンって私が向こう行ってることに気づいてるのかしら・・・
「ねえ、あなたの姿、大人には見えないみたいなんだけど・・・」
『このくらいの子供には見えるようだよ。まだ穢れてないから。普段は見えないようにしてるんだよ』
「じゃあ私はなんで？」
『お母さんに近いから』
クーリーフンは微笑んで言った。
「・・・あの・・・私がガーベラに入ってること、気づいてる？もしかして・・・」
『何のこと？』
「クーリーフンって、いつのクーリーフン？」
クーリーフンはかわいらしく首をかしげている。
そしてナナミを地上に降ろした。
ゆりは自分が行ってる神の国は過去だと思っていたので、いつの？と聞いたのだ。
「ねえ、ラーズってよく地上に降りてくる？」
わからないようなので話題を変えた。
『たまに降りてるよ。どうして？』
「この子虹が大好きなの。だから、ついでに寄ってくれたらいいのになーっと思って」
「虹？小さいのなら作ってあげるよ」
そういってクーリーフンは右手をあげた。庭園の花壇の上に小さいがはっきりした綺麗な虹がかかり、
ゆりはびっくりした。
「わーい、にじ、にじ」
ナナミは大喜びしている。
「僕は一応ラーズの子供だからこれくらいはね、じゃあね、お・か・あ・さ・ん」
クーリーフンはそう言って飛んで行った。
やっぱり気づいてるんじゃない・・・
「にーじ、にーじ、あーか、あーお、きーいろー♪きれー」
「綺麗ねえ」
侍女らが近づいてきた。
「あら、どうしたのですか？こんな所に虹が・・」
「ナナミの願いを神様が聞いてくれたんだよ。ねー」
ゆりはナナミをだっこして近くで見せてあげた。
「ちっこいにじ。きれー」
「綺麗ですねえ・・・」
七色の光が消え去るまでしばらく皆で眺めていたのだった。
第19話
ハザークの部屋では、竪琴の音が響いていた。ゆりがやってきて奏でていたのだ。ハザークは長椅子に座って
黙って聴いていた。
「わーい、間違えずに弾けた。どうでした？パパ」
ゆりが微笑んで聞いた。
「なんでパパだ」
「ロイとナナミが呼んでるからついー」
ゆりは竪琴をテーブルの上に置いて、ハザークの横に座った。
ハザークはちょっと微妙な感じでゆりを見つめている。
「なんですか？最近何か言いたそうですけど・・・」
「別に」
「変だなー。最近のハザーク様、寝室にも誘わないし・・・」
ゆりの肌がきらきらになっても、ハザークにはその気になられてなかった。
肌がきれいになったでしょ？というと、「本当だな」と返答がきただけだ。
奇妙すぎる。
「なんだ？身体が寂しいのか？」
ハザークが少しからかうように聞いた。
「そういうわけじゃないですよ」
「・・・」
ハザークは前を向いている。
やっぱり変ねえ・・・
ゆりが素晴らしい竪琴をラクシュミとハザークに聴かせた夜のことをハザークは思い出していた。
ゆりではありえない指の動き、聴いたことのない美しい曲だった。後日ラクシュミに、「実はあれは
女神だった」と聞かされたハザークは、もちろん驚いた。
そしてガーベラが入ったゆりを抱いたことにも気づいたのだった。
まさかあれがガーベラだったとは・・・・
長い時を生きてたいていの事には驚かないと思っていたハザークだったが、最近は驚く事が多い。
ハザークの視界にゆりの顔が入ってきた。
「どうしたの？」
ゆりの左目は蛇の目になっていた。
「我も女神にはちょっと憧れていた」
「え？」
「あのように美しい姿をしている女は、どういう性格なんだろうなとも思ったんだが・・・」
「はあ・・・」
「ちょっと幻想が壊れた」
「？？？」
ゆりは首をかしげている。
「まあ、面白い女だったがなあ・・・あの顔なんだから面白くなくてもいいと思うが・・・」
ハザークは一人でぶつぶつ言っていた。
