神の国では、夜中、ガーベラが自分のベッドで寝ていると、自分の横の布団がもぞもぞと盛り上がってきた。

ガーベラがそれに気づいて目を開けると、目の前に赤い髪をした男の子の顔が見えた。

「あら・・・」

可愛い子。この子が・・・



男の子はちょっと頼りないような瞳でじーとガーベラを見つめている。サラディンの顔立ちに比べると柔和な

感じだった。

「おいで」

ガーベラは手を出して男の子を抱き寄せた。

「お母さん・・・」

「よしよし」

男の子の身体は温かかった。

「僕っておかしいのかな。」

男の子がぽつりと言った。

「どうして？」

「だって・・・」

「昔はよくクーリーフンと一緒に寝てたわよ。おかしくないわ」

「僕お母さんが大好き」

「うん」

「お母さんの匂いが大好きだ」

ガーベラは男の子の髪をなでた。



可愛い子ね。これだけ父親と違う性格の神が産まれるのも珍しいわね。



アマンザやジェイクが全くこういう感じではないため、ガーベラにとっては新鮮な事だった。


そういえば、クーリーフンが産まれたばっかりの時も、私にべったりでどこに行くのもついてくるものだから

他の恋人達と過ごすのがかなり困ったものだっけ。



まあその内サラディンの所にも行くようになるでしょう。



ガーベラは気楽に考えて小さい火の神を抱きしめたまま眠りについたのだった。



第64話

朝っぱらから嫌々ながら（？）も儀式モードになってしまったゆりは、男達の肌にある蛇をなでなでしながら

男達と肌を寄せていた。

「大きいのやら小さいのやら一杯いるね。大きいのは薄いけど・・・・まあいいか・・・みんないい男だし・・・」

男が一杯いるのでゆりの中の女蛇はご機嫌のようだった。

「緑の蛇ちゃん♪いい男」

ゆりはイシュタールの蛇をなでなでした。男達は全員集まっていたのでゆりの周りには８人の男達がいる。

「なんだかお初の蛇ちゃんみたいですね」

ヴィラがゆりを見つめつつ言った。といっても男達もゆりも水蛇さんと酒好き蛇さん以外は区別はついていない。

「あの・・もしかしたらあなたも何か特殊な力あります？未来予知とか」

ヴィラが続けて聞くと、ゆりは曇った表情をした。

「私何もできない」

「そうですか」

「何もできないとだめ？」

「そんなことないですよ。いいんですよ。何もできなくても」

ミカエルが微笑んで言った。

「本当？よかった」

ゆりは喜んでいる。だが内心では「ミカエルのばか」と舌打ちしていた。


「可愛がってくれる？」

「もちろんですよ」

「うれしいな」

ゆりは男達に抱きしめられて愛撫された。

「緑の蛇、青い蛇、赤い蛇・・・どれも素敵・・・ああ・・・」

両方の胸や下半身にまで男達の舌と指が這い回り、ゆりの身体はびくんと跳ね上がった。

「可愛い王妃、今日も一杯興奮させてあげますね」

ハインリヒが言ってからゆりの胸をなでながら唇を覆った。

「黒い蛇・・・好き・・・」

「あなたは何色の蛇なんですか？」

ハインリヒが聞いてみた。

「秘密・・・あてて・・・」

「何色かな？」

しばらくしてゆりの肌に触れていた男達が入れ替わった。

「紺色の蛇ちゃん・・・」

ゆりがシャナーンの蛇を見つめて言うと、シャナーンが優しくゆりの頬をなでた。

ー本当に初めての女蛇みたいだなあ・・・

ジュノーがヴィラに思念を送った。

ーそうだな。まあ10人くらいはいるらしいから、我々がまだ会っていない女蛇だっているだろうけど・・

ー我々としては可愛い女蛇は大歓迎だ。



「あ・・・・ああ・・・気持ちいい・・・気持ちいい！」

数人の男に愛撫され続けて、ゆりは何度も達していた。ゆりの匂いもすごくなってきている。

「王妃のここ、すごい事になってますよ」

ゆりの下半身をまさぐっていたミカエルが言った。

「言っちゃだめ・・・」

指が引き抜かれてゆりは荒い息を吐いた。

「ねえ、王妃、そろそろ・・・ね・・・」

ミカエルが意味ありげに言った。

「うん・・・私も皆にしたい・・・」

ゆりは体を起こしてミカエルに抱きついた。

「ここに立って」

ゆりは潤んだ瞳で言った。

「はい」

ミカエルが立ち上がり、ゆりは膝をついてミカエルの体へと手を伸ばした。

「あ・・・」

ゆりの背中を見たシャナーンとフリットが同時に言った。

「どうしたんです？」

ジュノーが聞くとフリットが手でちょいちょいと呼び、他の男達もそちらに移動してみた。

「おや・・・」

「これは・・・」

「なかなか・・・」

７人の男達がゆりの背中を見てぶつぶつ言っている。

「？」

ミカエル一人が不思議そうな顔で上からゆりの背中を覗き込んだ。ゆりはすでに口での奉仕に移っている。

「気持ちいい？ミカエル」

「気持ちいいですよ。とても・・・」

ゆりの背中にはうっすらと緑と青のまだらの蛇の模様が浮かんでいた。今はゆりは妊娠中ではないために

金色の蛇は浮かばない。おそらくはそれがゆりの中に入っている女蛇自身の模様なのだろうと男達は思った。

ー蛇紋みたいでいいですねえ。

ジュノーが思念で言った。

ーああ、いいなあ・・・緑と青の蛇ちゃんなんだ・・・

とハインリヒ。


