第10話

ゆりが夜寝るための部屋に戻ると、部屋の中にはラーズしかいなかった。ラーズは窓から外を眺めている。部屋の中は薄暗いが、まだ真っ暗ではなかった。

「ラーズ〜」

ゆりは窓から外を眺めているラーズの横からくっついて腕をからめた。ラーズは後ろに大きな翼があるので、後ろから抱き着くのは無理である。

「海が荒れそうだっていってたけど、荒れるような気配はないけどなあ」

ラーズは窓を閉めていた。神殿は崖の上に建っているので、この窓から海が見える。空にはいくつか星が見えた。

今のところ、波の音も穏やかなものである。

「海の天気は変わりやすいっていうわよ？」

「そうなのか？」

ラーズはゆりを抱きしめた。

「ラクアは？」

「双子を寝かせてくるって。絶対先にやっちゃだめだって言われた」

「そうなの？　でもせっかくだからラーズとちょっと仲良くしたいな。こっちにきてー」

ゆりはラーズの手をひっぱり、ベッドに導いた。


今の内にラーズにその気にさせてもらおう！


とゆりは思ったのだったが、ラーズの方は（様子が変わったな。ガーベラに交代したのかな？）と思っていた。

「ガーベラ〜」

「ラーズ〜」

ラーズはゆりの上に覆いかぶさった。

「ラーズ好き〜」

「かわいいなあ。ガーベラは」

ラーズは軽くキスしながら布に手をかけて、女神の豊満な胸をさらけだした。

「ここもかわいい」

そして両手で胸を撫でまわしたのだった。ラーズに肌を触られると、ゆりの気分も高揚してきた。


ラーズ好き。先にラーズとしたい。だめかな……


ラーズと舌をからめていると猛烈にそういう気になってきた。

「ねーラーズ」

「んー？」

「ラーズとしたいなー」

「ラクアに怒られるぞ？」

「ちょっとだけでいいから」

「ちょっとって、どこまでがちょっと？」

ラーズはゆりの上に乗ったまま笑っている。

「うーん……」


ちょっとだけって、男がいいそうなセリフだわ


とゆりは自分でも思った。

「じゃあね、そのー」

「かわいがってほしい？」

「うん、うん」

ゆりは二度もうなずいている。

「かわいいなあ。いいよ」

ラーズは女神の顔を見つめたまま、腰から下の布をじょじょにたくしあげた。

「すごくどきどきする」

「どきどきする？」

「うん、うん」

女神の足があらわになった。ラーズは女神の白い脚をなでながら、足を広げさせた。ラーズの指が太ももの内側をなでて、そこにちゅっとキスされた。

「あー！」

という声が聞こえて、二人はぎょっと横を見た。ラクアがやってきたのである。

「ひどいよー。僕が先って言ったのに」

ラクアがブーブー言いながら近づいてきた。

「悪い悪い。まだちょっとしかしてない」

「もー」

ゆりはぱっと足を閉じていた。ラクアは服を脱いでいる。そして全部脱いでからベッドにあがってきた。

「ガーベラおいでー」

「うん」

ゆりはラクアに抱き着いた。


……そういえば、ラクアの全身をはっきり見るのって初めてかも？　以前は水に入ってたし……あれって結構前だもんなあ……

なんか恥ずかしな……子供が先でこういうことが後ってのもおかしいけどね


「ガーベラも全部脱いで」

「うん」

ゆりは自分で腰帯を外した。そして肩から布を外すとすっかり裸になった。

ラクアが体を寄せて口づけてきた。

口づけが終わってゆりが横を見ると、ラーズがジーとこっちを見ていた。

「ラーズはちょっと横を向いてて」

「ああ」

ラーズは目をそらせた。


ラクアは女神の体を抱きしめて、胸に触ったり、口づけをしたりしていた。さらに女神の体を横たわらせて上に乗り、女神の秘部を指でまさぐった。

「もう大丈夫そう？　抱いてもいい？」

「うん」

ラクアは女神の足を持ち、体を密着させた。


き、きたー！！！


ゆりはいざとなると緊張して目をぎゅっと閉じていた。先ほどラーズにその気になったせいか身体がすんなりとラクアを受け入れていたが、ゆりは恥ずかしかったので目をぎゅっと閉じて横を向いていた。

