第14話
ロイとマリカの二人は今度は闘技場内をぐるりと一周走ることになった。二人が走りだすと、闘技場内にいた戦士達も二人に注目しだした。
一週400メートルほどはあるだろうか。５週も走るとロイはばててきたが、マリカはまだまだ平気そうだった。ロイにあわせて走っているようだ。
「彼女体力あるなあ」
「そうだな。すごいな」
戦士達はマリカの体力に感嘆していた。ロイはここに来てたまに戦士達とこうして体力勝負をしているのでこういうことは珍しくはなかったが、
ロイがメイドと走っているのを見るのは彼らは初めてだった。ただのメイドにしては結構な体力である。
二人が走り出した頃、ミカエルも闘技場にやってきていた。
ミカエルも他の戦士達と同じようにマリカを見ていた。ロイがばててきてから二人の距離はだいぶ開き、ついにはマリカは一周ロイを追い抜いていた。
１０周も走る頃ロイがよれよれになって地面に座り込み、勝負はマリカの圧勝で終わったのだった。
「も、もうだめだ〜……」
ロイは地面にばたりと倒れてしまった。
「あーロイ様」
ロイはしまいには戦士に運ばれていた。マリカもやってきたが、そんなに疲れているようでもなかった。
「ロイ様も結構走りましたね。王子様なのにすごいですよ」
マリカはロイをねぎらっていた。
「君はメイドでいるのが惜しいな」
ミカエルが声をかけた。
「小さい頃から野山を駆けまわっていましたので、走るのは得意なんです。ロイ様、落ち着いたら城に戻りましょうね」
ロイは疲れ果てて答える元気は全くないようだった。
「魔力はなくても女戦士になれそうですね」
他の戦士がミカエルに言った。
「結構筋肉もありそうですよ」
「戦士にスカウトされたが、掃除の方が好きだと断ったようだ」
ミカエルが返した。戦士になれば命の危険にもさらされる。マリカはそういうのが嫌なタチなのかもしれない。
「そうなんですか。残念ですね」
「み……みず……」
ロイがうめいていた。
「どうぞ」
ロイは戦士に水を飲ませてもらってむせていた。
「くそー大人だったら僕の方が勝つはず。そーだ、ラギにーに大人になる花をもらって……」
ロイはぶつくさいっていた。
「今大人になっても体力はそんなに変わらないですよ。地道に身体を鍛えてください」
ミカエルが笑いながら言うと、ロイは「うーうー」うなっていた。
二人はミカエルが城に連れて帰り、部屋には他のメイドもいたので、マリカはロイとそのまま別れて部屋を出て行ったのだった。
夕方になると気温は下がり、冷たい風が吹いていたが、ロイはかまわずに庭園で一人飛び跳ねていた。
すっかり体力も戻っている。
そこにマリカが近づいてきた。服装はすっかりメイド服に変わっている。
「ロイ様、私と話をする約束は覚えてます？」
「あ、マリカ、さっきはありがとう。いいよー何の話をするの？」
ロイが立ち止まって聞いた。
「ここは寒いですよ。中に入りましょう。だれもいない部屋に連れて行ってください」
「誰もいない部屋？ いいよー」
ロイはマリカをつれて移動した。移動先は薄暗く、確かに誰もいなかった。塔にある途中の部屋である。
ロイはぱっと力でランプに火をつけた。
「すごいですね」
「へへ、火の妖精みたいでしょ？」
ロイは得意げだった。
「それで何の話がしたいの？」
「実は王妃様のことが聞きたいんですよ」
マリカは顔を寄せて聞いた。
「母様？ 母様のパンツの色でも知りたいの？」
「違いますよ。たとえばですねえ……」
その頃ミカエルは休憩中のラクシュミの元にやってきていた。部屋の空気は暖かかった。ちょっと前までハインリヒがきていたようだと
ミカエルは思った。
「ロイ様がマリカのことを気に入ったようですよ。今日闘技場でかけっこの勝負をしてました」