神の国では、明るい空の神殿にすごく眠そうなオルガがやってきていた。
「アシュラン・・・こんな時間に呼び出すな」
オルガは不機嫌極まりない顔で言って長い紺色の髪をかきあげた。
「しょうがないじゃないか。お前が起きてる時間には、私は寝てるんだから」
金色に輝く椅子に座ったアシュランが言った。オルガは夜の神なので、昼間はめったに神殿から出てこない。
なぜなら眠っているからだ。
「それで用件はなんだ」
「最近夜寝つきが悪いんだ。眠りの闇をくれ」
「・・・・貴様、そんなくだらない事のためにここまで呼びつけるな」
オルガのこめかみは引きつっていた。
「くだらなくはないだろう。夜ちゃんと眠らないと、私の美貌が衰えるじゃないか」
アシュランは真顔だった。
「そうなれば多くの女神、妖精はがっかりだ」
がっかりするのはこっちだ。
そう思ったが、もう面倒なのでオルガは何も言わずに右手を掲げた。すると紺色がかったもやっとしたものが
手の平に浮かんでいた。
「ほら」
アシュランは右手に杯を持ち、そのもやっとしたものは杯の中に吸い込まれて行った。
「ご苦労」
「やれやれ・・・夜くらいはヒルデリアをかわいがってやったらどうだ。昼間は他の女の上に乗ってるんだ
からな」
「もちろんかわいがってるぞ。浮気がばれた時には」
しれっとした顔でいったアシュランに、オルガは顔をしかめたまま「それじゃな」と言ってさっさと出て行った。
あー、眠くてたまらない。そうだ、ガーベラの神殿で寝てやろう。ここから近いし・・・
オルガはガーベラの神殿まで移動して、ガーベラはいなかったので勝手に寝室で眠りについた。
その頃、ゆりは神の国に来て、水浴中だった。神様というのは結構水浴が好きらしい。ゆり自身も気に入って
いた。綺麗な空を見つめながら水に身体を浸す感触が気持ちがいい。なんとも開放的な気分だ。
人間社会では、王妃様が泉で水浴びなんてことはできない。
今日は妖精達のほかに女神らしい女性が一人いた。茶色い髪を頭の上でまとめていて品格がある美しい女性だ。
だれだろうな、とゆりが思っていると、妖精達がぼそぼそささやきだした。
「まーたジェラルド様がのぞいてるわ」
「懲りないわねー」
のぞき？
ゆりは水の中に首までつかって妖精らが見ている所を眺めた。確かに遠くの木の所に誰かいるっぽい。
「ジェラルド！いい加減にせい！」
その時その女神が一喝し、のぞいていた人影は消えた。
「全く・・・懲りない男じゃのう・・・・」
女神は泉からあがり、布で肌をふいた。
ジェラルドってすごい神様だったような気がするけど・・・神様ものぞきするのね。
私もそろそろあがろうかな。
ゆりも同じように泉からあがり、布を取った。
「ガーベラ、私の神殿にちょっと寄らないか？」
女神が衣をまといながら話しかけてきたので、用事もなかったゆりは「はい」と言った。
衣を身にまとい、妖精らに髪を乾かしてもらって、ゆりはその女神に手を触れられてそのまま移動した。
移動した先は神殿の中だった。ガーベラの神殿よりもかなり広そうだ。奥にいくつも部屋がありそうだった。
部屋の中はクリーム色の調度品で統一されている。
「かけておくれ」
「はい」
クリーム色の丸いテーブルの所にある椅子にゆりは座り、向かいに女神が腰を下ろした。
侍女か召使っぽい女性が飲み物をもってきてくれた。女神はその女性にぼそぼそと何か言っている。
「あ、おいし〜」
飲み物はジュースだった。桃ジュースだ。
「最近はヒルデリアの機嫌も良いようだな。よかったのう。ガーベラ。これで多少アシュランに何をされても
ヒルデリアに睨まれずにすみそうじゃ」
「あまり何もされたくないんですが・・・」
「ほほほ、懲りない男じゃからのう。まあそのおかげで重要な神が産まれているわけじゃが・・」
