朝、部屋の中にぞろぞろと子供達が入ってきて、香りのいいお茶を飲んでいたハザークは驚いた。

「おはようございます。ハザーク様」

「おはようございまーす」

「おはよーパパ」

ナナミが長椅子に座っていたハザークの横に座りハザークに抱きついた。

「おはよー！パパ！」

そんなナナミを見たロイはハザークのひざの上に乗りぎゅっと抱きついた。

「ぐえ！」

「わっ！」

ロイに腰を締められたハザークはカエルがつぶれたような声をあげてその拍子にカップをほうりなげようとし、あわててシスがそれを受け取った。

お茶は少ししか残っていなかったのでなんとかこぼれずにすんだ。シスはそれを侍女に渡した。


「苦しいじゃないか！」

「ごめんなさーい」

ロイはにかっと笑ってひざから降りた。


「お前最近ちょっとおかしいんじゃないのか？」

ハザークがロイに言った。

部屋の窓が開いていれば、たまにロイと戦士達のやりとりが聞こえてくる。それから悲鳴のようなものも。ロイのいたずらが以前よりも

かなりハードになっているのもいやでも気づく。

「そうなんですよ。絶対変ですよね。いきなりこんな怪力になるなんて」

アナスターシャが言った。

「でも母さんも父さんも教えてくれないんですよ」

とラギ。子供達は皆絶対ロイに何かあったと思っているのだが、ラクシュミはずっとしらばっくれている。

ロイは部屋の隅にいた大きな蛇の胴体を持ち上げていた。大人が持っても重い。普通の子供はこんなことはできない。


「それでそろって何しに来たんだ？」

ロイを見たハザークは立ったままのアナスターシャ、シス、ラギを見回した。

「ハザーク様が次の赤ちゃんの名前決めるんだってね」

アナスターシャが言った。

「父様から聞きましたよ。かわいい名前付けてくださいね」

とシス。

「え？あれ冗談じゃなかったのか？」

ハザークが眉をひそめた。

「てっきり冗談だと思っていたのに・・・・」

「本当に女の子なのかなあ。今度はどんな子だろうね」

ラギが言った。

「おい、王に自分で考えろって言っておけ。我は嫌だ。面倒だ」

「いいじゃないですか考えたら。ハザーク様なら一杯名前知ってるでしょう？でも昔の恋人の名前とかだめですよ。」

アナスターシャがうふっと笑った。

「姉様ったら・・・ハザーク様がどんな名前考えるか楽しみです。」

「それだけ言いにきたんですよ。じゃあいこう。ロイ、いくよ」

「はーい」

「パパじゃあねー」

子供達はまたぞろぞろと出て行った。



「ハザーク様が名前を考えるんですか？」

子供達が出て行った後、侍女が聞いた。

「我は嫌だと言ってるのに・・・・」

ハザークはずっと眉をひそめている。

「６人目ともなるともうどうでもいいんじゃないのか？王は」

「まさか・・・まあ良いではないですか。素敵な名前を考えられたら」

「全く面倒な・・・こうなったら王が後悔するような変な名前をつけようかな」

ハザークはぼそっととんでもないことを言っていたのだった。


第46話

「・・・赤い蛇は青い蛇と相談しました。どこに遊びに行こうかな・・・・」

うららかな朝、ゆりの部屋ではナナミがゆりの横に座って絵本を読んでいた。

ゆりのおなかの赤ちゃんに読んであげていたのだ。

以前はよくアナスターシャがおなかの中の赤ちゃんに本を読んであげていたのだが、最近ではたまにナナミが読んでくれている。

「・・・こうして２匹の蛇はにこにこして帰っていきました。おしまい」

ナナミは絵本を閉じた。

「面白かった？赤ちゃん」

「面白かったって」

ゆりが言った。するとナナミはにこっと微笑んだ。ナナミとロイは５歳。赤ちゃんだと思っていた双子はもう５歳になるのだ。

簡単な絵本なら読むこともできる。

