第25話
ジンラ降臨で盛大に盛り上がった酒祭り一日目は終わった。
「すごく感動した」
「涙が出て来た」
ジンラを見ることができた人々は、皆口々にそう言っていた。
「これも王妃様のおかげです。どうか感謝していると伝えてください」
新聞記者達から涙ながらにミカエルはこう言われた。
「ジンラ様が馬車にあったクッションが気に入って神の国に持って帰られた」とミカエルがクッションを作ってくれた女性に伝えると、その女性は大喜びしていた。
子供達も皆感動して泣いていた。
「王妃様にお礼を言っておいてね」
「僕たちすごく感動したよ」
「お酒まで飲ませてもらったんだよ。すっごくおいしかったんだ」
とにかくみんな喜んでいた。
夜、城の広間では戦士達が数人集まって酒の試飲をしていた。ラクシュミも来ている。
「平和っていいですねえ」
ミカエルがしみじみと言った。
「今日はみんな泣いてましたよ。喜びの涙って、いいいですね」
「喜びの涙か。いいな」
とラクシュミ。
「神様を馬車に乗せるって発想が、すごいですよね……」
ハインリヒが言った。
「王妃らしいじゃないですか」
とジュノー。
「今日のジンラ様、すごかったですね。以前城に来られた時は、あんなに輝いてなかったじゃないですか。今日は光の柱が上ってすごかったな」
ヴィラが言った。
「本当にな。まさに神の降臨って感じだもんな」
ジュノーがうなずきながら言った。
「なじみの商人に、今年の酒祭りは絶対に来た方がいいって伝えておいたんだ。ジンラ様を見る事ができて感激していた」
フリットが言った。
「ジンラ様が王妃の恋人だと、これで周りも信じるに違いない。去年のことも完全に誤解だと皆思ってくれるだろう」
とハインリヒ。
「そうだな。しかしゆりの発想は本当にすごいな。土の祭りといい、パレードをジンラ様が不快に思わなくて良かった」
ラクシュミはほっとしていた。
「むしろすごく気合いが入られてましたよ」
とヴィラ。
「あまり図に乗っていると、怖いことになるかもしれないからな。ゆりがやりすぎやしないかと、私はいつもどきどきしてるぞ」
とラクシュミ。
「大丈夫ですよ。神様達が王妃を嫌いになることはないですよ。どの神様も王妃からものすごい贈り物をされているんですから」
とヴィラ。
「何があるかわからんからな。皆もあんまりゆりをその気にさせないように。神様がこの国ばかりひいきしていると、アシュラン様から何かあるかもしれないからな」
ラクシュミは慎重だった。神様にとっては、平等がモットーなはずだ。あまりに過ぎると、アシュランから神々に何か一言あるかもしれない。それを思うと、「神様が来てくれたんだぞ。すごいだろー」と自慢する気にはなれないのだった。
「まあ、そうですね。王妃に会うとき、神様が光り輝いていないのは、そういうことなんでしょうね」
とミカエル。前回ここに来たラクアも輝いてはいなかったと、ミカエルは思い出していた。
「ジンラ様に関しては、王妃の恋人だということになっているんですから、いいじゃないですか」
とフリット。
「まあな。ジンラ様に関してはな。しかし、何度もジンラ様に会っていると、なんか妙な気分になるな。周りはみんな私とジンラ様が似てるというし」
「似てますよ。王妃はジンラ様のことは、苦労していない王様だって言ってましたよ」
ヴィラが笑って言った。
「まあ私はゆりに優しく微笑んだりは、あまりしなかったようだからな」
とラクシュミ。
「王も今は顔付きがだいぶ変わりましたよ」
ジュノーが言って、男達は「ははは」と笑っていた。
その夜、ロイは城で寝て、タロウはラギと一緒のベッドにいていろいろな話をしながら眠り、ガットとバートランドはミカエルの屋敷で寝ていた。