その時褐色の肌の男性が部屋に入ってきた。
「カサンドラ、用ってなんです・・・かー！？」
男はこちらを見て固まってしまった。
しかも全然動く気配がない。ゆりはカサンドラと言われた女神を見た。女神は顔に手を当てている。
カサンドラといえば、確か知恵の神だとゆりは思い出した。
そういわれれば賢そうな感じだ。部屋の入り口で男はまだ固まっている。なんだか顔は真っ赤だった。
「サントス・・・サントス！」
カサンドラが声を張り上げると男はびくっと身体を動かした。
「全く、いつまで突っ立っておるのだ。そこに座ったらどうじゃ」
とカサンドラはゆりの横の空いてる椅子を示した。
「そ、そこ、そこって！？」
「いつになったらそなたはガーベラに慣れるのじゃ。いつも会いたい会いたいとー」
「わー！！！な、何言ってるんです！」
サントスはあわててカサンドラの口をふさいだ。
「ち、違うんです。私はそんな・・・そんな・・」
サントスは真っ赤な顔をしている。
なんだか面白い人達。漫才みたい。
「あの、ここ座ったら？」
ゆりが言うと、サントスは真っ赤な顔のままゆりの横に遠慮がちに座った。
良く見ると可愛い顔してるわね・・・
大人っぽい顔立ちではなく、まだ少年らしさが残っている感じだ。
こげ茶色の短い髪はウエーブがかかっていた。全体的に茶色系統なのだが、みるみる肌が赤みががかって
おかしな色になってきていた。
「大丈夫？」
ゆりが顔を寄せるとサントスはびっくりしたように目を見開いた。
どうやらものすごくシャイな神様らしい。
ちょんと腕に指で触れてみた。すると、そのままサントスはばたりと横に倒れて椅子から落ちてしまった。
「えー！大丈夫？サントス」
ゆりは思わずしゃがんでサントスの顔を持ち上げた。
「頭打ってない？」
「ああ・・・幸せ・・・」
そのままサントスは失神してしまい、ゆりは何が何やらわからないまま、神殿を出て行ったのだった。
寝室に運ばれたサントスはほどなく目を覚ました。そして横にいたカサンドラを睨んだ。
「ひどいじゃないですか。急に出会ったら心の準備が！」
「そなたの純情さにも呆れるばかりじゃ。それではいつになってもガーベラの恋人にはなれぬぞ」
カサンドラは呆れ顔で言っている。
「こ・・・恋人だなんて・・・・私はそっと見てるだけで・・・」
サントスの顔がまた真っ赤になっていた。土の神、サントス、実はどうしようもなくガーベララブなのだが、
側でガーベラの顔を見るとあのような調子で愛の告白なんてとんでもない話だった。
「それにしても・・なんて美しいあの微笑・・・」
「今日は全然微笑んでなかったぞ。そなたにびっくりしてただけで」
カサンドラが突っ込んだ。
「そ、そうでしたか？ああ、変な男だと思われたらどうしよう」
「すでに思ってると思うが・・・」
「ガーベラ・・・」
サントスはぼんやりしていた。どうやら妄想の世界に入ってるようなので、カサンドラはやれやれと寝室を
出て行ったのだった。
神殿を出たゆりはお花畑を歩いていた。
いろんな神様がいるのね。あの二人、姉弟なのかな。仲良さそうだったけど。
すると大きいクーリーフンが飛びながら近づいてきた。
「お母さん、オルガが早く帰って来いって言ってるよ」
「オルガ？」
「うん」
クーリーフンはゆりを抱き上げてそのまま飛んでいった。
「わーすごい、クーリーフンって案外力もちね」
「ん？そうかな？」
えーと、オルガって誰だっけ？
ゆりは首をひねったが、思い出せなかった。しばらく飛んで神殿に着いた二人は、中に入って行った。すると、
紺色の髪に衣服をまとった男が部屋の長椅子に寝そべっていた。
「ああ、ようやく来たか、ガーベラ」