ラクアは奥までつながると、腰を動かしている。

「どうしたの？」

ラクアがつながったまま聞いた。

「なんか変だよ？」

その声でラーズもゆりを見た。そしてゆりの真っ赤な顔を見て、（あれ？　ガーベラじゃなかったのかな？）と思った。


「気持ちよくない？」

上に乗っているラクアが聞いた。

「気持ちいいよ」

とゆり。

「そうかなあ？」

「ラクアったら、最初から、そんな、あえいだりできない。こういうの久しぶりだから緊張してるの」

「え」

「ま、久しぶりだもんな」

ラーズが口をはさんだ。

ラクアは体を離した。

「なえちゃったよ。ガーベラ」

「ごめんね。夜は長いから、じょじょに盛り上がりましょうよ」

ゆりが申し訳なさそうに言った。

「じょじょに？」

「うん」

ゆりはラクアに体を寄せた。

「顔が真っ赤だよ。変なガーベラだね」

「だって……」

「ま、久しぶりだもんな」

ラーズは同じことを言っていた。


すっかり盛り下がっちゃった。こんなんじゃだめだわ


「ねえ、ラクア、ちょっと目を閉じて」

「ん？　うん」

ゆりはラクアの膝の上にまたがって、ラクアに口づけた。ラクアの手を豊満な胸にあてさせて、しばらく濃厚なキスを続けていると、やがてラクアの体が再び興奮状態になってきた。

「ガーベラ、自分でいれて」

「う……うん。手伝ってね」

ゆりは腰を浮かせて、ラクアの体の上に、自らの腰を沈めた。

「あ……ああ……」

「じゃあ動いてね。さっきなえさせた罰だよ」

「えー」

ゆりはそのままの態勢で腰を動かした。

「はあ……はあ……」

「気持ちいいよ。ガーベラ」

「ほんと？」

「うん」

ゆりはラクアの肩に手を乗せて、必死に腰を動かしている。

その有様を見ていたラーズは、（すごく頑張ってる感じだな。がんばれ！）と心の中でゆりを応援していた。やがてラクアはゆりの腰に手をあてて、一緒になって腰を動かしていた。