ミカエルが突然言い出すと、ラクシュミはきょとんとした顔をしていた。
「城のメイドのマリカですよ」
「ああ、だれのことかと思った。ロイはメイドに遊んでもらってるのか」
「彼女はかなり体力がありますね。ジュメくらいありそうですよ」
「へーそうなのか。真面目に働いているとは聞いている」
この様子だと、ラクシュミはそうマリカと何度も会っているわけではないようだ、とミカエルは感じていた。
ミカエルは当初マリカに疑問を持っていたが、別段怪しいこともなく、今に至っている。
「彼女、ずっとここで働くつもりなんですか？」
「さあなあ。私にもわからん。それよりも、セリアの様子はどうなんだ？ ２，３日検査入院と聞いたぞ」
ラクシュミは話題を変えた。城に滞在していたセリアだが、お腹が痛いというので今日病院に移動していたのだ。
急だったので、ゆりも心配していた。
「痛みはお腹が大きくなっているせいのようですよ。医師の話だと、来年早々には生まれるかもしれないとのことです。一応２，３日様子を見るために
入院になりましたが」
「そうか。とうとうか」
ラクシュミの目が輝いていた。
「セリアは出産に対して結構恐怖を感じているようで……もしセリアが望んだら、王妃に出産に立ち会っていただくってのは、どうでしょうかねえ。
王妃が側にいたらセリアも安心すると思うんですが……」
ミカエルは遠慮がちに切り出した。
「別にかまわないが、なんだったら城で産んでもいいぞ。出産後には、私が治癒の魔法もかけにゃならんだろうし」
子供の魔力が大きければそれだけ母胎への影響も大きい。セリアが出産後かなりの気力を使うことは容易に想像できた。
「しかし城で産んでもいいんですかねえ……そうなるとかなりの特別待遇になってしまいますが」
「キースの子供だぞ。だれも文句は言わないだろう」
「それはそうですね。王妃が何度も出産した部屋なら縁起もいいかもしれませんね」
「そうだ。縁起もいい」
昔も今も、一族の数を増やすことは、変わらず重要事項である。
ゆりがいくら子供を産みまくったとしても、他の女性が強い子供を産まなければ、次の世代は続かないのである。
ロイとマリカは話が終わった後、ロイの瞬間移動で塔から城の中へと移動していた。
「今日はありがとうございます。それでは失礼します」
マリカはロイから去って行った。
その後ロイが食堂に移動すると、子供達もゆりもそろっていた。夕飯の時間である。皆すでに食べ始めているようだ。
「ロイったらいつまで遊んでるの？」
ゆりがあきれていった。
「違うよ。お話してたんだよ」
メイドがぬれタオルを差し出し、ロイはタオルで手を拭いていた。
「話って？」
「秘密〜」
といいながらロイは自分の席に座り、すぐにパンにかぶりついていた。
「今日の勝負はどうだったの？」
ラギが聞いた。
「ロイは足が速いメイドと闘技場で勝負したんだよ」
ラギは皆に説明した。
「僕が負けた。マリカはジュメくらい走るのが速いよ」
ロイは食べながら答えた。
「ジュメとも勝負したの？」
ゆりが聞いた。
「うん。みんなとしてるよ。所でかー様は、イシュタールは何番目に好きなの？」
ロイが突然聞き、ゆりは顔を引きつらせていた。
「え？ いきなり何よ」
「何番目かなーと思って。いっつも父様が一番でみんな二番って言うけど、それってほんと？ あれ？ 二番がハザーク様でみんな三番だっけ？」
「突然変なこと聞かないでよ」
ゆりの頬はちょっと赤くなっていた。
「ねえ、何番何番？」
「うるさいわね。みんな二番目に好きなの」
「二番目の中にエルバートは入ってる？」
ナナミが聞いていた。
「エルバートは入ってないわよ」
「じゃあハロルド様も二番？」
アナスターシャが続けて聞いた。
「は？ ハロルド様は私の恋人じゃないわよ」
