第5話
今年は11の月の末くらいから雨が降り始めて、梅雨の期間に入った。
今年の梅雨は蒸し暑く、ゆり自身ぐったりしたが、アナスターシャは外に出れないのがいやなのか、おもちゃを投げてばかりいた。
ミカエルの刺激的な夜から、ゆりはもう夜は遊ばないと心に固く誓い、王の寝室で寝ていたりしていたのだが、ラクシュミは
ひっつかれるのもうっとおしいらしいので、ゆりはちょっと離れて寝ていた。まだ全然その気にはならないようだ。
こっちでは精力剤ってないのかな？
そう思い、商人に聞いてみようかなーと思ったゆりだったが、やめておいた。
まあしょうがないよね。こればっかりは。
でも、来年の交わりの月もその気になってくれないとちょっと悲しいけどなあ・・・・
梅雨が明けて、外はからりと晴れていたので、ゆりは庭園の片隅にある大きな木の下にござをひいてそこで昼食を食べていた。
大きな木に青い花が咲いたのだ。大きな4枚の花びらだけのシンプルな花だが、毎年梅雨の時期になると花をつけるのだった。
だから花見としゃれこんだのだ。ゆりのひざにはアナスターシャが乗っている。
横には侍女のミラと女戦士のジュメもいた。アナスターシャの侍女は、少し離れたところから、アナスターシャの様子をじっと
みつめている。
風がそよそよふいていて気持ちよかった。
「きゃっきゃっ」
ジュメがいろいろ歌をアナスターシャに歌い、アナスターシャが喜んでいた。
「こっちの子って成長早いね。もう何でも食べるし」
ゆりは自分でサンドイッチを作ってきたのだが、アナスターシャはそういうのも平気で食べている。
「そうですか？普通ですが」
ミラが微笑んで言った。
「マーうまうま」
「おいしいのー。よかったね」
ゆりがアナスターシャのお腹の方をくしゅくしゅ触ると、アナスターシャはうれしそうに笑っている。
「かわいいですね〜」
ジュメは微笑んでアナスターシャを見ていた。
「本当ですわ。」
とミラ。
ゆりは青い花を眺めた。大きな枝に大きな蛇が巻き付いていたが、この際無視してお花を眺めている。
「ねえ、こっちではこんな風に花見とかしないの？」
ゆりは聞いてみた。
「あまりしないですね。外で食事をしたりは」
「そうなの。もったいないなあ」
ジュメとミラも同じように花を眺めた。
「そういえば・・・花をぼんやり見ることも、今までなかったですよ・・・それだけゆとりがでてきたんでしょうね」
ジュメが言った。
「ゆとり」
「ええ。姫君と王妃のおかげで、皆だいぶ精神的にゆとりのようなものがでてきましたよ。」
「そう・・・」
アナスターシャはうとうとしてきて、ゆりの腕の中でぐーっと眠った。アナスターシャの侍女が近づいてきたので、
ゆりはアナスターシャを侍女に渡した。
三人はぼんやり木についた花を眺めている。
「何をやっているんですか？」
その時後ろから声をかけられて、ゆりの左目が黄色と黒に変わった。後ろにいたのはミカエルだった。
「お花見よ。」
ゆりがミカエルを見ていった。
「お花見？」
「そう。この木にきれいな花が咲いたから、花を見ながらご飯食べてるの」
「そうですか・・・」
ミカエルは木を見上げた。
「まあ楽しんでください」
ミカエルはそれで去って行った。ジュメとミラは目を合わせた。
「ミカエル様と何かあったんですか？」
ジュメが聞いた。
「なんで？」
とゆり。
「声を聞いたとたん変わったからですよ」
「この前ミカエルと刺激的な夜を過ごしちゃって、しばらく会いづらいみたい」
ゆりは気に留めない様子で飲み物を飲んだ。
「そういえば、ミカエル様が王妃に急接近したという噂聞きましたよ」
ジュメが言った。
「塔にさらわれたって本当なんですか？」
「まあ本当だけど、急接近って言っても、別にみんな接近してると思うけど。」
「ミカエル様もなかなかやりますねえ」
ジュメは真顔で言っている。
「いや、そんな、感心されても・・・」
「微笑ましい話です」
「・・・今の話微笑ましいかな？」
ゆりはミラに聞いた。
「さあ・・・あんまり微笑ましいとは思えませんが・・・」
「なんというか、我々は子作り以外で異性の奪い合いってのはあまりないので、そういう話を聞くと、微笑ましく
思ってしまうんですよ」
ジュメがしみじみと言った。
「結局は今はミカエル様がお気に入りなんですか？」
「まあそうかな。面倒だからお気に入りはミカエルだって噂広めといてくれないかな。えらく一番にこだわってるから」