ナナミは今もまだお昼寝が好きで、毎日どこかで昼寝している。アナスターシャの時と比べて、二人は勉強の方ものんびりしているようだ。

「ありがとうね、ナナミ」

「うん」

ナナミはゆりのおなかをなでなでした。ゆりはナナミの髪をなでた。黒髪はロイは短いが、ナナミは肩にかかっている。皆ナナミはゆりに

そっくりだと言うが、ゆりから見れば、やはり美少女だ。親の贔屓目なしでもそう見える。

「ナナミは髪伸ばすの？」

「うん。伸ばす」

「そう。今日はお勉強は？」

「今日は朝お休みなの」

「あらそうなの」

「じゃあいくねー」

「ありがとう」

ナナミは瞬間移動で出て行った。

「産まれてきたら一杯皆に遊んでもらえるね。よかったね」

ゆりは自分のおなかをなでた。



その頃、王の間から出てきたフリットはロイが廊下を歩いてくるのを見た。王の間には入れ違いでジュノーが入って行った。

「おはようございます。ロイ様」

フリットはロイに近づいて言った。

「おはよーフリット」

「今日はお勉強は？」

「休みだもーん」

「本当ですかあ？」

「本当」

ロイはすぐ授業から抜け出しているようなので、フリットはちょっと疑いのまなざしを向けているようだ。といっても今日は自分の

担当ではないので、フリットは「それでは」と言って行こうとした。すると身体が捕らえられた。ロイが後ろから抱き付いてきたのだ。

「フリット、好き」

「え？」

フリットはびっくりして顔を横にひねった。

このようにロイがかわいらしく抱きついてくるなんて思わなかったのだ。

「ロイ様・・・・」

王の間の扉の番兵達もほほえましく見つめていた。


ロイ様が私に甘えてくるなんて・・・・


あまりにロイがかわいらしかったので、フリットは今まで何度もお尻をたたいて悪かったかな、とちょっと思ってしまった。

すると、「エイ！」っていうかけ声と共に、ロイはそのままフリットの身体を上にあげた。

「うわっ！」

ロイはそのまま後ろに身体をそらしてバックドロップを決めようとしたのだが、フリットの身体はそらされたまま止まっていた。

「何するんです！？」

フリットが力で止めたのだ。

「ちぇっ失敗か・・・」

ロイはフリットの身体を離し、フリットは驚きと怒りが入り混じった表情で身体を起こした。

「さすがフリットだよ」

ロイは感心するように言った。

「ロイ様・・・・お尻を出しなさい！」

「あっかんべー」

ロイはつかまる前に逃げた。

「くそっ！」

番兵は硬直したまま突っ立っていた。



かわいい振りをして騙すとは・・・


腹が立ったフリットはそのまま王の間の中に移動した。

「王！」

突然現れたフリットにラクシュミはびっくりした。

「どうした？フリット、髪が乱れてるぞ」

先ほどは綺麗に流れていた髪は、あちこちの方向を向いていた。

「ロイ様ですよ！ぜっっっったいにおかしいです！何かあったとしか考えられません！」

フリットが力を込めていい、ラクシュミの身体がちょっとのけぞった。ラクシュミに話をしていたジュノーもびっくりしている。

「どうしたんだ？ロイが何かしたのか？」

ラクシュミがのけぞったまま聞いた。

「私の身体を持ち上げたんです」

「そうか」

「５歳の子供が大人の身体持ち上げるんですよ？もうちょっと驚いてください」

フリットは眉間にしわを寄せて言った。

「しかもほうり投げられる所だったんですよ？」

「今もその話してたんですよ。絶対おかしいってずっと言ってるのに、王は成長期という言葉でごまかすんですよ」

ジュノーが言った。

「何があったか絶対教えてくれないんです」

「何があったんです？」

ジュノーとフリットが並んでラクシュミを見つめた。

「・・・・」