ゆりはかなり動揺しているのか、顔がもっと赤くなっていた。
「え？ 恋人じゃないの？ いろんな物をもらってるのに？」
「ハロルド様はガーベラの恋人なの。そんなこと外で言っちゃだめよ」
「ハロルド様は母様のことをかわいく思ってるんだよね」
シスがにこにこして言っていた。シスにとってはそれも結構自慢らしい。
「ねえかー様、二番目に好きなのは何人いるの？」
ロイが大きな声で聞いて、ゆりはもっと顔を引きつらせた。
「ねえ、何人？ ラギにー知ってる？」
「えーと……何人かな？」
「うるさい！ とっとと食べなさい！」
ついにゆりの怒りが爆発し、子供達は黙りこくったのだった。
「全く、ロイが変なことを聞くから悪いのよ」
ゆりはロイをにらんでいた。
ロイは何も言わずに夕食を食べていた。
疑問に思ったのは、先ほどマリカに聞かれたせいだった。
「王妃様はめったに城から出られないようですが、街に行かれたりすることはないんですか？」
マリカにそう聞かれてロイは
「めったにないよ」
とあっさり答えていた。
「では、イシュタール様のことなんですが、王妃様とイシュタール様って、すごく仲が良いんですか？」
「すごく仲良いんじゃない？」
ロイは何も思わずにあっさり答えた。
「こんなことロイ様に聞くのも変なんですけど、王様よりは仲良くはないんですよね？」
「そうだよ。父様の次にみんなみたい。たぶんだけど」
「王妃様は恋人の方々と外で会ったりはしないんですか？」
「しないんじゃないかな？ もう一人の母様ならわからないけど」
「勝手に出られることもあるんですか？」
「あるかもね」
「そうですか」
ゆりが二重人格だというのは知っているのか、マリカはそこについては尋ねなかった。
「こんなこと聞いてどうするの？」
「どうもしないですよ。しばらく働いていて不思議に思ったものですから」
「ふーん」
会話はそれで終わり、話の内容は、城の中のメイドならば知っているような内容だったので、ロイも別段怪しむことはなかった。
だが、マリカが聞いた相手がラギだったならば、首をかしげたかもしれない。
食堂ではアナスターシャがゆりにセリアのことを聞いてきて、話題はセリアのことに移っていた。
セリアのお腹が痛くなったのはお腹が大きくなる前兆かもしれないとゆりも聞いていた。ゆりがそのことを言うと、子供達から歓声があがった。
「いよいよかあ。楽しみねえ」
「楽しみだね」
子供達もうれしそうだ。
「竪琴の授業も終わりかなあ。つかの間の先生だったなあ……」
ゆりはセリアがここにいる間、セリアに竪琴を教えていた。セリアを見ていると、竪琴を習い立ての頃の自分を懐かしく思ったりもしたのだが、
あの頃の自分よりは、セリアの方がかなりましだった。
「誰か私に竪琴を教えて欲しい人」
ゆりは子供達を見回して言ってみたが、だれも手をあげなかった。
「いいもんねー」
ゆりはちょっといじけていた。
「でも、セリアここに来てやせてたし、よかったね。母様のおかげで落ち着けたってセリアが言ってたよ」
シスがフォローするように言った。
「そう？」
「あの時の母様くらい太らなかったね」
アナスターシャが余計な一言を言っていた。アナスターシャの記憶からあの姿を消したいものである。
「セリアが子供を産んだら次はお母さんの番だね。そろそろ性別が分ればいいのにね」
ラギが言った。子供達は次の子供の名前を決めたいようである。
「予想では男が有力だよ」
「男かあ、どうでしょうねえ。女の子のような気もするし、まあ、まだわからないわね」
ゆりは首をかしげていた。歌好きの赤ん坊はあれ以来男達に歌をねだることはないようだが、ミカエルは歌が上手だと言われたいのか、
二人きりになるとお腹に向かって歌を歌っている。