「いいですよ。広めときますね」
とジュメ。
「それよりさあ、王様が夜全然だめなのが問題なのよね。かれこれ一年近くないんだもん。どうにかならないかなあ」
ゆりは口を尖らせて言った。お腹が膨らんできてからラクシュミはゆりに何もしなくなったので、かれこれそれくらいは
なるだろう。
「まあ、ゆり様ったら♪」
ミラが照れて言う。
「子供産まれてからは蛇紋も出なくなったからなあ・・・・」
「こればかりは・・・・来年の交わりの月を期待するしかないですね」
ジュメがちょっと同情するように言った。
「・・・そうですわ。前に、ゆり様が一族の女に変身したことがあったじゃないですか。また変身してみたらどうでしょう」
ミラが思いついたように言った。
「あ・・・忘れてた。それいいかも」
前にアヤコから面白い実を送ってもらい、それを食べたら耳が大きくなって一族の女になってしまったのだった。
「そんなことがあったんですか？知りませんでした」
とジュメ。
「あっちに変わるからそのこと言ってくれない？」
「いいですよ。」
ゆりの目は黒目になり、二人は同じ話をした。
「それいいわね。魔法の鏡でアヤコさんに言ってみよう」
ゆりの目が輝いてきた。
ラクシュミに魔法の鏡を使わせてもらい、ゆりはアヤコと話をした。すると10日後くらいに実が送られてきた。
どうもこの実はこの国にはないようだ。
紫の実が今度は20個くらい入っていた。一日2個ほど食べれば変身が持続するようだと書かれていた。
ゆりは一応ラクシュミの許可をもらい、実を食べた。侍女たちは興味津々で見つめている。
やがて、ゆりの耳がにょきっと大きくなり、ゆりの体にも変化がでてきた。
「まあ・・・すごいですわ・・・」
とミラ。
「本当、どっからみても一族の方ですわ」
侍女はじっとゆりの様子を眺めている。ゆりは鏡で自分の姿を見た。
耳は大きく、目元もちょっと上につりあがっている。前とは違い、肌半分に蛇の模様はない。
「あ・・・」
ゆりはスカートをちょっとあげた。左足のふくらはぎに、一匹の蛇がまきつくように、肌に浮いている。
「おやまあ・・・」
侍女が声をあげた。
「とても美しい蛇ですわね」
「本当、まるでルーみたい」
それは、青みがかった銀色の蛇のようだった。まるできれいな刺青のようだ。
「ねえ、髪の色とかかえられない？せっかくだから大変身したいな。それで、夜王様に迫る。今夜こそ！」
「まあ。では染料で髪を染めましょうか。ちょっと青みがかった色に」
「うん」
こうして大変身計画が実行に移された。
髪と眉毛は、青みがかった黒で、ゆりはポニーテールにして後ろで髪をしばった。
目元にはアイライナーをいれて普段とは違う化粧をしている。耳には蛇のかざりをつけて、
足は、左足の刺青が見えるようなスリットのあいたスカートをはいた。
「どう？」
侍女の前でポーズを取る。
「まあ、まるで別人ですわ！」
「本当！ゆり様と思う方はいませんわよ！」
「素敵！」
「ふふーん。ちょっと誰かでためそっと。ねえ、ジュノーに東の東屋で夕方4の時に会いたいって伝えてくれない？」
「はい、ただちに」
侍女が出ていった。
わーい、瞬間移動であ〜そぼうっと
普段のゆりは瞬間移動はできないので、瞬間移動ができるのがすごくうれしいのだ。ゆりは誰にも見つからないように
こそこそっと廊下を小走りで過ぎて城の外に出て、瞬間移動して遊んだ。えいっと飛ぶと、ゆりは移動した。
やった！と思ったが、気づくと宙に浮かんでいた。やたら地面が遠くにある、そう思う内に、体はどんどん下に落ちた。
「きゃあああ！」
その体が途中でぴたっと止まった。恐る恐る見ると、目の前にミルキダスの姿が見えた。
「何をやってる！」
ミルキダスが怒ったような顔でゆりを見た。
「ミルキダス、怖かったよ〜」
ゆりがそういうとミルキダスはぎょっと目を見開いた。ミルキダスを呼び捨てにする若い一族の女はいないのだ。
「私、ゆりよ」
ゆりが言うと、ミルキダスはもっと目を見開いた。
「王妃？耳が大きくなってますよ？」
「うん。あそこ連れて行って」
ゆりは近くの塔を指差した。
「はい」
ミルキダスはゆりを塔の上の方に連れて行った。
「アー驚いた」
ゆりは胸をなでおろした。ミルキダスは不思議そうにゆりを見ている。
「へへーどう？どう？」
ゆりは頭の後ろに右手をあてて、ポーズをとった。
ミルキダスは何度も瞬いている。
「どうしてそうなったんですか？」