「はあ……ああ……」

「ガーベラ！」

ラクアは果てて、ゆりは体を離した。


気持ちよかったけど、快楽の絶頂って感じでもなかったかな……ラクアもみたい……


とゆりは感じた。神の力が交わるという感触もなかった。やはり気持ちがすごく乗らなければそういう風にはならないのかもしれない。


「次は私な」

ラーズはゆりの体を引き寄せた。

ラーズはゆりの体を優しく抱きしめて優しく横たわらせ、ゆりの耳の近くでボソッと何かをささやいた。


え……


ゆりははっとラーズを見た。ラーズは耳元で、『もうがんばらなくていいよ』と言ったのだ。


がんばったのがばれてる？　がんばらなくていいよって、ラーズって超優しい！


ゆりはぎゅっとラーズに抱き着いた。

「ラーズ好きー」

「よしよし」

ラーズはゆりの頬をなでなでしてキスした。

ラーズはゆりの右足を曲げて、腰を密着させてきた。

「するよ？」

「うん、うん……」

ラーズに優しく抱かれたゆりは、素直に感じていた。

「気持ちいい？」

「うん、好き……」

ゆりはラーズの背中に手を回している。

「ああ……」

「ガーベラ……」

ラーズの神のオーラに包まれて、ゆりは心地よい気分になった。


ああ、これよ、神気が交わる感じ！　


二人の神気が合わさって上にのぼっていくのが見える。

やがて二人の心は高みに昇ったのだった。


ラーズはゆりの頬にキスして体を離した。ラーズがふとラクアを見ると、かなり面白くなさそうな顔つきである。

「ガーベラ、ひどいよーなんか、さっきとかなり差があったよ」

ラクアから見てもそう感じたようである。

「だってえ、ラクアがひどいんだもん」

ゆりは足を閉じて、体を起こした。

「ひどい？　何が？」

「さっき、なえたとか言ってひどいんだもーん」

ゆりはちょっといじけ顔で言った。

「あれは、君が変だったからだよ」

「だってえ、初めてするような気分で恥ずかしかったんだもん。なんでかわからないけど、そういう気分だったの」

「？？？」

ラクアはさっぱりわからんという顔つきである。なにせガーベラとラクアの仲は長い、一万年ほども付き合っている恋人にそういわれても、あまりぴんとこないのは無理もない。

「ラクア、ほら、きっと儀式の影響だよ。周りの女たちは、しばらく変だったろ？　今も変なくらいだ」

ラーズが言った。

「確かに他の女たちは変だったけど、でもガーベラは花を食べてないから、関係ないのかと思ったよ」

とラクア。

「でも、儀式をしたのは私でしょ？」

「そりゃそうだけど……そうか。昨日から変だったのは儀式の影響なんだ？」

ラクアはそう納得したようだ。

「そうかも。自分ではよくわからないけど」

ゆりはあいまいに言っていた。

「でもラーズには普通に抱かれてたけど？」

「私は儀式の後ガーベラとしたからな」

とラーズはフォローを入れている。

「そうか。わかった。僕が悪かったよ。おいでガーベラ」

ラクアは手を出した。

「うん」

ゆりはラクアに身を寄せた。

ラーズをちらりと見ると、ラーズは優しそうに微笑んでいる。


ラーズって、なんかすごくかばってくれてる感じだけど……事情を知ってるわけでもないだろうし……なぜだろう？


さすがにゆりはそう感じていた。

ラクアは女神の顔を自分に向けていた。

「こっち見て」

「ねえラクア、ぎゅって抱き締めて」

「いいよ」

ラクアは女神の体を抱きしめた。


ラクアともあんな風になりたい。このままじゃ終われない


このまま終わることはゆりにはできなかった。女神の名折れであるし、巫女としても、不完全燃焼である。男が二人以上いると、どうも儀式のように感じてしまうらしい。

一度ラクアと交わったので、もう完全に腹が据わっていた。

「ねえラクア、私のこと、好き？」

ゆりはじーとラクアを見つめて聞いた。

「好きだよ」

「すごく好き？」

「すごく好きだよ」

「私もラクアが好き、だからもっとしましょ」

「うん」

「口でしていい？」

「え、うん」

ゆりは体を下に沈めて、ラクアの下半身へと、顔を近づけた。

「ガーベラ……うれしいよ……」

ラクアはよろこんでいる。


一方ラーズは、（そんなにがんばらなくていいのに、どうしたんだろう？）と不思議に思っていた。

（ガーベラだとばれないようにしてるのかな？　あのまま終わってもよかったと思うけど……ガーベラと入れ替わった？　わからん）

ラーズにゆりの巫女気質まで理解できるわけもなかったが、とりあえず今は、自分にむけられた真っ白な女神のお尻を見て、ラーズはかなり欲情していた。


ラクアはゆりに口で愛撫されて、再びその気になっていた。

「ああ、ガーベラ、すごくいいよ。君の中に入りたい。どうやって抱かれたい？」

ゆりは体をあげてラクアの膝の上に再び乗った。

「ガーベラ」

ラクアは今度は自分から女神の体の中に入り、上に突き上げていた。

「ああ……」

「ガーベラ、愛してるよ」

「ラクア……私も……」

「はあ……ああ……」

ゆりは興奮のさなか二人の神の力が一緒になるのを感じた。


やった！　これよ！


ラクアは果てていた。ゆりは自分からちゅっとラクアにキスした。

「とても気持ちよかったよ。ガーベラ」

ラクアは満足げだった。

「私も」


「ガーベラ、もう我慢できない。こっちきて」

ラーズがせかすように言っていた。ラーズは女神の体を自分の方に抱き寄せた。ゆりはラクアの手を握って引き寄せている。

「ラクアも側にきて」

「いいよ」

「さっきの姿に欲情しちゃったよ。後ろからしてもいい？」

「うん、いいよ」

ゆりが四つん這いになると、ラーズは後ろに回り、女神の体に挿入していた。

「あ……」

「はあ……ガーベラ……いいよ……」

「ラクア、口づけて」

「いいよ」

ゆりはラーズに抱かれながら、ラクアに口づけた。


その後はゆりはラーズとラクアにキスされたり肌をなでられたり、愛撫されたりした。３人の愛の力が高まり、３人共心は高揚していた。

「綺麗だよ。ガーベラ」

愛に包まれた女神はやはり美しく、二人ともうっとりして眺めていた。

「幸せだよ。ガーベラ」

「私も幸せよ」


３人とも気持ちがいい、ふわふわした気分のまま眠りについた。ゆりは男二人に挟まれている。

ふいにゆりはまぶたにちかちかした光を感じて薄目を開けた。

上空を、何か淡い光るものが二つ浮いている。その二つは引っ付いたり離れたりを繰り返していた。

引っ付いて一つの塊になった、と思ったら、離れてふらふらと飛んでいる。それが何度も続いたのでゆりはついには起き上がっていた。

「あーもーじれったい。よいしょ」

ゆりは二つの塊を強引に一つにくっつけていた。

「そのままくっついてー」

しばらく手で押さえていると、光る塊はうまい具合に引っ付いてクルクル回りだした。

「これでよしっと」

ゆりは満足して再び寝転び、目を閉じたのだった。

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