男はかなり大人っぽい感じの神だった。髪は腰まであって、背もかなり高そうだ。
「お前がいないと一人で寝てもつまらなかった」
「あのー・・・どうしたの？何か用事？」
ゆりはとりあえず聞いてみた。
「別に用はないが、今日は昼真っからアシュランに呼び出されたんでな、ついでにお前のところにきたんだ。
こっちにこい」
オルガは体を起こして呼んだ。
んー。どうやらガーベラの恋人っぽいなあ。
そうゆりは感じたので素直に横に座った。
「どうせ来るならティカとティラも連れてきてくれればいいのにー」
クーリーフンは口を尖らせて言っていた。ティカとティラとはガーベラがこの前産んだ双子の星の神だった。
「まだ寝てるだろ。もういいぞ。クーリーフン」
「はーい」
クーリーフンは部屋を出て行き、二人っきりになってしまった。
「・・・」
わたしゃどうすればいいのかな？
「ガーベラ、竪琴奏でてくれ」
「え！？」
ゆりが過剰に反応したのでオルガが瞬いた。
「どうしたんだ？」
「え・・・あの・・・」
竪琴はやばい、弾いたらばれちゃう。
「あのーそれよりもお話したいなあ。あなたと私の馴れ初めの話とか」
「馴れ初め？」
「最初に出会ったのってどこだっけ？」
「ある晩、空の神殿がある雲の上で出会ったんじゃないか。一緒に夜空を散歩しただろう？」
「そうだっけ」
「お前はすでにジンラと出会っていたが、抱いたのは私が先だった」
ガーン
「その時のことちゃんと覚えてるか？」
オルガが顔を寄せてきて、ゆりはどぎまぎした。
「うん。ちゃんと覚えてる」
「お前は初めての快楽に身を震わせていたな。かわいかった」
「・・・・」
「思い出したらその気になってきたな」
「え！」
「寝室に行こう」
「えー！！！！」
ひょいと身体を持ち上げられて、寝室まで連れ去られてしまった。
「あ、あの・・・私別にそういうつもりじゃなかったんだけど・・・」
「いいじゃないか。」
ベッドの上に女神の身体を下ろして、オルガは服を脱ぎだした。
あわわわわ。どーしよ！ハロルドに使った手は使えそうにないし・・・きゃーとかいって逃げるのも
怪しいし・・・ガーベラにとっては大事な人っぽいし・・・
「ガーベラ、お前も脱げ」
「そー言われましても・・・」
オルガは全部脱いで上に乗ってきた。
「しょうがないな。」
そして口付けをしながら衣に手をかけて、脱がされた。
「あのーオルガ、落ち着いて」
「落ち着いてるぞ。今日はじっくりかわいがってやるからな」
えー！！
太ももを優しくなでられた。
その指が優しく足の付け根の方に移動して、入り口をなでている。
き・・・気持ちいい・・・身体から力が抜ける・・・
だめよ。しっかりしないと・・・
優しく口付けをされながら、指で体をなでられるだけで、ゆりはいい気分になってしまった。
何とか逃げないと・・でももうちょっとこうされたい・・・
胸に触られるのも心地よかった。
身体からすっかり力が抜けて愛撫に身をまかせていると、何かの感情がまた心の底から沸き起こってきた。
愛 愛 愛 愛 愛
うわ、またなんかきたー！！！
愛 愛 愛 愛 愛
いやーん、抱かれたい！
でも！
愛されたい！
いや、それはちょっと。
心の中では葛藤が沸き起こっていた。
「そろそろ抱くぞ」
耳元でささやかれて、ゆりは思わず「うん」と言い、ぶるぶると横に首を振った。
「あの、だめ！」
「なぜだ？」
「あの、その、今日は、私がしてあげる」
「ん？」
ゆりはそろそろとオルガの肌に触れて、下半身の方へと指を伸ばした。すでに興奮状態になっているからだを
優しくなでる。
身体がうずうずする。
「く・・・口でしてもいい？」
ゆりはとろんとした目で聞いた。
「いいぞ」
「じゃあ横になって」
横たわったオルガの身体をなでて、身をかがめた。