ラクシュミは頬をかいた。この二人だけではなく、他のみんなからも聞かれていたのだがラクシュミはごまかしていた。


「分かった・・・ロイを怒ろう」

ラクシュミは間をおいて言った。

「いえ、そうではなくて、今はロイ様がああなった理由が知りたいんですが・・・」

とフリット。

「ロイ、ちょっと来い」

ラクシュミは言いながらも思念でロイを呼んだ。

「やっぱりごまかそうとしてますね・・・」

ジュノーがぼそっと言ったのが聞こえたが、ラクシュミは無視した。

「はーい」と言ってロイが現れた。


「ロイ、乱暴な事したらだめだろう」

ラクシュミはロイを見つめて言った。

ロイはきょとんとしている。

「いいか、一族の者に乱暴な事はしてはいかん。子供が産ませられなくなったらどうするんだ」

ラクシュミは大真面目で言った。ラクシュミにとって重要なことはそこらしい。

「僕は二人が大好きだから抱きついてだっこしてあげただけなのに・・・・」

ロイは口を尖らせて言っていた。

「ほうりなげようとしただろう」

「二人とも寸前の所で止められたから無理だった。カルとムーザは投げたけど」

その二人は下級戦士だった。

「身体を痛めたらどうするんだ？」

「大丈夫だよ。手加減したから」

「手加減してもだめだ。フリットにお尻ぺんぺんされろ」

「えー」

「えーじゃない。ほら、フリット」

ラクシュミはそういって手でフリットを促した。


「王がなさる気はないんですね？」

「ない」

ラクシュミはきっぱり言った。

「ちぇっ・・・・」

ロイはズボンを脱ぎだした。

「脱がんでいい」

ラクシュミに言われて、ロイはフリットにお尻をぺんぺんされた。だがなぜかロイはけろっとしているし、お尻をたたいたフリットの

手は真っ赤になっていた。


「もういいかな？それじゃあね」

ロイは消えた。全くダメージを受けた様子はない。これじゃあどっちが罰を受けたのやらわかりゃしない。


フリットは真っ赤な手を眺めてラクシュミを見た。ラクシュミはそれとなく視線をそらし、「そろそろ休憩しようかな」とつぶやいていた。




午後になり、ゆりが一人で竪琴を奏でていると、シャナーンがやってきた。気をもらう約束をしていたのだ。

シャナーンはテーブルの上の竪琴に目を留めた。

「少し弾いていただけませんか？」

「いいよ」

ゆりは了承して竪琴を奏でた。今では自分ではかなりうまくなっていると思っているので、披露するのもいやではない。

シャナーンは微笑んだまま、ゆりが竪琴を奏でるのを眺めていた。そして指が止まると拍手した。

「とても素晴らしかったですよ。王妃」

「どうもありがとう」

ゆりは素直に喜んだ。



二人は並んで長椅子に座った。

「ねえ、この前のお詫びにエルバートに何か贈り物したいんだけど、何がいいと思う？」

ゆりは無邪気な顔で聞いた。お詫びの手紙はエルバートに送っていた。その返事も届いている。

今思えば楽しかったですよ、と書かれていた。だがきっと、最後の朝の事はむっとしてるに違いないとゆりは思っている。


「エルにですか？」

「かなり迷惑かけちゃったから・・・何が喜ぶかなあ・・・」

「そうですねえ・・・・」

シャナーンはこの前嫉妬しまくったので、今日は冷静だった。

「エルバート怒ってなかった？」

ゆりは恐る恐る聞いた。

「いいえ」

「本当に？」

「お子様と離れてしまったから寂しいみたいですよ」

「ええー？そうなんだ。エルバートったら母性に目覚めちゃったかも？」

ゆりが笑って言った。

「エルバートって趣味何かある？」

「趣味ですか。釣りですかね。たまにしてるようですよ」

「じゃあ釣り竿にしようかな？それくらいならさりげなくていいかも」

「そうですね」

シャナーンが微笑んだ。