「変身する実食べたのよ。それで変わったの。見て見て、これ」
ゆりは左足を見せた。そこには上向きに巻きついた青っぽい銀色の蛇がいた。
ミルキダスは思わずしゃがんでその蛇をじっと見た。
「きれいですね」
「でしょ？」
「とてもきれいですよ」
「本当？そそられる？」
そういうとミルキダスの顔が真っ赤になった。
「あの・・・王妃・・・」
「なあに？」
「いえ・・・」
ミルキダスはうつむいた。
実は、女の肌にいる蛇を見るのは一族の男は結構好きだった。女もそれを知ってるので、交わりの月が近くなると、手足や胸元に
蛇がいる女たちはわざと見えるような服を着て目当ての男を誘ったりするのだ。
つまり、ねえ、私の蛇見てきれいでしょ。イコール、交わりの月一緒に過ごさな〜い？という誘いになる。
だからミルキダスはかなり恥ずかしかったのだ。
「でもびっくりしたあ。突然宙に浮かんでて」
「危ないですよ。瞬間移動したんですか？」
「うん」
「はじめは誰かについて練習しなきゃだめですよ」
「うん。気をつける。ねえ、ミルキダスって、明日かあさってあいてる？」
「あさってなら開いてますよ」
「じゃああさって、瞬間移動教えてくれる？」
「いいですよ」
ミルキダスは頬を赤らめたまま言った。
その後、ゆりはジュノーとの待ち合わせ場所に行った。ゆりがそろそろと東屋に近づいていくと、ジュノーはすでにいて、
東屋の外で立っていた。ゆりは後ろから目隠しでもしてやろうと手を伸ばした。だが、ジュノーは
ぱっと後ろを向いてゆりの手首をつかんだ。
「え・・・」
「わっびっくりした。」
とゆり。
「・・・」
ジュノーは目をまん丸にしてゆりの姿を上から下まで眺めている。
「ねえ、どう？どう？きれい？」
ゆりは目を輝かせてきいた。
「驚いた。また変わったんですか？」
ジュノーはようやくゆりの手を離した。
「うん。」
「まるで別人だ。びっくりですよ」
ジュノーはゆりの後ろに回った。そして、ゆりの左足を見る。
「これはこれは・・・・なんとまあ。きれいだ」
「そう？」
「本当に美しい蛇ですよ。触ってもいいですか？」
「だめ」
「おや・・・」
「ねえ、瞬間移動に付き合って」
ゆりが目を輝かせていった。
「いいですよ。でもまず、練習しましょう。近いところからにしないと、建物の中は実は危険なんですよ」
「わかった」
二人は庭園の開けた場所に行った。
ジュノーは少し離れた場所にたつ。
「じゃあ、ここまできてみてください」
「うん」
ゆりは念じてみた。だが、行き着いた場所は、ジュノーからかなり右にそれた場所だった。
「あれ？」
「ここですよ。場所を明確に思い描かないとだめですよ」
何度か飛んでもなかなか目的地までいかない。
「難しいなあ・・・」
ようやくジュノーの近くまで来たとき、近くに瞬間移動で二人の男が現れた。ミカエルとフリットである。
ゆりはジュノーの後ろに隠れた。
「珍しい女の気を感じてきたんだが・・・」
フリットが言いながら、ジュノーの後ろのゆりを見た。ゆりはジュノーの背中で顔を隠している。
「この子はつい先日大人になったばかりなんです。名前はジャスミン。」
ジュノーが微笑んでいった。
ゆりはジュノーの背中ごしに顔を半分だけ出してフリットとミカエルを見た。
今のゆりには一族の者が放つ気のようなものが見える。
ミカエルの気は、強く、かなり魅力的であることがゆりにはわかった。
「ジャスミン、お二人に挨拶を」
「こんにちは。フリット様、ミカエル様」
ゆりは少し顔を出して言った。
「こんにちは。ジャスミン」
「こんにちは」
二人はそれぞれ、微笑んで挨拶をした。
「この子はもう僕が予約ずみなんで、二人は手をださないでくださいね」
ジュノーがさらに微笑んでいった。ミカエルの視線がゆりの左足にあるのを感じて、ゆりはさっと足をスカートの中に隠した。
「じゃあ、いこう。ミカエル」
「ああ」
二人は瞬間移動で消えた。
「あーびっくりした！」
ゆりは胸を押さえていった。
「二人とも気づかなかったですね」
「うん。気づかないものだねー」
「明日もそのままなんですか？」
「今回は10日くらいもつかも。」
「それはそれは、」
そしてその夜、ゆりは肌が透けるセクシーな寝巻きを着てラクシュミが来るのを待った。
変身していることだけはすでに知っていたラクシュミは、早めに寝室にやってきて、ゆりを見て目を見開いた。
「前と違うな」