女神様がこんなことしちゃっていいのかな・・・・ごめんね、ガーベラ・・・
ゆりは男の身体を舌でなめて、口に入れて、上下に動かした。
「ん・・・ガーベラ・・・」
「気持ちいい？」
「ああ・・・」
ゆりはそのまま奉仕を続けた。
「ガーベラ、上に乗れ。」
「このままさせて」
「だが・・・お前が辛いだろう・・・」
「いいの」
今日は絶対我慢・・・
「ん・・・はあ・・・・」
やがて、達する気配を感じたゆりは口を離した。
オルガは手で身体を押さえて、手の中に液体が放たれた。
「そこの布とってくれ」
「うん」
ゆりはベッドの横の棚にあった肌触りのいい布をオルガに渡して、オルガがそれで手を拭いた。
「とっても気持ちよかったぞ。ガーベラ」
ゆりは恥ずかしさのあまり横を向いた。
「今日はこれで行く。またな」
「さようなら」
オルガは衣をまとって出て行った。
「はあ・・」
ゆりはそのままシーツの上に倒れこんだ。
すごく身体がむずむずするー・・・うう
でもあれだけで行ってくれてよかったー
しばらくそのまま過ごしていたら目が覚めたのだった。
ああ・・・私って・・・こっちでもあっちでも、やってることあんまり変わらない気がするなあ・・・
なんだか自己嫌悪。
「ゆり・・・」
声が聞こえて後ろを向いた。
「おはよう。王様」
「・・・お前また誰かといちゃついてきただろ」
「え？」
「気がかなりピンクになってるぞ」
「・・・エッチな夢見ちゃったから・・・」
「どんな夢だ？」
「儀式の夢」
また神としたと思われるのもなんだと思い、ゆりはそう言った。
ラクシュミはゆりの頬に触れた。
「王様・・抱かれたい・・・」
「今日はいろいろ忙しいんでな。朝から疲れるのもな・・・・」
「ん・・・残念」
ラクシュミは微笑んだ。
「おはようございます」
と男の声が聞こえて、ゆりはえっと横を向いた。ベッドの横に私服のミカエルが立っていた。黒いシャツにズボン
という格好だ。
「ミカエル・・・なんで？」
ゆりの声は裏返っている。
「お前がそのままでいるのもかわいそうだから呼んでやった。」
「え？」
「他の男がよかったか？」
「え・・・え・・・？」
「私でいいですよね。王妃♪」
「あのー王様・・・」
「そのままラギにあったら変だと思われてしまうだろう。すっきりさせた方がいいぞ。ミカエル、お前は
楽しまなくていいからちゃんとゆりをすっきりさせるんだぞ」
ラクシュミはベッドから降りて言った。
「はい」
ミカエルはうれしそうに返事をしてベッドによってきた。
「王様、もしかして私のこと怒ってる？」
ゆりは消えようとしたラクシュミに聞いた。
「いいや。怒ってないぞ。じゃあな」
ラクシュミは普通の顔で言って消えてしまった。
ミカエルがゆりに寄ってきた。
「王妃、ここでいちゃいちゃできるなんてうれしいな」
「ねえ、王様本当に私の事怒ってない？」
「全然怒ってなかったですよ。さあ、王妃、すっきりさせてあげますね」
「いいよう。もうすっきりした」
ゆりはベッドから降りて行こうとした。
「だめですよ。王のご命令なんだから、さ、いらっしゃい」
「えー！！」
ゆりは強引にベッドに連れ戻されて、ミカエルに愛撫しまくられてしまったのだった。
「王妃、すっきりしました？」
ミカエルは整った顔を側に寄せて聞いた。
「なんか疲れた・・・」
「本当は指じゃなくて身体ですっきりさせてあげたいんですけど」
「すっきり気分爽快になりました」
「ならいいですけど」
ああ、朝からこんなことしてる私って一体・・・
気分を良くしているミカエルを横目でみながら、ため息をついたゆりだった。
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