夕食の時間は和やかに終わった。
子供達もゆりも自分の部屋に戻り、お風呂に入ったりして眠る準備を始めたのだった。
月が輝く晩ならばいい。星が瞬く夜ならばなおいい。
だが、月も星もなく獣の声も聞こえないそんな夜は、注意が必要だ。
今宵は闇夜であった。こんな夜は一族の魔力も落ちる。
早く眠ってしまおう。朝日が登るまで――
神の国火の神殿では、夜が更けて、広間にあるつぼの炎が大きく燃え上がり、そこに映った人物を見て火の神サラディンの顔が憤怒の表情に変わっていた。
そこにいたのはサラディンとよく似た風貌の男だった。違う所といえば、肌の色である。闇の世界での火の神、ブレンネンである。
「貴様、この盗人め！」
「お前の所にいた妖精は元気だぞ」
ブレンネンはサラディンの剣幕にひるむこともなかった。
「一体どういうつもりだ？ 私の神聖な炎に顔を出すな」
サラディンは立ち上がり怒り狂っていたが、ブレンネンは機嫌がよさげに口元に笑みさえ浮かべている。
その笑みも、サラディンの神経を逆なでさせるものだった。
「まあそういうな。たまにはこうして話すのもいいではないか。昔はよくやってたろ？」
「忘れたな」
サラディンは横を向いて言った。
「そういうな。弟よ。今日はお前に報告したいことがあって顔を出したのだ。この子を見ろ、なんと息子ができたのだ」
「何？ 息子？」
サラディンが炎に目を向けた。ブレンネンの横に逆立った赤い髪の少年が現れた。肌の色はブレンネンと同じで茶色かった。赤い瞳がランランと輝いている。
「お前をうらやましいと思っていたらなんと息子ができた。それで私はとても機嫌が良いのだ」
「生意気そうなガキだな」
サラディンは思ったまま言った。子供はにこにこと笑いもせずに、無表情でこちらをじっと見ていた。
「将来大きくなったらお前の娘をもらいたいんだがなあ」
「貴様、戦争でもしたいのか？」
サラディンがあきれていった。
「まあ、それは難しいだろうな」
「子供が産まれて有頂天になって顔を出したのか？ お前がそんな感情豊かだったとはびっくりだな。おめでとうと言ってほしいのか。
おめでとう。とっとと行け」
サラディンは追い払うような仕草をしていた。
「話はこれからだ。聞いたぞ。あの時救った人間を、半妖精にしたそうじゃないか」
「何？」
サラディンが眉をひそめていた。
「人間界で元気に暮らしているんだろ？」
「…………」
サラディンは敵意に満ちた瞳を向けていた。
ブレンネンがイシュタールに何かをするつもりだと思ったからである。
「勘違いするな。私はあの人間に何かをする気はない」
「どうだかな。お前は執念深いやつだ」
「ファリーヌがその人間のことを調べさせているようだ。何をしようとしているのかは知らんが、だからお前に知らせてやる」
「ファリーヌ？ ああ、あの女か。あの女がなぜイシュタールを？ 」
「それは知らん」
「…………そんなことをわざわざ知らせてくれるとは、一体何を考えている？」
サラディンはむしろ気味悪がって聞いた。
「お前の大事な妖精を一人奪ったからな。その上その人間に何かあればお前は私の仕業だと思うだろ？ 私の子供ができた祝いもかねて
教えてやる気になったのだ。それじゃな。さらばだ。弟よ」
炎は強まり、ブレンネンの姿は消えた。
「何が弟だ。ふざけるな」
サラディンは炎に向かって悪態をついていた。
「へー、おれあっちの火の神って初めてみたわ」
横にひょこひょこライオネルがやってきたのでサラディンは驚いた。
「なんだ？ いつ来たんだ？」
「来たのはちょっと前だ。妖精に誘われちまって、お慕いしてますって、ははっ。それで来た。仲良くしてたら髪が逆立ってきたんで何かなーと
思ってきたみたら、お前があいつと話してたってわけさ」