「どう？」
「なかなかいいぞ。特に、この蛇は」
ラクシュミは、ゆりの左足の蛇に触れた。
「髪の色も変わったのか？」
「ううん。染めたの。どうせだから大変身しようと思って。みんなには内緒よ。」
「これだけきれいな蛇がいる女はめったにいないぞ？」
「その気になる？」
「ふふ・・・なった。」
ゆりが微笑む。その夜、ゆりは久しぶりにラクシュミに抱かれて、満足して眠りについた。
次の日の午後ゆりはヴィラと待ち合わせし、その時間まで庭園で瞬間移動の練習をしていた。
なかなか目的地にぴったり止まるのが難しい。
すると、そばに、ミカエルの姿が見えてゆりはぎょっとした。
「こんにちは。」
ミカエルが近づいてくる。ゆりは今日も昨日と同じ化粧に髪型だった。
「こんにちは。ミカエル様」
ゆりが言うと、ミカエルは微笑んだ。どうやら気づいていないようだ。
「ここで一人で何を？」
「ただ遊んでいただけ。待ち合わせの時間まで」
「ジュノーがくるの？」
「ううん。別の人」
「・・・」
ミカエルの視線はゆりの左足に注がれている。
「実は・・私は女の肌にある蛇に目がなくて・・そういう完全な蛇を見るとうれしくなるんですよ」
「はあ・・・そうなんですか・・・」
「交わりの月は全部ジュノーと？」
「ええ、まあ」
「一日私と過ごしてくれないだろうか」
ゆりはぎょっとした。
「君の蛇紋が見てみたい」
「蛇紋・・・」
それは、昨晩肌に浮かんだ。2匹の蛇がおなかに浮かんだらしく、ラクシュミはなにやら興奮していたようだった。
「ミカエル様って、そうやっていつも他人の女の子に手だしてるんですか？」
ゆりが首をかしげて聞くとミカエルは苦い表情をした。
「いつもじゃない。それに、君にとっては悪い話ではないだろう？強い男と交わったほうが、君にとっても得だ」
「はあ・・・」
蛇の一族の男女は、全体的に恋愛感情が薄いたちのようだ。今まで聞いていただけだったが今はそれを実感できる。
女も男も、より強い相手と交わりたい。それは、強い子孫を残したいため。
本能なのだろうが、ゆりにとっては複雑だ。
ゆりはちょっと考えるように横を向いて、ミカエルを見た。その瞳には、自分に対する恋愛感情とか、そんなものは感じられない。
ただ、興味だけだった。すごく冷静な顔をしている。
王妃であるゆりにむける瞳とは全く違う。
ゆりを口説く時の瞳とも違っていた。
まるでミカエルの別の顔を見たような気分だった。
「そうですね。10日全部過ごしていただけるのなら、ジュノー様を裏切ってもいいですけど」
ゆりはいたずら心からそう言った。
「10日全部？それは無理だ」
「それなら私も無理ですね」
「・・・」
ミカエルは少し考えるようにゆりを見つめている。というか顔は全然見ていない。見ているのはゆりの左足だけだ。
「そんなにジュノーがいいのかな？ジュノーは君だけってわけじゃないと思うが」
「ジュノー様のことが好きなんです」
「好きね・・・」
ちょっとばかにしたような響きだった。
そんな時、ヴィラがやってきた。
「あ、ヴィラ様」
ゆりが微笑んで言うと、ヴィラは状況を悟った。
「ジャスミン・・ミカエル殿と何を？」
「たった今、ミカエル様を振ったところ」
ゆりが微笑んで言うと、ミカエルがぎょっとした顔をした。
「おや、あなたでも女に振られることがあるんですね」
ヴィラが笑って言う。ミカエルはむっとして姿を消した。
「ふふふ・・・・しかし、驚いた、まるっきり別人ですね」
ヴィラがゆりを眺めて言う。
「ミカエルったら私の足しか見ないんだよ」
「うーん。なかなかきれいですね。その蛇に口付けたいんですが」
「だめ。今日は瞬間移動の練習」
「ではその後で、いいじゃないですか。足に口付けくらい」
「むう・・・じゃあ後で、でも服ぬがさないでね」
「はい」
その後、ミカエルは神妙な顔つきで王の間にいた。
「王、ジャスミンという女なんですが・・・」
用事を済ませた後、ミカエルは切り出した。
「ジャスミン？ああ・・・」
ラクシュミは、ゆりからその話を聞いていた。
「王なら彼女の蛇紋ご存知ですよね？」
ラクシュミだけは唯一、一族の者のからだに浮く蛇紋を、いつでも見ることができるのだ。
「知っているが？」
「蛇が他に出るんですか？」
「聞いてどうする」
「知りたいんです。とっても」
「いくらお前でも、女の蛇紋を教えるわけにはいかないな」
そういうと、ミカエルは少し口を尖らせた。