バートランドはいつまで虎で修行をするか、かなり悩んでいる。
ロイはバートランドにとっては優秀な弟子だった。このままずっと修行を続ければ、ロイは結構な剣士にもなるに違いない。だが、バートランドはずっとロイを鍛えるわけではない。その期限ははっきりと決められてはいないが、ハロルドが言った魔物との戦いが来る日まで、ということなのだろう。
（おれでさえ魔物と戦うのが怖いってのに、ロイ君に戦わせるなんて……ハロルド様は正気なのか？ とも思ったが、ハロルド様の加護があるらしいから、本気なんだろうな）
ロイのハロルドの加護は今は封印されている。封印が解ければ、ロイの力も倍くらいにはなるだろう。虎はバートランドにとってもよい修行場だった。なにせ、強い男ばかりである。
「もうしばらくあっちにいるかな」
運命の時はいつ訪れるのか。その時が来るまで、やれることをやるしかない。そうバートランドは思っていた。
酒祭り二日目、この日の目玉はクジである。一番良いのはゆりが出した宝石で、今年もクジは結構売れたようだ。
ラギとシスは初日で満足したのか、二日目は城にいた。
「ねえお母さん、土の祭りの宝探しみたいなこと、酒祭りでできないかな」
ラギがゆりに聞いた。
「宝探し？ そうねー、土に埋めることはできないから、うーん」
ゆりは気が欲しい状態だったのでソファでカールにくっついていた。カールはちょっと恥ずかしげだが、ラギは全くなんとも思っていない。
「酒祭りは結構な子供が集まるからねえ。クジみたいなのが無難よね。私の世界ではビンゴゲームとかあったけど」
「数をそろえるゲームだね」
とラギ。
「そうそう。話は変わるけど、私の世界には運動会ってのがあったのよね。学校には運動会ってないのかな？ あったら見学したいな」
「運動会。運動を競うの？」
「そう。マラソンとか、リレーとか。障害物競走とか」
「似たようなことなら私が行った学校でもありましたよ」
カールが言った。
「学校でもたまになにかしらやってるみたいだよ」
とラギ。
「そうなんだ。いつか見学したいな。マラソン大会とかやってほしい。子供の部はロイが優勝しそうだけど。カールは何キロくらい走れる？」
ゆりがカールに聞いた。
「さー二十キロは走れると思いますよ」
「すごい」
「各砦で体力を競うことならやってるみたいだよ。テストみたいなのがあるんだって」
「そうなんだ。戦士は体力がないとだめだもんねー」
「そうだよ。じゃあ僕はこれで」
カールにひっついているゆりの気の一部がピンクになっていたので、ラギは早々に出て言った。
カールもゆりの気に気がついて、ちょっとどうしようといった感じである。
「あのー王妃様、実は重要な話がありまして」
カールが改まって言い出した。ちなみに、今日のカールの髪型はオールバックではなく、降ろしている。
「なあに？」
「私、王妃様の恋人から、外れようかと思っているんです」
「え？ なんで？ とうとう私にあきれて？」
ゆりはびっくり仰天である。
「いえ、そうではありません。王妃様がムサカ様の恋人になられたので、私は辞した方がよいかと思いまして」
「あっちの私はなっても、私はまだムサカさんとチューしかしてないからねえ」
「はあ」
「とりあえず、あっちの部屋のベッドでゆっくり話しましょう。私、寝転びたくなっちゃった」
「はい、では寝室に」
「あっちで」
ゆりは寝室ではなく別室の方を指さした。
「あ、あっちですか？」
「うん」
ゆりは強引に別室に連れて行ってもらった。
「ごめんね。私カールに気持ちよくしてほしいの」
「王妃様……」