ライオネルは人間姿だった。どうやら、以前仲良くした妖精の方が誘ったらしい。もしかしたらルティアナの差し金かもしれないが。
「あいつってサラディンの兄貴なの？」
「生まれたのは同時だ。だがな、あいつは私を何度も消滅させようとしたんだぞ。火の神は一人でいいとかぬかしてな。あいつを兄だと思ったことはない。
あいつにも子供ができたとは、しかも男の子か、くそっ」
サラディンはちょっとうらやましそうだった。
「消滅って、すげえ兄貴だな」
「陰険で嫌なやつだ。子供も絶対性格が悪くなるに違いない」
「なあ、イシュタールって半妖精になったろ？ もうあっちの世界には連れて行けないよな？」
ライオネルは確認するように聞いた。
「相手が下っ端の連中ならな。ブレンネンならば可能だが。ただ殺すことなら下の連中でもできるぞ。まあ、おいそれとはできないだろうが」
「そうか。まーだ蛇の国をうろちょろしてる輩がいるのかなあ？ 兄貴もたまに見回ってるようだけどな」
「うーん……」
サラディンはあごに手をあてていた。
「このことイシュタールに言うのか？」
「言わない方がいいだろう。言えば、きっと苦しむことになる。全くあっちの連中は執念深い者ばかりだ」
サラディンは苦々しげに言っていた。
「なあ、俺疑問に思ってることがあるんだよな。こんなことアシュランにも聞けなくてさ。あっちの奴らは、何か目的があって行動してるわけ？
人間を増やしてあいつらの力を増して、どうしたいんだ？ 最終的にはアシュランの首でも狙ってるのか？」
神々同士があちらの世界のことを長々と話すことはあまりないため、ライオネルも他の神に聞くことがなかなかできなかったのだった。
神々の争いは遙か昔の物語で、その時ライオネルはまだ生まれてはいなかった。あちらの神々について疎いのも無理はない。
「そこまで考えてはいないだろう。アシュランがいなくなれば、どちらの世界も終わる。あちらで信仰されていなくても、アシュランやアリアスの
影響は少なからずあるのだ。光なくてして人は生きられん。炎は光の代わりにはなれないのだからな」
「へー、あ、そうなんだ」
「だが、もっと対等になりたいとは思っているだろうな。まあ、闇の神の思惑と他の神の思惑が一緒とは限らない。たいてい他の神が勝手に動いて
騒動になっているからな。そして騒動の原因はたいてい女だ。お前も女には気をつけろよ」
「はあ、女ね……そういう忠告は前にもされたっけな」
ライオネルは頬をぼりぼりかいていた。
「そろそろ行くわ。じゃあな」
ライオネルは広間を出て行った。
そういえばファリーヌがイシュタールのことを調べているといっていたが……
あの女が一体何を考えているかなど、私に分るはずもない
まあ、そのうちにイシュタールを呼んで様子をうかがってみるか……
サラディンはイスに座りつつそんなことを考えていた。
壺の炎を見ていると、先ほどのブレンネンの顔が浮かんできた。
『お前がこちらに残るというのなら、私は向こうに行く。向こうでは私はただ一人の火の神だからな』
ブレンネンはそう言って向こうの世界へと渡ったのだった。
当初神々の間には、意見のすれ違いも多く、争いもかなりあった。二つの世界に分れて、その争いはかなり減ったのだ。
サラディンにも平穏な日々が訪れたというわけである。
ということは、闇の王が面倒な神々を引き連れていってくれたおかげで、今の秩序があるともいえるではないだろうか？
うーん、考えると妙なことになりそうだ。カサンドラならば答えを知っていそうだが、教えてはくれないだろうな……
サラディンはしばらく珍妙な面持ちで考え込んでいたのだった。
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