「ん？お前何考えてるんだ？まさか交わりの月に抱きたいと思ってるんじゃないだろうな」
「10日全部なら過ごしてもいいといわれました。一日じゃいやだと」
「ほ〜お・・・」
ゆりのやつ、ミカエルをからかって遊んでるな。
そうラクシュミは思った。
「10日全部だとお前の女たちが怒るだろ？」
「ですが・・・彼女の蛇紋が見たいんです」
ラクシュミがくくくと笑う。
「お前がそこまで見たがるとは相当だな・・・見かけはお前の好みじゃないだろ？」
「え・・・まあ・・・」
「お前足の長い女が好きじゃないか」
ミカエルと過ごす女たちは、皆胸は大きく腰はぎゅっとくびれて、足はすらりと長い。それぞれ
体には蛇がいる。完全な蛇の模様がある女は、一族の中でもそれなりに力が強いほうなのだ。
「ですが、あの蛇は魅力的ですよ」
「じゃあどうするのだ？お前の女たちを泣かせてまでその女をとるのか？」
「・・・」
ミカエルは考えるように横を向いている。
「お前その前に奪ってしまおうとか思ってるんじゃないだろうな」
「そんなことは・・・」
「考えてるだろう。」
「いけませんかね。女にすれば、私とするほうが幸せだと思うが・・・」
ミカエルの鋭い瞳は、すっかり交わりの月モードに入っている。
ラクシュミはため息をついた。
「ばかだな。あれはゆりだ」
「は？」
「前みたいにゆりが変身していたんだ。」
「まさか・・・」
ミカエルの顔が引きつっている。
「おおかた塔にさらわれた仕返しをされたんじゃないのか？」
そうラクシュミが言うと、ミカエルは苦い表情のまま王の間を去って行った。
ゆりはジュメや一族の他の女性ともあったりして、変身生活を楽しんだ。アナスターシャは最初は首をかしげたが、
すぐに「マー」だと理解して、全然嫌がらずにゆりに抱かれている。
子供って賢いもんだ、と思ったが、アナスターシャは父親の事に関しては、結構時々誤解しているので、それはそれで
不思議だ。
そんなこんなで変身して5日ほどたったころ、庭園の花がついた木の下でゆりがぼんやり過ごしていると、ミカエルが現れた。
「こんにちは。ジャスミン」
ミカエルは微笑んで言った。
「こ、こんにちは・・・」
なんだか笑顔に怖さを感じて、ゆりはちょっと警戒した。
「この前のことなんですがね。決心しました。あなたと10日過ごします」
うげ・・・・
ゆりの顔が引きつった。
「だから、あなたもそのつもりでいてください」
「あれは冗談ですよ。私は、ジュノー様一筋ですから」
ゆりが引きつった笑いを浮かべて言う。
「もうだめですよ。逃がさない。私が過ごすといったら、過ごします」
ミカエルが近づいてきて、ゆりは木の裏にそろりと逃げた。
「でも、ジュノー様に殺されます」
「大丈夫。私のほうが強いから、あなたを守ってあげる」
ミカエルはにこやかに近づいてくる。
げげげ・・
ミカエルはゆりの腕をとった。
「でも、ミカエル様の彼女に悪いし」
「いいんですよ。そんなのどうでも」
「どうでもって・・・」
「交わりの月まで練習しましょうね。あなたが、ちゃんと本番感じられるように」
「いえ・・・いいです。遠慮します」
「遠慮しなくてもいいんですよ？今から私の屋敷にいきましょう」
「いっ！？」
「朝までかわいがってあげます」
「いえ、まだ昼間ですから」
ゆりは瞬間移動しようと思ったが、全然できない。
「よく顔を見たら、王妃にそっくりですね。ジャスミン」
その意味ありげな声で、ゆりは気づいた。
「気づいてたの？」
「ひどいですね。私をからかうなんて」
「この前のおかえしよ」
「・・・なら、私もお返しをしようかな。この前の夜、あなたはとてもいやらしく、私の体を
ねだってましたよ？何度もいかせて喜ばせてあげたのに、この仕打ちはあんまりじゃないんですか？」
ゆりの顔が極限まで引きつった。
「嘘よね？」
「本当ですよ。それなのに、私は我慢してあなたを抱かなかった。すごく抱きたかったけど我慢したのに」
「・・・」
「ひどいな・・・」
「ごめんなさい。その・・・ちょっとからかっただけよ。怒らないで」
「あなたが蛇紋を見せてくれたら」
「え・・・・」
「抱かれろとはいいませんよ。儀式のようにするならいいでしょう？」
「・・・ミカエル・・・あの、私今は、王様以外の人とはあんまり・・・」
「飛んでもいいですか？」
全然話聞いてない。
「うう・・・うん・・」
ミカエルは、ゆりと一緒に、ゆりの部屋の横の個室へと移動した。ミカエルはゆりの首をなでた。