「シャナーンだったら何が欲しい？」

ゆりは興味を引かれて聞いてみた。

「私ですか？」

「うん」

「・・・・」

シャナーンの頬がちょっと赤くなった。


エッチな答えが帰ってきたらどうしよう、とゆりはちょっとどきどきした。ミカエルなら絶対そういう答えが帰ってきそうだ。


「私なら・・・」

「うん」

「王妃と一緒にいられるだけで・・・・」

「シャナーンったら・・・」

二人とも真っ赤な顔をしていた。


盛り上がってきたー！！！こうなったら・・・・いちゃいちゃしちゃえ！


「シャナーン、あっち行きましょ」

「え？いいんですか？」

「うん」

「王妃・・・」


戦後のラクシュミ以外の初いちゃいちゃはシャナーンになったのだった。ゆりがそれを言うとシャナーンはとても喜んだ。


服を着たまま何度も口付けをかわしていたが、そのうちに盛り上がり、二人とも服を脱いでいた。

「王妃はいつでも綺麗ですね」

「シャナーンもいつでも素敵よ」

ゆりはすっかり人妻子持ちという事を横において、乙女の気持ちでシャナーンと引っ付いていた。シャナーンは大人になりたての頃と

比べると、ちょっと体つきがたくましくなったようだ。口付けをされて肌に優しく触れられていると、ゆりはかなり興奮状態になり、

それだけでおなかに蛇紋が浮かんでしまっていた。


「わっもう・・・」

ゆりはかなり恥ずかしかった。

「かわいいですね。王妃の蛇・・・・」

シャナーンがうっとりして言った。手は蛇をなでている。

「シャナーンの蛇もかわいいよ」

ゆりはシャナーンのおなかをなでた。シャナーンの肌には背中からおなかに回るように薄い紺色の蛇がいるのだ。

「下にも触っていいです？」

顔を寄せて聞かれてゆりは赤い顔でうなずいた。

「じゃあ私も」

お互いに手で相手の身体を愛撫し、二人は穏やかに果てたのだった。


二人はその後布団にくるまり、裸で抱き合っていた。

すると、布団の中からにょろんと一匹の蛇が出てきて二人ともそれを凝視した。二人の身体の間から出てきたのだ。

「あれ？」

ゆりが目を見開いた。シャナーンも驚いている。それは、いろいろな色が綺麗に組み合わさった、宝石のような蛇だった。大きさは30センチ

ほどで、蛇は明らかにシャナーンを見ていた。蛇に見つめられたシャナーンは、ぱちぱちと目を瞬いた。蛇はちょっと頭をかしげた。



うっふん



シャナーンは思念のようなものを受け取りぎょっとした。蛇はさっさと布団の中に戻っていった。

「あれ？今の・・・」

ゆりはシャナーンから身体を離して起き上がり、布団をはぐってきょろきょろとベッドの周りを見た。蛇はいない。

「あ・・・」

おなかに蛇紋の跡が見える。それはやがて消えてなくなった。

「今の私の肌から出たの？」

そうとしか考えられない。シャナーンは口をあけたままぼんやりしていた。

「シャナーン、どうしたの？」

「いえ・・・今の、王妃の蛇紋の蛇なんですか？」

「そうなのかなあ？どこにもいないし・・・でも肌から出るなんて・・・・肌を移ったことはあったけど・・・」


うっふんって・・・・確かにあの蛇から思念がきたような・・・まさか・・・いやでも・・・


シャナーンはうろたえたように目をきょろきょろさせてぽりぽりと頭をかいた。


「毎回蛇紋も変な事になってるなあ・・・・」

ゆりは不思議だったが、以前蛇紋が子供生んじゃった事に比べたら、さほど驚けなかった。

「大丈夫？シャナーン」

ゆりが不安そうにシャナーンに聞いた。今更ながら気味悪がられたのかな？と思ったのだ。

「王妃の蛇・・・かわいすぎる・・・・ふふ・・・」

シャナーンは笑い出してしまった。

「本当にめちゃくちゃかわいい。うっふんって・・・」