一族の男達は女の肌にある蛇の模様を見ると興奮してしまうために、男達の心も高揚していた。

「王妃・・・もう・・・」

ミカエルがうめくようにいい、ゆりが口を離した。

「次は誰にしようかな？」

ゆりは後ろ側にいる男達を振り向いて微笑んだのだった。



「うーん・・・ふああ」

そんな頃、大きく伸びとあくびをしながら庭園をぶらぶらしていたのはラギだった。ずっと本を読んでいたので

休憩しようと外に出たのだ。首には赤と青の縞の細い小さい蛇が巻き付いていた。

「今日は曇りか。雨振りそうだなあ」

ラギは首を左右にぐきぐき鳴らしながら空を見た。遠くの方に暗い雲が見える。首にいた小さい蛇がするりと落ちて

するすると草むらの方に移動して行った。

「どこ行くんだい？」

ラギがそちらの方に歩いて行くと、大きな木の影に大蛇が横たわっているのが見えた。

「おや、可愛い子だねえ」

ラギはしゃがんでその蛇を見つめた。体長は8メートル以上はあるだろうか。身体をうねうねとくねらせたまま

眠っている。ラギにはすぐにその蛇が女の子だという事がわかった。皮は緑と青のまだら模様だ。ラギが連れ

ていた蛇はその蛇をじっと見ていた。

「可愛いけど、お前が相手をするにはちょっとでかすぎだね。残念だね」

ラギは笑ってそう言ってメス蛇の頭をなでたのだった。




「ああ、すごい、蛇がもっと増えてる・・・」

男達はゆりの匂いと蛇の模様を見て変化状態になっていた。ゆりは男達に身体をまさぐられながらも自らも愛撫を

続けている。

「ああ・・王妃・・・」

男達はゆりが他人に奉仕する姿を見ても達してしまっていた。

「ん・・・はあ・・・すごく気持ちいい・・・楽しかった・・・」

異様な興奮はゆりが目を閉じると同時に冷めていった。荒い息を吐いていた男達はやがて正気に戻り、肌の蛇も

消えて目も普通に戻った。ベッドから降りたヴィラが部屋の中にあるタンスから大量のタオルを取り出して男達に

渡した。いつ儀式があってもいいようにいつも備えられている。

ミルキダスがゆりの肌にタオルを巻いた。

「浴室に連れて行きます」

そう言ってミルキダスは自分も腰にタオルを巻いてゆりを抱き上げて、横にいたフリットが一緒に移動した。

「ああ、やっぱり儀式はいい・・・」

ミカエルがさっぱりした表情で言った。

「儀式・・・といっても蛇呼んでないですけどねえ・・・女蛇が入るとほんと王妃はすごいな・・・」

ジュノーが言った。

８人の男を難なく相手にしているのだからたいしたもんだと感心している。本当に交わることはできなくても、

それ以上の興奮があるので、交わらなくてもいいかと思えてしまうのだ。

イシュタールなどはぼんやりしていた。最近では儀式以外ではあまりゆりに触れなくなってしまったが、それでも

儀式でお呼びがかかればうれしいし、やはりゆりの事が好きだと実感してしまう。


中身にどの女蛇が入ろうが、男達にとっては、相手はゆりに変わりなかった。


「今日も楽しかった。王妃ってばほんと期待を裏切らないのがいいなあ・・・所で、皆の子蛇も結構

でかくなりましたね」

ハインリヒが言った。手の甲に納まっていた子蛇は今では二倍ほどのでかさになっている。

「私の子供、こんなにでかくなって・・・」

ハインリヒが思わずミカエルの手を取り、ミカエルが手を払ってべーと舌を出した。



浴室で身体を洗われていたゆりはぱちりと目を開けた。左目は蛇の目だった。

「気づきましたか？」

ミルキダスが聞いた。ミルキダスが身体を支えてフリットはゆりの髪を洗っていた。

「うん。どうもありがとう」

「いいえ・・・」

といいつつミルキダスの頬が赤くなっていた。こちらこそと言いたい所だろう。

「なんだかいつもの女蛇とちょっと違っていたみたいだなあ」

ゆりはそのままの態勢で言った。

「そうですかね。私はよくわからないですが」

とミルキダス。

「でも性格はかわいらしかったですよ。まあ半分は王妃なんでしょうけど」

とフリットが優しくゆりの髪を洗いつつ言った

「皆もいつもみたいにすごくはなかったけど、それなりに楽しんだみたいだね」

「いつもと同じように楽しかったですよ。私は」

フリットは素直に答え、ミルキダスは頬を染めたままだった。

「よかったね。ああ、それにしても男に髪洗ってもらうっていいなあ・・・気持ちいいからうちょっと寝てようっと」

「え」

ゆりはそのまま目を閉じて、フリットとミルキダスは目を合わせて苦笑したのだった。



庭園では目を覚ました緑と青のまだらの蛇がするすると草の間を移動中だった。

偶然見かけた人間の男の肌にある蛇にちょっとむらむらっと来たメス蛇だったが、たまたまそこに巫女体質のゆり

がいたために簡単に意識が移ってしまったのだった。ゆりは勘違いしていたがゆりの中に入ったのは古の女蛇では

なく、ただの蛇だったのだ。ちなみに結構でかいとはいってもただの蛇なので蛇霊神を呼ぶ力なんてない。


思いもかけず大勢の人間の男に可愛がられていろんな色の蛇に囲まれたメス蛇は、「なんだか楽しかったなあ」

と思いつつ、るんるんで森の中に帰って行ったのだった。



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