「こういう髪型もいいですね。」
ミカエルはゆりの首の後ろをなでて、体を曲げて、首にキスした。
体がぞぞぞとする。一族の女である今は、あんまり男に触れられたいと思えないのだ。
「あの・・あのとき・・・私そんなに？」
「私の腰にしがみついてましたよ？」
「う・・・」
「もっとも、あなたは私を王だと思っていたようだが」
「ええー！？」
「また今度お酒飲みましょう」
「一生ミカエルとは飲まない！」
ゆりは真っ赤な顔で言った。
「とりあえず、今はあなたの蛇紋」
ミカエルは、ゆりをベッドに乗せた。
「ミカエルのばか」
「でもキライではないんでしょう？」
「・・・」
「ちゃんとわかってますよ。あなたがとても私を好きで、抱かれたいのも我慢してること」
「い・・・別に我慢してるわけじゃ・・・」
「王に言ってください。他の男にも抱かれたいって。そうしたら私もあなたを抱けるのに。あの夜は王にしつこく止められて、
できなかったんです」
そんなこと言えるかばか！
声を大にして叫びたかったが、状況が状況なだけに言えなかった。
ミカエルはゆりを裸にして、愛撫した。ゆりはしばらくぞぞぞとしていたが、しだいに興奮してきてしまい、
しばらくすると、ゆりのおなかから胸にかけて、二匹の蛇がうかびあがってきた。
「これは・・・」
ミカエルは驚いたように目を見開いてそれを見つめている。青い蛇と銀色っぽい蛇が、二匹からまるように浮いている。
「素晴らしい・・・こんな美しい蛇紋は、初めてですよ」
ミカエルはうっとりとそれを眺め、舌でなめた。
「ミカエル・・・もう見たからいいでしょ？」
「まだ」
ミカエルは、ゆりの体の中に指をいれながら、胸の先をなめている。
「や・・・おねがい・・もう・・・」
「体が変わっても、ちゃんと感じてくれてうれしいですよ。私も中に入りたくてたまらない」
「や・・・だめ・・・」
「なら、儀式のように、してくれますか？」
ミカエルが顔を近づけて聞く。
「・・・・ジャスミン？」
「・・・わかったから、もういじめないで」
「ふふ・・・あなたが本当にジャスミンだったら、あなたに夢中になっていたかもしれませんね。」
ミカエルはゆりに口付けた。
その夜、ゆりは昼間興奮したせいか、かなり乱れてしまい、ラクシュミにどうしたんだ？と聞かれる始末だった。
その数日後、元に戻ったゆりはヴィラとバラクで遊んでいた。
「ミカエル殿と何かあったでしょう」
突然切り出されて、ゆりはぎくりとした。
「なんで？」
「最近城であっても妙に機嫌がいいんですよ。いやなくらいに」
「知らないわよ。ミカエルのことなんざ」
ゆりは語尾を強めて駒を進める。眉間にしわもよっていた。
結局はいいように遊ばれてる気がするのが腹立たしい。
っていうか、絶対遊ばれてる。
「ねえ、こっちでいう恋人ってなんなの？」
「恋人？交わりの月をたいてい毎年過ごす相手のことですよ」
「ふーん。じゃあ私の場合はどうやったら恋人なの？」
「王妃の場合は、王以外の特別の男っていうことですよ。つまり、定期的にいちゃつく男が恋人ですね」
「はー・・・」
「その意味では私も恋人ですね」
ヴィラが微笑む。
「はあ・・・私、ミカエルは、そういうんじゃなくて、ただ、ちょっと遠くで顔を眺めたいっていう感じなんだけどなあ・・・
キャー今日も顔が見れたわーうれしい、みたいな感じでいいんだけど」
「・・・力がない女たちが遠巻きに見てるような感じですか？」
「そう。それがいい」
「ふふふ・・・近づきすぎたらいやだなんて、変な人ですね」
ヴィラがおかしそうにいった。
「だから別に私に好意もってくれなくていいのに。時々微笑んでくれればそれで十分なのにい」
「はあ・・・それはさすがに・・・ミカエル殿も嫌だと思いますが・・・」
「それにさあ、この一族は交わりの月以外その気にならないはずでしょ？」
「そうとも限らないですよ。相手があなたなら、誰でもその気になる」
「なんでよ」
「あなたは王の気をかなりもらってますからね。肌から、王の匂いを感じるんですよ。
あの匂いは、我らにとってもっとも刺激的で、官能的でもあるんです。だから、その気になる」
「はー」
「ま、うまくあしらうことですよ。」
「それができれば苦労しないよ。私にはああいう大人の男の相手は無理。でもキライになれないところが憎い！」
「ふふふ・・・でもまあ、あの人があなたに熱をあげてるってことは、あなたにそれほど