ゆりの気は半分以上ピンクになっていたし、今日はまだ酒祭り、他の男達は忙しいので誰かに代わるというわけにもいかなかった。
「わかりました」
「カール」
ゆりはカールにいろいろしてもらい、自分もお返しをして満足したのだった。
（ムサカさんに関しては気になっていることがある。それは、ムサカさんが、前戯をするタイプかそうじゃないか。そこ。そこが気になる〜〜あっちの私は教えてくれないし）
いろいろ妄想していたらまたそういう気分になってきた。
（次に神の国に行ったら、ラーズといちゃいちゃしよっと♪ その前に、ジンラにお礼を言って、サントスにもお礼を言わないと。それでハロルドには会わないようにしよう）
ハロルドといちゃいちゃしたくないわけではないが、今はラーズにいろいろされたい気分だった。
（たまには、前戯されまくりたい。そういう時があってもいい）
夕方、「ゆり、今年の酒祭りは大盛り上がりだったぞ。ありがとう」とラクシュミからお礼を言われた。
「だが、あまりいろいろな神様にきてきて言わないようにな」
とやんわりと言われた。
「王様ったら、私が来てって言った神様は、ジンラ様だけよ。他の神様には来てって言ってないから。そういえば、この前ハロルド様に、どうせなら私の祭りをしろ、とか言われたけど、ハロルド様の祭りは龍の国でしてるからうちではいいですって言っちゃった。あはっ」
「あはって、お前……」
ラクシュミの顔はちょっと青ざめている。ラクシュミはゆりのこういう所が怖いのだった。
「だってどうせならどの国でもしてないことをしたいじゃない。ハロルド様の祭りをしたって、筋肉を競うくらいしか思いつかないし」
「ハロルド様を怒らせないようにな」
「これくらいで怒らないわよ」
ゆりは自信満々で返していた。
その夜である、ゆりはさっそく神の国に行けたので喜んだ。しかも、場所はジンラの神殿で、目の前にジンラがいた。二人でお酒でも飲んでいたらしい。
「ちょうどよかった。昨日はありがとう」
ガーベラの様子が突然変わったのでジンラは驚き、すぐに、「あ、君か、びっくりした」と言っていた。
「私も楽しかった。ありがとう」
「ジンラも楽しんでくれてよかった。ところでこのお酒、うっすらピンクね」
机に置いてある杯をのぞくと、半分くらいうっすらピンク色のお酒が入っていた。
「ああ、これは桃のお酒だ。ダーナに頼まれて造ったんだ」
「そうなんだ。飲んでいいよね？」
「もちろん」
ゆりはお酒を飲んだ。甘みがあり、桃の味がする。
「おいしい」
ゆりはお酒を飲み干した。
「私、今日はサントスにも会いに行きたいの。ジンラ、本当にありがとうね。またね」
「ああ、またな」
ゆりは投げキッスをして移動した。
（桃のお酒といえば、以前桃のお酒を飲んで桃の妖精ができたんだっけ。懐かしいなあ……）
神話の本では、桃の妖精がすぐ死ぬと書かれていたので、ゆりはあわてて神の国に来たのだが、桃の妖精ネルはすでにいなくなっていた。その後いろいろあって、ネルは神様として生まれ変わったのだ。
（あの時は本当によかった）
サントスは農園で土を耕していた。泣いている女神を見てぎょっとしている。
「ガーベラ、どうしたんですか？」
「なんでもないの。さっき桃のお酒を飲んだらいろいろ思い出しちゃって。ネルがいてくれてよかったなって。サントス、土の祭り、すっごく楽しかったよ。人間姿で来てくれたでしょ？ 私、粘土で馬を作ってくれたときに気がついたよ」
「私も楽しかったですよ。カサンドラも普通に楽しんで参加してました」
「やっぱり連れはカサンドラだったのね」
ゆりはサントスに近づいて、ちゅっとキスしていた。サントスは驚きながらもうれしそうだ。
「やっぱり二度目は妖精はできないかなー」
