龍の一族


私は蛇の国の新聞社に勤めているヨハーンです。このたび、なんと龍の王族の取材許可が下りて、龍の国にやってまいりました！

しかしなぜ取材許可が下りてしまったのでしょう。局長からは「お前が帰ってこなかったら家族の面倒を見るから心配するな」

と言われましたが……正直帰りたいです。無事帰れる気がしません。あちこちで龍の鳴き声が聞こえるし、気が気じゃありません。

龍の一族といえば、頭の角ですが、人によって角のついている場所が微妙に違うようです。また角がない方もいらっしゃるようです。

角がある方が魔力が強いようですよ。角は生え替わることもあるようです。すごいですね。

城はかなりでかいです。正直足が震えています。

今日取材に応じてくださるのは、第２王子の……え？　違うんですか？　第一王子ですか？

えー！　ますます怖いじゃないですか！　第一王子といえば、この前の戦でいらっしゃったあのお方じゃないですか！

え？　知らない？　第一王子は有料版にしか出られていませんので、興味がある方は６巻をお買い求めください。


あの時殿下は黒い鎧をまとわれていたので、蛇の国では「黒騎士」として恐れられていました。

いよいよ黒騎士様にご対面です。ちなみにお名前はアイザック様です




さすが貫禄です。近寄るのが怖いです。

殿下、このたびは取材の許可を下さりありがとうございます。

殿下は第一王子様でして、次の国王様になられる方ですね。

ずばり聞きますが、近々国王様の交代はあるのでしょうか？

「……声がよく聞こえぬ。もっと近くに来い」

そういわれましても、怖くてしょうがないんですが……同じ部屋にいるだけで背筋が寒いです。

戸惑っていると兵士達に強引に前に連れて行かれてしまいました。

私もあの戦は遠くで見ておりましたが、殿下の戦いぶりはすごかったです。あの時は全身黒い鎧をまとっていらっしゃいましたね。

角があると兜をかぶるの大変ではないですか？

「問題ない。ところであの男はまだ生きているのか？」

あの男と申されますと、ハインリヒ様ですか？　戦では結構やりとりされていましたね。戦では五分五分でしたが

「ばかか。私は他国で戦っていたのだ。この国でもし戦えば、あの男は即死だろう」

そ、そうかもしれませんが……ハインリヒ様はお元気です。せっかくなので、殿下のことをもっと教えてください。

殿下は、蛇の一族についてどのようなお考えなのでしょうか。憎しみとかは……ございます？

「別にない。たまたま近くにいて手頃だから戦をしているだけだ」

そ、そうなんですか？

「本当は麒麟と戦がしたいのだが、向こうがそうそう乗ってこん」

麒麟の一族はあまり好戦的ではないようですからね。10年以内に蛇の国に戦を起こす気はあるのでしょうか？

「さあ、知らん」

殿下には数人ご兄弟がいらっしゃいますが……え、もうインタビューは終わりですか？　

噂の末の王子様のことも聞きたかったんですが……そんなに怒らなくても帰ります。

ではこれにて失礼いたします。ヨハーンがお伝えしました！

終わり

戻る