魅力があるってことですから。一族の女たちのあなたを見る目も、それで結構違うんですよ？」
「そういうもの？」
「王だって、だれも見向きもしない女よりも、魅力的な王妃のほうが鼻が高いじゃないですか」
「はあ・・・・」
勝負はヴィラのほうが勝った。
「最近蛇には勝てるんだけど、人には全然勝てないなあ・・・」
首をかしげるゆりだった。
その時、部屋がノックされて、侍女がいなかったのでゆりが出た。
そして「うげ」と言った。
ミカエルが立っていたからだ。
「うげ？」
ミカエルが少し首をかしげて聞いた。
「今ヴィラがいるの」
「そうですか。私はかまわないですよ。全然」
ミカエルは部屋に入ってきて、ゆりに両手に乗るくらいの箱を渡した。
「お菓子です」
「どうもありがとう」
ミカエルは部屋にいたヴィラをみた。そしてテーブルの上を見る。
「バラクしてたんですか？」
「そう。遊んでた。」
「私に言ってくださればよかったのに・・・」
ミカエルが微笑んで言う。
「え、だってミカエルって結構偉い人なんでしょ？しょっちゅう呼んだら悪いし」
「最近はよくさぼってますね」
ヴィラが何気に言った。
「そんなことはしてない」
「あ、ねえ、二人はバラクどっちが強いの？」
ゆりは話を変えるために言った。
「さあ、やったことはないです」
「どうせだから一回やってみて、ね」
「・・・いいですよ」
とミカエル。
「勝ったら何か褒美あります？」
ヴィラがゆりを見ていった。
「褒美？」
「勝った方と別室行きとか」
ヴィラの言葉に、ミカエルはいすに座った。
「のった」
「はっ？な、何言ってるの？！」
二人は駒を並べている。
「私はそんなのしないからね」
「まあいいじゃないですか」
とヴィラ。
「何がいいのよ」
「大丈夫ですよ。私が勝つから」
とミカエル。
「どっちとも行きませんってば」
二人はさっさとゲームを始めていた。
ゆりはぶーたれた顔でテーブルの横に座ってゲームを眺め、ミカエルからもらったお菓子を開けて食べた。
「あ、おいしい。これ」
パイみたいなもので中にジャムが入っている。一口サイズで食べやすい。
「最近人気らしいので」
「そうなんだ。中のジャムがおいしいなあ。紫色。なんの果物だろう」
ゆりは箱の裏を見てみた。
「うーん・・・読めない。ミカエルこれなんて書いてあるの？」
「ハラザン、この国にはない果物ですよ」
「ふーん」
ゆりはむしゃむしゃ食べている。
そして、二人の横顔を眺めていた。
やっぱりミカエルってハンサムだなあ・・・あれで耳が違ってたら、十分あっちで
スターになれるよ・・・ヴィラも美男子だけど。やっぱり顔はミカエルのほうが好きだな・・・
やがて、ヴィラがゆりの顔を見てぎょっとした。えらい真っ赤になっている。
「王妃、どうしたんですか？」
ヴィラがゆりの頬をなでると、めちゃくちゃ熱かった。
「ひっく・・・・」
ゆりはにこっと笑ってヴィラの指をつかみ、軽くかんだ。
ミカエルが驚いた顔をする。
「うふふ・・・私ヴィラの指が大好き・・・」
ゆりはヴィラの手を持って指を広げている。
「・・・・」
ミカエルの表情がさっと変わった。
「王妃、何やってるんですか？」
ミカエルが言うと、ゆりはミカエルを見て、ニコニコ笑った。
「いい男♪」
ゆりはヴィラの手を離してミカエルに抱きつき、突然キスした。
「！」
「だっこ。」
ゆりはミカエルのひざに横むきに座り、ミカエルの首に手を回した。
「んーいい男〜素敵なお顔にちゅ〜」
そして頬に何度もキスしている。
「ヒック・・・ヒック・・・」
「・・・酔っ払ってる・・・」
ヴィラがあきれたように言った。
「あなた一体何食わせたんです」
「何って、普通のお菓子だぞ？」
ゆりはミカエルのひざの上にいたままでごそごそお菓子の箱に手を入れている。
「もうだめですよ」
ヴィラがお菓子を取り上げた。
「いやあ。食べるう。ヒック・・・」
「・・・これ本当に普通のお菓子なんですか？」
ヴィラはお菓子の中を見た。
「ダーリン、あれとって！」
ゆりがミカエルを見て言う。
「ダーリンって・・・」
とヴィラ。
「もう食べちゃだめです」
ミカエルがおかしそうに言う。
「いやあ。食べたい。」
ゆりは甘えるように言った。
ゆりはミカエルのひざの上から降りてヴィラの元に行き、お菓子の箱を取ろうとする。
「だめ」
ヴィラが横によける。
「いやん。意地悪いわないで」