「ガーベラ、かわいい」
サントスもゆりにちゅっとキスしていた。
「サントス、ごめんね。今日は私ラーズにも会いたいの。また来るからね」
ゆりはサントスの手を握りしめて言った。
「はい、また来てくださいね」
ゆりはちゅーとサントスにキスして離れ、移動したのだった。
（ラーズはどこにいるかな？）
移動先は川の近くだった。ラーズは空を飛んでいて、こちらに気がつくと降りて来た。
「ガーベラ」
「ラーズ、ラーズに会いにきたの」
「待ってたよ。神殿に行こう」
ラーズはゆりを抱っこして、ラーズの神殿に行き、思う存分いちゃいちゃしまくったのだった。
「ラーズの愛撫好き〜〜〜」
「ガーベラ、いっぱい愛してあげるよ。二人っきりって久々のような気がするなあ」
二人は三度も仲良くした。
「ありがとう。ラーズ」
「私の方こそ」
二人でキスしていたら、女神のお腹の前が白くもやもやっとしてきた。
「ん？」
「子供かな？」
とゆり。
「おおっ子供ができたのか？」
白くもやもやしたものは、やがて真っ白な物体になった。顔のようなものと体のようなものがあったが、それだけだった。手も足もない。顔はのっぺらぼうである。大きさは、まさに人間の赤ちゃんくらいだったが。
「？？？？」
二人はしばらく待ってみたが、それが変化することはなかった。
「どういうことだろう？ 子供じゃないのかな？」
とラーズ。
「うーん」
二人は裸で座ってその白い物体を見下ろしている。
「この子、生きてる？」
ゆりがラーズに聞いた。ラーズが白い物体に手を当ててみた。なんらかの反応を感じる。
「生きてるっぽいが」
妖精でも神でも神獣でもない。
「何かの卵？ サナギとか？」
ゆりが言った。
「よくわからんな。アシュランに見せてみるか？」
最近いろいろな神獣が生まれているので、この子も神獣になるのかもしれないとラーズは思った。
「あ、ちょっと待って」
ゆりは記憶を思い起こしていた。
「私が元いた世界の神話に、こういう話があるの。神様と神様の間で、手も足もない子供が産まれたの。でもその子はいずれ立派な神様になったの。もしかしたらこの子もそうなのかもしれない。赤ちゃん、まずは、目を出してみようか。瞳の色は、私みたいな青い瞳か、ラーズみたいな緑に赤い瞳孔の瞳か、あなたはどちらが好きかしらね。目よー目。かわいいおめめをみせて〜〜」
ゆりは白い物体に話しかけてみた。
「かわいいおめめを出してごらん」
すると、白い物体の顔部分に青い目が四つも現われて、ラーズは驚きのあまり後ろに下がっていた。
「赤ちゃん、目は二つでいいのよー二つ」
ゆりは指を二本立てた。すると、二つの目は消えた。目にはちゃんと茶色っぽいまつげがついている。
「ラーズ、この子、私の言うことがわかってるわ。子供なのよ。もしかしたら、どういう姿で産まれるか、迷ってるうちに産まれちゃったのかもしれない。赤ちゃん、次は、かわいいお鼻をだしてみようか」
ゆりは自分の鼻に指をあてた。こんな調子で、ゆりは次々と赤ちゃんに話しかけて、白い物体はじょじょに赤ちゃんらしくなっていた。ラーズは服を着て、ちょっと下がった所でそれを眺めている。
なんとも奇妙な光景である。
「ラーズ、私がもし途中で向こうに行ったら、ガーベラに続きを頼んでね。この子は絶対かわいい赤ちゃんになるから、信じて」
「わかった」
赤ちゃんの顔が出来たところでゆりは人間界に戻ってしまい、目覚めたガーベラは、目の前にいる顔だけの真っ白な子供を見て、ぎょぎょっとお尻を浮かせていた。
「この子は一体……」
「ガーベラ、あのな」
ラーズはガーベラにここまでのことを説明した。ガーベラはすぐに理解した。