「うっふん？？」

「かわいいです。ふふふ」

シャナーンは涙目で笑っていた。


ゆりは良くわからなかったが、もういちゃつく雰囲気ではなかったので二人は服を着て元の部屋に戻った。

シャナーンは何がおかしかったのかまだにやにやしている。

「変なシャナーン」

「だってかわいかったんですもん」

「もう・・・」

「それじゃ私はこれで」

「うん、またね」

シャナーンは笑って去って行った。


ふとゆりが長椅子を見ると、ルーと他の蛇が乗っていた。２匹はからまっている。

「おや、ルーちゃん、新しい恋人？」

ゆりはにやにやしてルーと他の蛇を見た。

「あの毒蛇ちゃんとは別れたの？やっぱり毒がある男は長続きしないよねーでもこの子も珍しい色してるねえ。１、２、３、４、５、５色に

分かれてる」

ゆりは指で数えて言った。一メートルくらいの蛇だが、頭から赤、青、茶、灰色、紺色にくっきり分かれている。

色はくすんでいてそんなに鮮やかではない。

「珍しい蛇ね。まあ仲良くね」

ゆりは２匹を見守り、そのままにしておいた。




ゆりは夕食の時間、子供達にルーの恋人蛇の話をした。

「５色の蛇なんだよ。初めてみた」

すると、上の３人の目が見開かれた。

「え！？本当に５色あったの？」

アナスターシャが聞いた。

「うん」

３人はぱっと消えてしまった。


「ネーたちどうしたの？」

ナナミが聞いて、ゆりはさーと首をかしげた。

アナスターシャ、シス、ラギの３人はゆりの部屋に瞬間移動した。長椅子の上にはルーしかいない。３人はきょろきょろ辺りを

見回した。

「どこ？」

「蛇、どこ行ったの！？」

「ルー、恋人はどこ行ったの？」

３人は部屋の中を探したり、ルーに聞いたりしたが、５色の蛇は見つからなかった。


「城の中にまだいるはずだよ！」

「どっかいるよ！」

「探そう！」


ゆりが部屋に帰ってきても、子供達はまだ蛇を探していた。

「母様ひどいよー捕まえておいてくれればいいのに」

アナスターシャはぶつぶつ言っている。

「そういわれてもさあ、恋人だったらまた来るんじゃない？一日限りだったら来ないかもしれないけど・・・・」

ハインリヒまで呼んでの５色の蛇探しが行われたが、結局蛇は見つからなかった。


「あーあ、見たかったなあ・・・・」

ラギがため息をついて言った。

「ルーちゃん、どうなの？お遊びなの？それとも恋人なの？」

ゆりはルーを持ち上げて聞いてみたが、ルーは舌を出しただけだった。まさかそんなにレアな蛇だったとはゆりも思わなかった。

「またそのうちに現れますよ」

ハインリヒががっくりきているラギとシスの背中をぽんとたたいた。

「そうよ、そんなに早く移動しないからこのあたりにいると思うし、今度見つけたら捕まえておくからね」

ゆりが言った。



その頃５色の蛇はというと、王の間の中にいた。

「おや、珍しい蛇だな」

ラクシュミがちょいちょいと指で呼ぶと、蛇はラクシュミの方に近づいてきた。足元まで来たところでラクシュミは手を出して

蛇を持ち上げた。

「こんなに綺麗に色が分かれている蛇は珍しいな」

ラクシュミはじーっと蛇を見て頭をなでて、床にまた蛇を降ろした。

ラクシュミは古代叙事詩の内容はおぼろげにしか知らないので、５色の蛇の詩のことは全く知らなかった。


子供達が探していたと次の日に聞いた時には、蛇はもういなくなっていた。

子供達の期待もむなしく、ルーの元にその蛇が通ってくる事もなかった。

「一日限りのお付き合いだったのね・・・」

ゆりは赤と青の縞々の蛇と仲良くしているルーを見て、そうつぶやいたのだった。



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