ゆりはヴィラのひざの上に乗った。顔は真っ赤で目はうつろである。
「ちょーらい」
「だめですってば。かなり酔ってますよ？」
「よってないもん。」
「かなりハイになってるなあ。なんかかわいいな・・」
ミカエルはゆりを見つめて言った。
「ヒック・・気持ちいい・・もっと・・」
「だめ」
「いいことしてあげるから、ちょーだい」
「いいことって？」
ヴィラが笑いながら聞いた。
「ん・・・んー」
ゆりはヴィラの顔に両手をあててそのまま激しく口付けた。
ヴィラが驚いている拍子に、ゆりはお菓子の箱の中に手を入れて、お菓子を一個取った。
それを半分食べて、「あーん」といってヴィラの口に強引に押し込んだ。
「・・・」
「おいしい？ダーリン」
「くくくく・・・面白すぎる・・・」
ヴィラはお菓子を食べながら笑っている。
「王妃、こっちに戻ってきてくださいよ」
ミカエルが言う。
「や」
ゆりはお菓子の箱にまた手をいれようとしている。
ミカエルが立ち上がり、お菓子を持っている箱を取った。
すると、ゆりはミカエルに抱きついた。
「ちょ〜らい。ラ〜リン」
もうろれつも回ってない。
「本当に面白いなあ。このままあっちいきませんか？」
ヴィラが言う。
「・・・そうだな」
ミカエルはそのままゆりと移動して、ヴィラも行った。
「ダーリン、おかし・・・」
「いっぱいキスしてくれたらあげますよ」
「ん・・・」
ミカエルが身をかがめると、ゆりはミカエルに口付けた。
「体あつい・・・」
ミカエルはゆりの首筋に顔をうずめている。
「脱いでもいいんですよ。王妃」
ヴィラが妖しく微笑んでいった。
「んー・・・ヴィラったらもうエッチなんだから」
「ミカエル殿のほうがエッチだと思いますけど・・・」
ミカエルはすでにゆりの服を脱がしにかかっている。
「愛してますよ。王妃」
「うそつき」
ゆりはミカエルを突き飛ばしてベッドに座っているヴィラにくっついた。
「なんでうそつきなんです？」
「ミカエルなんてみんなに言ってるくせにー」
「言ってないですよ」
「言ってますね。絶対」
とヴィラ。
「ミカエルなんてねえ、変身した私にもぜーんぜんきづかないんだよ」
「ひどい男ですね」
ヴィラはゆりを抱きしめてキスしていた。
「ひどいな。お菓子を持ってきたの私なのに・・・」
ゆりの周りにはふわふわとピンクの気が浮いていた。
ミカエルはヴィラと反対側に座ってゆりを抱きしめた。
「私にも口付けしてください」
「ん・・・・」
やがて、三人とも裸になり絡み合った。ゆりは儀式の時のように乱れて、気はほとんどピンク色に変わっていた。
しばらくして、ベッドに寝転んだゆりは目を開けた。左目は黄色と黒の蛇の目になっている。
「ミカエルに酔わされるの、二度目だわ」
ゆりが口をとがらせていった。
「二度目ってどういうことです？」
ヴィラがミカエルをにらむ。
「さあ・・・」
とミカエル。二人はゆりをはさんで寝転んでいる。
ゆりはベッドの上にあったお菓子の中からお菓子をとって口に入れた。
「ジャムに酔ったのかなあ・・・」
ゆりが首をかしげる。
「あなたは酔わないんですか？」
とヴィラ。
「私はあっちが酔わないと酔えない。」
こちらのゆりが食べても、別にどうということはないお菓子だ。
「すごくかわいかったなあ。あなたもたまにはああいう風にかわいくなってくれません？」
ヴィラが言うと、ゆりはべーと舌を出した。
ゆりは気づいた時には長椅子で横になっていた。両方の瞳は黒い。
「うーん」
部屋の中を見ると、ヴィラとミカエルは、いすに座り、いつの間に侍女が持ってきたのかお茶を飲んでいた。
「あれ？私いつの間に・・・」
「ゲームの最中眠ったんですよ？」
とヴィラ。
「そうだっけ。ゲームどっちが勝ったの？」
ゆりは髪を直しながら言った。全く記憶は抜けているようだった。
「引き分けでしたよ」
ヴィラが答える。
「引き分けもあるの？」
「たまにはありますよ」
ミカエルが言った。
「ふーん。ねえ、ミカエルあのお菓子どこで買ったの？私自分で買うから」
「あれは・・・違う国のものなので・・・また私がそのうちに持ってきますよ」
ミカエルが少し引きつった顔で言った。
「その時は私も呼んでくださいね」
ヴィラが微笑んでいい、ゆりはきょとんとして首をかしげた。おしまい
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