「わかったわ。私も話しかける。赤ちゃん、手と足を出しましょう」
「まずは手だな。手の指は五本だよ。赤ちゃん」
ここからはラーズも加わり、白い物体はさらに子供の体らしくなっていった。
「赤ちゃん、肌の色だけど、ちょっと色をつけましょう。唇はうっすらピンクでね」
白い肌が肌色になると、途端に赤ちゃんらしくなった。唇にもうっすら色がついている。
「いいぞ。赤ちゃんらしくなってきた。次は髪の毛だ。ガーベラのような金髪か、私のような髪か、何色がいいかな？ 眉毛と髪の色が一緒がいいかな」
赤ちゃんの頭から、金色の髪が生えてきた。髪はくるくるカールしている。髪は三センチほどはえていた。そして赤ちゃんの目の上に金色の眉毛も生えていた。
「いいわ！ その調子！」
「いいぞ！」
子供らしくなってきたので二人の気持ちは盛り上がった。
「次は一番大事なところよ。性別よ。男の子か女の子、どちらがいいかしら？ 男の子なら、男の子の印が下半身にいるわね」
ガーベラがはりきって言った。
「……はえないわね。女の子かしら」
「女の子がいいのかな？」
「女の子の場合女の子の性器がいるけど、この子の上にまたがるわけにもいかないわよねえ」
などと言っていたら、赤ちゃんは足を動かしていた。
「あ、動いたぞ」
「ほんとだ」
「瞬きもしてるぞ」
赤ちゃんは人形のように動かなかったが、動くようになってきた。ガーベラは赤ちゃんの足をちょっと開いてみた。
「あ、女の子になってる」
「ほんとか？ おおっ！」
ラーズもついのぞいていた。
「次はおしりだ」
「かわいいお尻を出してごらん」
赤ちゃんは普通の赤ちゃんらしくなってきた。だが何かが足りない。
「なんだろう。何かが足りないよな」
「そうね。何が足りないのかしら……あ、爪。爪がないわ。赤ちゃん、手と足の指に、爪をつけましょう」
「爪か。ほんとだ。ない」
「かわいい爪をつけてね」
赤ちゃんの指にかわいい爪がついた。
「後はどう？ 完璧？」
「完璧かな？」
二人は赤ちゃんをじろじろ眺め、横にしたり、だっこしてみたりして足りない所を探した。足りない所はないようだ。あの白い物体がこうなるとは。ラーズは涙目になっていた。
「最後に、声を出してみましょう。あーって。ママ、パパでもいいわよ」
ガーベラは赤ちゃんを抱っこして言ってみた。
赤ちゃんは口をもぞもぞ動かしている。
「マ……マ……」
「しゃべった！」
「あなた話せるのね。笑ってみてちょうだい」
「きゃは」
「笑ったわ！」
「笑った！」
かわいい笑みだった。完璧な赤ちゃんである。その時、赤ん坊の体から光の筋が上がった。
ガーベラとラーズは目を合わせた。
「この子、神だ」
「神様だわ。感動だわ」
「私も感動だ」
二人は涙を流していた。
「きゃはは」
女の子がうれしそうに笑った。その時頭の上にぽんぽんと5色の玉のようなものが浮いた。
「なんだろう。これ」
「なにかしらね？」
それは、赤、青、金、緑、茶の玉で、大きさはそれぞれ直径三センチだった。輪っかのように女の子の頭の上にある。
ラーズが触ろうとしたが、それには触れず、それらはすぐに消えた。
「神器でもないようだし、なんだろうな。ああ、彼女に見せてあげたい。こんなにかわいい赤ちゃんになるなんて、全く思わなかった」
「本当にね。感動だわ」
二人はしばらく泣いていた。そして泣き止んで、「雲の上の神殿に行きましょうか」「そうだな」とベッドから降りたのだった。
人間界に戻ったゆりは、「かわいい赤ちゃんになってますように」と両手を合わせて祈っていたのだった。
つづく
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